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なるの台本置き場

【男3:女2】おくり花

2021.03.26 13:30

✽題字:46-38様



男3:女2/時間目安60分



【題名】

おくり花

(おくりばな)



【登場人物】

菊理宵(くくりよい):皇家からの命令で送り花をする。

菊理環(くくりたまき):宵の嫁。皇家の人間。

菊理明(くくりめい):宵の姉。既に亡くなっている。

桜ノ宮尊(さくらのみやたける):宵の古い友人。医者。

天皇:この国の頂点。環の父。

使用人:菊理家の使用人。

父親:マツモト ヒナの父親。

家臣:天皇に仕える者。



(以下をコピーしてお使い下さい)


『おくり花』作者:なる

https://nalnovelscript.amebaownd.com/posts/12894082

菊理宵(男):

菊理環(女):

菊理明&使用人(女):

桜ノ宮尊&家臣(男):

天皇&父親(男):




-------- ✽ --------






 【松本邸】



<戸を誰かが叩く>


001 父親:はーい。……どちら様?


002 宵:お邪魔致します。私は菊理家当主、菊理宵と申します。


003 父親:菊理……。


004 宵:憲法第77条により、マツモト ヒナ様に送り花をお持ち致しました。


005 父親:……っ……!帰ってくれ!死神!


006 宵:……ヒナ様の残りのお時間が幸多きものでありますよう、お祈り申し上げます。それでは失礼致します。


007 宵M:私達は今日も赤い花を贈る。







【菊理邸】



008 環:旦那様。


009 宵:……。


010 環:旦那様?


011 宵:………。


012 環:旦那様!聞いていらっしゃいますか?


013 宵:ん?何かあったのか?環。


014 環:少しお疲れなのではありませんか?ずっと呼んでおりましたのに、一向にお気づきにならないから。


015 宵:大丈夫だよ。それで……私に何か?


016 環:お父様からの伝言で……次のお花の準備が出来たそうです。明朝、リンドウ様の御屋敷までお願いしたいと。


017 宵:今回はどなたに向けてのお花で?


018 環:……サツキ様です。


019 宵:そう、か。わかった。


020 環:……あの、


021 宵:一緒に行くかい?


022 環:へ?


023 宵:あれ、違ったかな?一緒に行きたいのかと思ったのだけれど。……環はサツキ様と親しかったから。


024 環:お見通しですか。……御一緒してもよろしいのですか?


025 宵:もちろん。一緒に行こう。


026 環:ありがとうございます。


027 宵:環 。


028 環:はい?


029 宵:こちらにおいで。


030 環:はい……?


<宵がそっと環を抱きしめる>


031 環:ちょっと、旦那様?


032 宵:今夜は一緒に布団に入ろうか。


033 環:どうかなさったのですか?


034 宵:お役目だからと言って、心を殺す必要は無いんだよ。


035 環:何のお話です?そんな赤子をあやす様な言い方をして。


036 宵:寂しい時は寂しい、悲しい時は悲しいって言っていいんだ。


037 環:そんな……。


038 宵:環。


<環が泣き始める>


039 環:……うぅ……。


040 宵:よしよし。悲しいよな、サツキ様と環は親友同士だから。


041 環:……っ……すみません……。


042 宵:いいんだよ。ふふ、今は沢山泣いて。


043環:……はいっ……。


044 宵N:皇家からの命を受け、間もなく消える灯火に一輪の花を贈る。それが我ら「菊理家」の役目。「天と魂を括る者」として長年皇帝に仕え、現当主である私もその役目を担っている。もちろんそれを良しとしない者も大勢いる。……死神。それが菊理家のもう一つの名だ。







【菊理邸】



045 尊:お邪魔します。


046 環:いらっしゃいませ、桜ノ宮様。


047 尊:久しぶりですね、環さん。


048 環:えぇ、本当ですね。いつ以来でしょうか?


049 尊:サツキ様のご葬儀以来かと。


050 環:そうでしたね。……あの時はお見苦しい姿をお見せして申し訳ありませんでした。


051 尊:いやいや、こちらこそ突然お部屋にお邪魔してすみませんでした。


052 環:桜ノ宮様は旦那様にご用事があったのですから、当然です。


053 尊:じゃあ、お互い様、という事でどうでしょうか?


054 環:ふふ、ありがとうございます。


055 宵:俺の嫁に何してるんだ?


056 尊:おっと、怖いご主人のお出ましだ。


057 宵:さて、何をしていたのか白状してもらおうか。


058 尊:天皇に誓って何もしてない。ねぇ、環さん?


059 環:えぇ、そうですね。


060宵:それならいいが。あと人の嫁の名前を呼ぶな。


061 尊:奥様。……これでどうだ?


