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Baby教室シオ

絵本『ぼくはあるいた まっすぐ まっすぐ』

2021.01.09 03:00

子の成長に絵本が果たす役割が大きいことはご承知でしょう。よって読み聞かせの会が至る所で開催され、また新しい読み聞かせ方法や理論的研究も進んできたように思います。そのような流れの中多くのお母様方が絵本に興味をお持ちになり、絵本を取入れて下さっています。

「乳児の頃から絵本に親しませたい」「良い絵本を与えたい」「絵本好きになってほしい」「親子で絵本の時間の温かみを味わいたい」「自らの親がしてくれたように子に絵本を読んであげたい」様々な理由で絵本を取入れていることでしょう。


私の大好きなアメリカの児童文学者マーガレット・ワイズ・ブラウンの作品を林明子さんの絵と坪井郁美さんの言葉で綴った素敵な一冊をご紹介。

春の麗らかな日におばあちゃんから一本の電話が掛かって来ます。ここから主人公のぼくはおばあちゃんの家まで『まっすぐ』と言う言葉を頼りに冒険の旅に出掛けます。初めて一人で出掛ける不安や怖さよりもおばあちゃんの言葉を信じ、自分自身の安全確認を頼りに慎重に歩を進めていきます。

絵と余白のバランスが絶妙で、絵本の中の文章は全て男の子の話し言葉です。言われたことを繰り返し繰り返し唱えながら、言葉通りに自らの目の前に広がる真っ直ぐな方向を突き進みます。大人の考える道のりの真っ直ぐではなく・・・

子を育てていると『なぜそうなるの?、どうしてそうなったの?』といような摩訶不思議なことが起こりますね。そんなくすくすと笑いたくなるようなエッセンスが凝縮された絵本です。我が子もこの絵本が大好きで幼稚園から帰宅しては読み、寝る前に読み、朝おきてパラパラ捲りをしてから登園することを何ヶ月も行いました。

全て子供の語り言葉なので、追体験をしているのねという様子が今でも思い起こされます。また読み込んでいくうちに新たな発見を子自らしていきます。そのじっくりと味わう、発見する、感じる何かをとても大事にシンプルに絵本を読み聞かせてきました。今ではそんな時間が懐かしく一人でお茶をしながら毎週日曜に絵本と思い出を追憶しています。

以前本屋でたまたま見かけた光景があります。ものすごい勢いでお母様が絵本を読み、お子さんに質問を次と々矢継ぎ早に問いかけていきます。それに対し的確に答えを返していき、また別の絵本を読んでおられました。時間がなくせがまれて読んでいるのかな?と最初は考えていたのですがそうでもないようで、幼稚園や小学校受験のために行っているのか・・・それぞれご事情もおありでしょう。

物語の要点を抑えるには良い方法かもしれませんが、本来絵本と言うものは絵から多くの情報を得ることができるものです。そのページの柱となる視覚的情報も、言葉にはされていない感情や様子、そして風景や景色を感じ考え想像させること、何より親子で味わうゆったりとした時間を得られていないようでとても物悲しく感じました。

絵本に興味が湧かないお子さんや受験時の読解法としては良いのかもしれませんが、それは本来の絵本の位置付けを身に付けさせてからでいいような気がします。

よって絵本は入り口が重要です。子が動き回ることができる乳児期の前に、別の言い方をすると寝返りをする前から絵本を見せるようにすることがとても重要だと実感しています。

「もしかしたら  ここかな?」

ここに辿り着くまでの経験からそおっと中を覗く絵は、ドキドキしながら息をころし真剣に見つめていた子の横顔は今でもしっかりと私の瞼の奥に焼きついています。

みなさんはどの場面でお子さんとの思い出を作ることができるでしょう。

是非お手にして素敵な時間を送ってみてはいかがですか。