062 環:まぁ、凄く他人行儀に聞こえて嫌だわ。


063 尊:だそうだ。菊理のご当主?


064 宵:はぁ……はいはい、私の負けだよ。


065 尊:お前は本当に環さんに弱いな。


066 宵:まぁな。慣れないことはしないに限る。


067 環:ふふ、いつも良くしていただいてます。


068 尊:何かあったらいつでも言ってくださいね。旦那に言えないような事でも相談乗りますから。


069 環:えぇ、何かありましたら頼らせて頂きますわ。


070 宵:その何かは起こらないから安心してくれ。


071 環:ふふ、私はこの辺りで下がらせて頂きますね。積もるお話もあるでしょうし。


072 尊:またお話しましょう。


073 環:えぇ、それはぜひ。では、失礼致します。ごゆっくりお過ごし下さいね。


<環・退室>


074 尊:はぁ、環さんほんと素敵だよなぁ。


075 宵:本当に私には勿体ないくらい、素敵な方だよ。


076 尊:お前も十分素敵な旦那だから、安心しろ。


077 宵:そうか。……それにしても久しぶりだな、会うのはいつ以来だ?


078 尊:あはは!


079 宵:なんだ急に笑ったりして。


080 尊:いや、環さんと同じこと聞くから面白くて。


081 宵:そうなのか?


082 尊:あぁ。会うのはサツキ様のご葬儀以来だよ。


083 宵:あれ以来か……早いな、もう半年近く経つなんて。


084 尊:大丈夫か?


085 宵:何がだ?


086 尊:お前も、環さんも。2人とも少し痩せた気がするぞ。


087 宵:お前にはお見通しか。……もう少しその気づきを女性にも向けたらお前もきっとすぐ嫁が出来るだろうに。


088 尊:生憎、これは格別仲のいい人間にしか作動しなくてな。


089 宵:それは残念だな。


090 尊:それに、恋愛は当分遠慮するよ。……全く、お前は都合が悪いと直ぐに話を逸らすな?


091 宵:はぁ……お手上げだ。


092 尊:最初からそうしていればいいものを。ほら、これ土産だ。一緒に呑もうと思って持ってきたんだ。


093 宵:おぉ、赤ワインか……これかなりいいものだろ?


094 尊:この間会食した時に教えて貰ってな、先方から貰って呑んでみたんだが香りが良かったから今日持ってきたんだ。呑みながら話すぞ。


095 宵:あぁ、そうしてくれると助かるよ。


096 尊:それで、まずは環さんの話から聞こうか。


097 宵:環から?


098 尊:酒が回ってからじゃないと自分の話をするのは難しいだろ。だからまず環さんの話から。


099 宵:あぁ、なるほど。……まだ心の傷が深いみたいでな。寝ながら泣いている事が増えた。


100 尊:起きている間の様子は?


101 宵:最近はだいぶマシになったが、天気がいい、特別晴れた日は庭でボーッとどこかを見つめている事がある。


102 尊:晴れた日か……。


103 宵:サツキ様が亡くなったの、晴れた日だったから。それだろうな。


104 尊:もしかすると、環さんはサツキ様と話しているのかもしれないな。


105 宵:そんな非現実的な事ある訳ないだろ。


106 尊:幽霊とか信じないのか?


107 宵:信じない。そんなものがあるならぜひ父に出てきて欲しい所だな。まだ伝えてない恨み辛みが山ほどある。


108 尊:そういう事じゃないんだよなぁ。もっとこうさ、神秘的なものの話をしてるんだよ、俺は。


109 宵:神秘的な、か。……もし本当にサツキ様と話しているのならいいんだがな。その時の彼女を見るのはあまりいい気はしない。……儚く散ってしまうのではないかと心配になる。


110 尊:儚く散る前にお前が止めてやれよ。


111 宵:あぁ、そのつもりだよ。


112 尊:その他何か気になることはあるのか?


113 宵:あぁ……そういえば、大した事ではないんだが、最近よく目を擦っている事が増えたんだ。あと頭が痛いと寝込むことが最近は多い気がするな。


114 尊:今日帰る前にでも少し診ていくよ。


115 宵:あぁ、頼む。寝不足なのは間違いないと思うが……。


116 尊:まぁ万が一という事があるから。診ておけば安心だからな。


117 宵:助かるよ。


118 尊:おう。菊理家専属医師の俺に任せておけ。……それで、お前の方はどうなんだ?


119 宵:私か……。


120 尊:仕事、ここ最近毎日あるんだろ?


121 宵:あぁ。……まぁもうすぐ冬だから。贈る花も増える時期だな。


122 尊:どうして冬になるとこうも訃報が増えるんだろうな。


123 宵:神はきっと私達が年末に大掃除をするように、冬の間で人間の大掃除をしているんだろう。


124 尊:そこで廃棄されるのはゴメンだな。


125 宵:きっとそこに大した意味は無いだろうよ。


126 尊:そうか?俺はなにか大きな意味があって欲しいと願うね。


127 宵:選ばれた人間ってことか?


128 尊:そっちの方がよっぽどいいさ。要らないからという理由で死にたくはないな。


129 宵:長くこの仕事をしていると、何がいいのかなんて分からないよ。感謝してくる人もいれば、死神だ何だと暴言を吐いてくる人もいる。


130 尊:それは大変だな。


131 宵:今に始まったことじゃないからな、それは。もう慣れたよ。……不意に寿命が尽きるのと、しっかり1日1日を刻んで終わるのと、どっちがいいんだろうな。


132 尊:俺は後者だな。最期はちゃんと大事な人と過ごしたい。


133 宵:お前にはちゃんと花を贈るから、安心しろ。


134 尊:ありがとうよ。……まぁあれだ。自分なりの答えが出るといいな、いつか。


135 宵:そうだな……。


136 尊:それで、今年はどうするんだ?


137 宵:何の話だ?


138 尊:明さんの命日。


139 宵:あぁ……。もうそんな時期か。


140 尊:今年こそ顔を出したらどうだ?


141 宵:私は行かないよ。


142 尊:明さんもお前に会いたがってると思うぞ?


143 宵:どんな顔して会えばいい。


144 尊:そのままで何ら問題ないだろ。


145 宵:貴女が『死神』と拒んだ仕事を、弟は立派に務め上げていますよ、って言えばいいのか?


146 尊:宵。


147 宵:……呪われるのはごめんだ。


148 尊:そんな事言うな。環さんからも催促されてるんだろう?


149 宵:俺は行かない。


150 尊:宵!


151 宵:お前に何がわかるんだよ!送り花を贈られなかった者は成仏できないとか、転生できないって言われているこの世で、実の姉に、送り花を受け取って貰えなかった俺の気持ちがお前に分かるか!俺は、仰せつかった役目も、家族としての役目さえも全うできなかったんだよ!それなのに……今更どんな顔して会えって言うんだよ……。


152 尊:わからねぇよ。分かるわけがないだろ。


153 宵:……っ……すまない。


154 尊:気は済んだか?


155 宵:……あぁ。


156 尊:今日はもう休め。これ置いておくから、飲んでから寝ろよ。いつもと同じ薬だ。


157 宵:ありがとう。……もう帰るのか。


158 尊:環さんの診察をしてから帰るよ。


159 宵:そうか……環を頼む。


160 尊:任せておけ。……ゆっくり休めよ。またな。


<尊・退室>


161 宵:はぁ……もう5年か。


162 宵M:そう呟くと、体が突然重くなるのを感じた。処方された薬の存在も忘れ、徐々に沈んでいく身体と共に目を瞑った。こういう日は大抵、嫌な夢を見る。







【宵の夢の中】



【6年前・皇宮】



163 明:嫌よ!私は継がない!


164 宵:姉さん。


165 明:あんたはいいよね。こんな……こんな役目背負わなくていいんだもんね。


166 宵:それは……。


167 明:みんなから死神って言われたり、帰れってお皿投げつけられたりしないもんね。


168 宵:姉さん。


169 明:私は!ただ普通の家庭に生まれたかった……裕福じゃなくていい、こんな役目を担わない家なら、何でも。


170 宵:そんな事言わないでよ……。


171 明:あんたが先に産まれればよかったのに。そうしたら……私は……。


172 宵:みんな姉さんを待ってるよ?……行こう?


173 明:行かない。


174 宵:そういう訳にはいかないのも姉さん分かってるだろ?頼むから、ちゃんと話をしよう?(※被せ)


175 明:(※被せ)嫌と言ってるでしょう!あっち行って!


176 宵:姉さん……。


177 明:もう嫌なの!……もう………嫌……。



<間>



178 天皇:その後様子はどうだ?


179 宵:……申し訳ありません。部屋から出てこないもので……。


180 天皇:このままでは埒があかんな。


181 宵:申し訳ありません。


182 天皇:なぁ、宵。


183 宵:はい。


184 天皇:そなたが継ぐのはどうだ?


185 宵:し、しかし序列を考えれば姉の方が先で……。


186 天皇:菊理家の者が継いでくれればそれでよい。どうかね。


187 宵:姉と、相談してみます。


188 天皇:よろしく頼むぞ。もう下がって良い。



<間>



189 家臣:菊理家のご当主様がいらっしゃいました。


190 天皇:通せ。


191 家臣:どうぞ、お入り下さい。


192 宵:失礼致します。


193 天皇:では、早速だが式に入るぞ。……あれをこちらに。


194 家臣:こちらです。


195 天皇:……菊理宵。そなたが菊理家の当主である事、そして、これより送り花の任を継ぐ者である事をここに宣言する。……よろしく頼むぞ。


196 宵:はい。







<環がうなされている宵を起こす>


197 環:旦那様。


198 宵:……うぅ……。


199 環:旦那様。起きて下さい。


200 宵:ん……。


201 環:旦那様!


202 宵:ん……環?


203 環:大丈夫ですか?魘されていましたよ?


204 宵:あぁ、大丈夫だよ。ちょっと昔の夢を見てね。ふぅ……。


205 環:お薬、飲み忘れてますよ。ちゃんと飲まないと。


206 宵:あぁ、飲むの忘れてた。


207 環:先程白湯も用意して頂きましたから。ちゃんとお飲みになって下さいね。その間に寝間着を持ってまいります。


208 宵:環。


209 環:……どうかなさいましたか?


210 宵:どこ行くんだ?


211 環:寝間着を取って参ります。


212 宵:……っ……。


213 環:旦那様。


214 宵:あっ……悪い、なんでもない。


215 環:ふふ……お傍を離れない方が宜しいですか?


216 宵:そうしてくれると、助かる。


217 環:素直に傍にいろと仰ってくださればよろしいのに。


218 宵:うるさい。


219 環:あら、そんな事仰るならもう膝枕は卒業ですかね?


220 宵:っ……悪かった。


221 環:他には?


222 宵:……今晩は傍にいてくれ。


223 環:はい、承知致しました。







【皇宮】



224 天皇:様子は?


225 尊:お二人共少しお疲れのご様子でした。


226 天皇:そうか……。開花の兆候は?


227 尊:間もなくかと思われます。


228 天皇:そうか……また何かあったらすぐ報告するように。


229 尊:はっ。では私はこれで。失礼致します。


230 天皇:あぁ。


<尊・退出>


231 天皇:……何も出来ない父を許してくれ。







232 宵M:幸せな時間が日常に変わり、その有り難さを忘れる頃には、その幸せは少しずつ壊れ始める。気づいた頃にはもう取り返しがつかない事などよくある話であろう。……私達もそう。何事もない、そんな日々が続いていたはず。そのはずだった。……環の体調は日に日に悪化し、ひと月も過ぎぬ頃には起き上がる事さえ困難になっていた。


233 環:旦那様、旦那様。


234 宵:私はここだよ。環?


235 環:ふふ、先程 サツキ様にお会いしましたの。


236 宵:そうか。楽しかったか?


237 環:えぇ。一緒にお茶を飲みました。あとお買い物も。今度旦那様もご一緒にいかがですか?


238 宵:そうだね、今度混ぜてもらおうかな。


239 環:えぇ。ぜひ。約束ですよ?


240 宵:分かったよ。……環、まだ起きるには早すぎるから、少しお眠り。


241 環:まだお外は明るいですよ……。


242 宵:頼む。


243 環:旦、那……様…。


244 宵:ゆっくりお休み、環。


245 天皇:寝たか。


246 宵:はい。


247 天皇:宵、少し話さぬか。


248 宵:……はい。



<間>



249 天皇:宵。これから聞く話は私の独り言だと思って聞いてくれ。


250 宵:はい……?


251 天皇:私がまだ皇位を継ぐ前、私も今の環のように生死をさまよったことがあるんだ。


252 宵:そうだったのですね。


253 天皇:その時、私は赤い花畑を見たんだ。そこには無数の彼岸花が咲いていて、今でもその光景を鮮明に思い出せる。……その後、回復した私は天皇を継いだ。


254 宵:はい。


255 天皇:その当時、生死をさまよっていた私の皇位継承権はほぼ無いに等しかった。が、そんな私がなぜ天皇になったか。分かるか?


256 宵:……いえ、検討もつきません。


257 天皇:……送り花が、見えるようになったんだ。


258 宵:最初から見えていた、という訳ではなかったのですか?


259 天皇:あぁ。その能力を持つのは皇家のみ。しかしその能力が開花しない者もいるらしい。私の兄弟は誰一人としてその能力が開花しなかった。


260 宵:そう、なんですか。


261 天皇:恐らく回復と共に環にもこの能力が開花するだろう。……皇家の者としてはそれを喜ばなくてはならないんだろうな。


262 宵:嬉しくは無いのですか?


263 天皇:天皇としては、能力を継ぐ者が現れたのはとても喜ばしいことだ。……しかし、父としては……開花しなければ良かったのに、と思うよ。


264 宵:理由をお聞きしても?


265 天皇:毎日毎日、数多くの人間の死を目の当たりにするんだ。他のものには見えんから知らないだろうが、神から送り花を贈られた者は首に赤い花が咲く。それを見る度に、私は心臓を一突きされるような、そんな気持ちになる。……同じ道を娘が進むと考えると自分の無力さに怒りすら覚えるよ。


266 宵:……っ……。


267 天皇:娘を、環を頼む。あの子を……どうか……。


268 宵:はい。


269 使用人:お話中失礼致します。旦那様、奥様のところにお戻りください。


270 宵:あぁ、直ぐに。お義父様、私はこの辺で。


271 天皇:あぁ。環のそばにいてやってくれ。


272 宵M:こんなにも弱々しい天皇……いや、お義父様の姿を見たのはこれが最初で最後だったと思う。







【宵の夢の中】



【10年前・菊理邸】



273 明:ねぇ宵、将来は何になりたいの?


274 宵:幸せに生活が出来れば何でもいいかなぁ。


275 明:例えば?


276 宵:んー、朝起きて、ご飯食べて、寝て。横に好きな人がいて、みたいな?


277 明:ふふ……あはは!宵はロマンチストね。


278 宵:そうかな?


279 明:そんな生活してみたいわー。


280 宵:姉さんはいないの?好きな人。


281 明:いると思う?この私に。


282 宵:んー、いなそう。笑


283 明:正解。……あーあ、どっかにいないかな、いい男。


284 宵:姉さんにも現れるよ……たぶん?


285 明:テキトーだなぁ。


286 宵:じゃあさ、姉さんの夢は?


287 明:お役目から逃れる事、かな。


288 宵:あぁ……。


289 明:好きな人作って、結婚して、町人として暮らす。ご近所さんとお話ししながら馬鹿みたいに笑ってお茶して。月が綺麗な日に少し家の近くを散歩したりして。……そんな毎日を過ごすのが、私の夢。


290 宵:僕も少し憧れるよ、そんな暮らし。


291 明:ないものねだり、なのかもしれないけどね。


292 宵:親の言うがままに結婚して子供作って、それなりの富と権力を与えられて。……まるで正反対だね。


293 明:こんな事、大声では言えないわね。


294 宵:そうだね。


295 明:せめてあんたは……幸せになりなさいよ。


296 宵:ありがとう。姉さんもね。


297 明:うん……ありがと。







【現在・菊理邸】



298 尊:うん、もう大丈夫だと思いますよ。


299 環:付きっきりで診て頂いたようで……ありがとうございました。


300 尊:何かいつもと違うなって所とかありませんか?


301 環:いえ……特には。


302 尊:それは良かったです。……宵、呼んできますね。


303 環:えぇ、お願いします。……ふぅ。


304 使用人:奥様、大丈夫ですか?


305 環:え、えぇ。……ごめんなさい、カーテンを閉めてくれる?


306 使用人:かしこまりました。……お茶でもお持ちしましょうか?


307 環:えぇ、お願い。


<使用人が退室、宵が入室>

<宵がコンコン、とドアをノックする>


308 宵:体を起こしていて大丈夫なのか?


309 環:はい、もうすっかり。……あの、ご心配とご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。(※被せ)


310 宵:(※環の言葉に割り込むように)はいはい、そういうのいらないから。病み上がりのお嬢さんは大人しくまだ横になってなさい。


311 環:お、お嬢さんなんて歳ではありません。


312 宵:じゃあ……そうだな……嫁さん、かな?


313 環:……はい……。


314 宵:今日はいつもより素直だな。


315 環:素直な環はお嫌いですか?


316 宵:ふふ、嫌いなわけあるか。むしろ、環はいつも素直だからもっとワガママになってもいいくらいだ。


317 環:そうですか?……じゃあ、今度お散歩に連れて行ってくださいませ。


318 宵:散歩?


319 環:はい。……あ、日がまだ昇っている時間にするお散歩ではありませんからね。


320 宵:どういう事だ?


321 環:綺麗なお月様の下を、旦那様と一緒に歩きたいのです。


322 宵:月の下……。


323 環:駄目……でしょうか?


324 宵:ふふ……。


325 環:旦那様?


326 宵:いや、昔の事を思い出しただけだよ。……月の下で散歩か……そのためには、安静にしてないとな?


327 環:はい。……あの、旦那様?


328 宵:ん?どうした。


329 環:今晩……一緒に寝ては下さいませんか?


330 宵:え?


331 環:あ……あの、はしたない事は重々承知しておりますが、あの、今日だけ!今日だけ……旦那様がよろしければですが……その……。


332 宵:ふふ……あはは!大丈夫だよ。一緒に寝よう、それで環が安心するなら。


333 環:……ありがとうございます……。


334 宵:そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに。


335 使用人:旦那様。


336 宵:うわぁ!……びっくりした……。


337 使用人:失礼致しました。旦那様に、桜ノ宮様からの言付けがございます。


338 宵:なんだ?


339 使用人:『呉々も、環さんの熱を上げるようなことはしないように。無理は禁物。』だそうです。


340 環:ふふふ……。


341 宵:あ、ありがとう。もう下がっていいぞ。


342 使用人:はい。失礼致します。


343 環:あはは!……ですって、旦那様?


344 宵:全く、あいつ……!







【現在・菊理邸】



345 尊:その後、環さんの調子はどうだ?


346 宵:特に変わりない。ありがとな。


347 尊:それは良かった。……一時はどうなるかと思った。


348 宵:それは私も思ったよ。


349 尊:今後も油断はしないようにな。何かあればすぐ言ってくれ。


350 宵:あぁ……あの、さ。


351 尊:ん?なんだ、改まって。


352 宵:女性……は、さ……その……。


353 尊:お、なんだ?女性の事ならなんでも聞いてくれ。


354 宵:そういう癖に、お前相手いないだろ。


355 尊:俺は良いんだよ。それより、相談事あるんだろ?


356 宵:その……綺麗な月の下を一緒に歩く、というのは女性が好きな恋人との過ごし方なのか?


357 尊:……ふふ……あはは!お前、ロマンチストだな!


358 宵:いや、環に言われたんだよ!月の下を散歩したいって!


359 尊:あー、なるほど。……あれかもな、この国の高貴なお嬢様達はそういうのが好きなのかもな?


360 宵:姉さんもそうだったな、確か。


361 尊:明さんもロマンチックなの好きだったからなぁ。


362 宵:あれ、お前姉さんとそんなに親しかったか?


363 尊:まぁ……それなりに?


364 宵:それなりってどのくらい?


365 尊:あっ……まぁもういいか。(小声)……宵。今から聞くことを驚かないで聞いてくれ。


366 宵:お、おう?


367 尊:(息を吸う)……明さんとは恋仲だった。


368 宵:……え?


369 尊:そんな目を向けないでくれ頼むから。


370 宵:いや、だって、腐れ縁と姉さんが?……嘘だろ……。


371 尊:だから言いたくなかったんだよ……。


372 宵:はぁ……。ダメだ、情報の処理が追いつかない。


373 尊:悪かったな……。


374 宵:まぁいいや……姉さん、何か言ってた?


375 尊:えーっと?


376 宵:その、お役目を継ぐ時の事とか、送り花の事とか。


377 尊:……聞きたいのか?


378 宵:少し。その時の姉さんの事を知ってる人、誰もいないんだ。何もわからなくてな。


379 尊:……あの役目を押し付けて申し訳ないって。そればっかり言ってた。


380 宵:そっか……送り花の事は?


381 尊:何も。……俺も知りたくて聞いたりしてたんだけど、笑ってはぐらかされたよ。


382 宵:あー……姉さんらしいな。


383 尊:実はさ、宵が花を贈ってから一緒に過ごしてたんだ。


384 宵:別邸の話は全然聞いてなかったからな。そうだったのか。


385 尊:まぁ診察の名分もあったからな。俺としては、誰も疑わないのが有難かったけど。


386 宵:じゃあちゃんといい最期を過ごせたんだな、姉さんは。


387 尊:だといいな。……俺たち駆け落ちする予定だったんだ。ちょうど……明の最後の日が決行日だった。


388 宵:駆け落ち……。


389 尊:別に普通に結婚できるって言ったんだけどな。駆け落ちがいい、しようって。


390 宵:だからお前は相手を作らないのか?


391 尊:あぁ。俺には明だけでいい。


392 宵:姉さんにもいい相手がいたって知れて良かった。……ありがとうな。


393 尊:あぁ。……きっとさ、送り花について色々言われるとは思う。ただ、俺は……俺達は、送り花に感謝してるよ。


394 宵:感謝?


395 尊:終わりが分かるから、その終わりまでの時間をしっかり考えて過ごせる。突然終わりが来るより、遥かに幸せな時間を過ごせると思うけどな。少なくとも俺達はそうだったよ。


396 宵:そっか……そっかぁ。


397 尊:明、もう死神なんて思ってないと思うぞ。


398 宵:かもしれないな。……命日、ちゃんと行くよ。今年は。


399 尊:ふふ……あぁ。皆で明に会いに行こう。大丈夫!俺も環さんも付いてるから、な。


400 宵:……そうだな。







【5年前・別邸】



401 尊:明?入るよ?


402 明:んん……。


403 尊:ごめん、起こしちゃった?


404 明:尊……。


405 尊:うん、俺だよ。寒くない?


406 明:んー……ふふ、少し寒いから、こっちに来て?


407 尊:はいはい。


408 明:尊の手暖かい。


409 尊:そうか?……体調はどう?


410 明:大丈夫。(軽く咳き込む)


411 尊:ほら、布団ちゃんと肩までかけて。


412 明:お母様みたい。


413 尊:お母様じゃなくて、お医者様な。


414 明:そうだったね。……今日のお天気はどう?


415 尊:今日はとても天気がいいんだ。雲ひとつない、青空が広がっているよ。見る?


416 明:いや、見ない。見たら後悔する気がする。


417 尊:そうか。



<間・沈黙>



418 明:……明日、何だよね。


419 尊:……っ……あぁ。


420 明:あーあ、もっと生きたかったのになぁ。


421 尊:明……。


422 明:ねぇ、少しお酒飲まない?


423 尊:ダメだ、病人に酒は。


424 明:本当に一口だけ、ね?


425 尊:分かった。一口だけ、だからな。


426 明:うん。そこの棚に色々入っているから、用意して貰ってもいい?


427 尊:あぁ……この箱は?


428 明:その箱は宵に。お酒を嗜むようになったらあげようと思って用意してたんだけどね。バタバタしてたらあげそびれちゃった。


429 尊:今からでも遅くないんじゃないか?


430 明:そう、かな。


431 尊:はい、出来た。本当にこれだけだからな。


432 明:分かってるって。


<明がお酒を飲む>


433 明:……ふふ、美味し。


434 尊:香りがいいな。


435 明:あーあ……宵と呑みたかったなぁ……。


436 尊:明?


437 明:……うぅ……宵……ごめんね……。


438 尊:明、ほら泣かないで。


439 明:ごめんね……ダメなお姉ちゃんで……。


440 尊:めーい。


441 明:きっと天罰が下ったのよ。……光栄なお役目を、死神、だなんて罵って、その挙句弟に押し付けたんだから。


442 尊:そんな事ないって。


443 明:もう少しいい子にしていれば……長生きできたかな?


444 尊:身体に障るから、泣き止んで。


445 明:送り花、貰えばよかったなぁ……。


446 尊:必ず、宵には届けさせるから、ね。泣き止んで……。







【現在・菊理邸】



447 天皇:環、何かあったのか?


448 環:突然申し訳こざいません、お父様。あの……。


449 天皇:あぁ、2人にしてくれ。


450 家臣:扉の前におりますので、何かございましたらお呼びください。


451 天皇:あぁ、分かった。


<家臣達・退室>


452 天皇:これでいいか?


453 環:ありがとうございます。……あの、お父様は、その……。


454 天皇:首に赤い花が咲いている……か?


455 環:あっ……ご存知だったのですか?


456 天皇:私も同じものが見えているからね。


457 環:あの、それは?


458 天皇:皇家が皇家たる所以、と言うのが一番正しいかもしれないな。首に咲いた花が赤くなったら余命1週間の合図だ。


459 環:つまり……お父様はそれを見て、送り花の司令を出していると……?


460 天皇:そうだ。……次の天皇はお前で決まりだな、環。


461 環:その……。


462 天皇:どうした?


463 環:旦那様も、もしかしたら、その……近いうちに。


464 天皇:見えたのか?


465 環:私の見間違いでなければ……。


466 天皇:今日、宵は?


467 環:共にこちらへ。今は応接室にいらっしゃいます。


468 天皇:わかった。……おい、誰かいるか?


469 家臣:はい。御用でしょうか?


470 天皇:直ちに応接室にいる菊理家の当主を呼んでくれ。


471 家臣:かしこまりました。



<間>



472 宵:失礼致します。お呼びでしょうか?


473 天皇:あぁ。……座ってくれ。


474 宵:はい。……あの、それで……?


475 環:お父様……?


476 天皇:間違いないな。


477 環:やはり……そうですか。


478 天皇:伝えていいか?


479 環:私の口から伝えてもよろしいですか?


480 天皇:あぁ。構わん。


481 環:旦那様、今から私が言うこと、落ち着いて聞いて下さい。


482 宵:あぁ……わかった。


483 環:まず、私にも皇家が継ぐと言われているチカラが開花致しました。


484 宵:それはめでたい。おめでとう、環。


485 環:ありがとうございます。


486 天皇:チカラが開花した事により、次の天皇は必然と環となる。


487 宵:初の女性天皇ですか。……凄いな、環は。


488 環:後もうひとつ……その……旦那様にも、間もなく送り花が贈られることになります。


489 宵:私に?


490 環:……はい。送り花を贈るのはまだ先なので、通達には少し早いのですが……。既にお花が。


491 宵:そう、か。


492 環:余り驚かれないのですね?


493 宵:これでも驚いているよ。でも、この部屋に通された時からなんだか嫌な予感はしていたから。


494 環:そうですか。


495 天皇:当分の間は別の者に役目を任せる事とする。2人の時間を大事にしなさい。


496 宵:お心遣い感謝します。


497 天皇:今日はもう下がれ。……環、また困ったら来なさい。


498 環:はい、ありがとうございます、お父様。


499 宵:ありがとうございました。失礼致します。







【現在・菊理邸】



500 環:旦那様、大丈夫ですか?


501 宵:環か。……大丈夫だよ。


502 環:何をお考えになっていたのですか?


503 宵:んー?……いや、今まで沢山の人に送り花を贈ってきたけど、こんな気持ちだったんだなぁって。


504 環:どんな気持ちです?


505 宵:何か、何とも言えない気持ち?……まだ実感が無いけど、あー死ぬのかって寂しい気持ちと、なんで私がって怒りと、あと……環を置いて行かなきゃいけない事に対する、なんと言うか……申し訳無い気持ちと。……そんな感じ。


506 環:さようですか。……旦那様、私のちょっとした独り言に付き合っては下さいますか?


507 宵:あぁ、構わないが。


508 環:旦那様は、77条が出来た意味について考えた事はありますか?


509 宵:いや、特には……。


510 環:実は、憲法第77条はお爺様が作った法律なんです。


511 宵:割と新しいんだな。


512 環:どうやら秘密裏に行っていたものを大々的に、と動いたそうで。やっとお爺様の代で実現出来たそうです。


513 宵:へぇ、凄いな。今ですら反発も多いのだから当時はもっとだったろうに。


514 環:えぇ。物凄い年月を経てようやくだったそうです。


515 宵:どんな思いで作ったんだろうな……。


516 環:これは私の考えですが、転生を願ったのではないかと。


517 宵:転生……。


518 環:せめて、今世の最後くらい笑って過ごせるように、そして生まれ変わってまた笑える日々が送れますように、と願いを込めて花を贈ったのではないかなと、私は思っております。


519 宵:送り花というのは、こちらの世界からあちら側へ送り出すという意味が込められているんだったか?


520 環:はい。送り花を持つ死者は、転生の際に花持ちとして優遇されるそうです。生まれ変わる際に、希望の家柄に生まれたり、勉強が出来たり、綺麗な顔立ちに育ったり。そして、此岸と彼岸を繋ぐ者、括る者が菊理家でございます。


521 宵:なるほどなぁ。……またひとつ賢くなった。


522 環:ふふ、それは良うございました。ですから、旦那様?……決して、余命宣告や諦めろという意味ではないのです。送り花は人の心に寄り添うものですよ。大丈夫です。


523 宵:環……ふふ、その話はもう少し前に知りたかったなぁ。


524 環:それもそうですね。もう少し早くこのお話はすべきでしたね。


525 宵:そうだね。……時間が、もっとあればなぁ。


526 環:まだ時間はありますよ。それに、そんなにメソメソ、ウジウジしていたら時間がもったいないです!沢山……沢山、やりたい事しましょう。……何処まででも御一緒致しますから。


527 宵:ありがとう。……おいで、環。


<宵がそっと環を抱きしめる>


528 環:これは、今は私の役目のはずです。


529 宵:いーや。私の役目だ。……ふふ、よしよし。


530 環:もう、旦那様は本当に……うぅ……。


531 宵:ごめんね、君をまた1人にしてしまうね。


532 環:そんな事仰らないで下さい。


533 宵:心は……ずっとそばに居るから。


534 環:心はって……心も、にして下さいよ……。


535 宵:ふふ、今日は一緒に寝ようか。……ね、環。


536 環:今日も、の間違いでしょう?……旦那様。


537 宵:ずっと、ずっとそばに居るからね。


538 環:ふふ……約束ですよ。







【その後】



539 明:こっちに来るのが早すぎるんじゃないの?


540 宵:まぁそう言わないでよ、姉さん。


541 明:あーあ、娘の顔も見ないでこっちに来て。何やってるんだか。


542 宵:あはは、心が痛いな。


543 明:宵……ごめんね、全部押し付けて。


544 宵:……うん。


545 明:もっと色々話せばよかったって凄く後悔した。


546 宵:それは僕も同じ。


547 明:姉さんの前で背伸びすんじゃないよ。


548 宵:姉さんは変わってないね。


549 明:ここで色々見ていたからね。あんたの事も、周りの事も。


550 宵:あー、そういえば。知らなかったよ、尊と恋仲だった事。


551 明:そりゃあ言ってないからね。


552 宵:教えてくれても良かったじゃん。


553 明:やだやだ!言わないでしょそういうのは。


554 宵:確かに。


555 明:あんたはいいお嫁さん貰ったね。……よかった。


556 宵:うん、僕には勿体ないくらい、素敵な嫁さんだよ。


557 明:姉として、とても鼻が高いよ。立派な弟夫婦で。


558 宵:それはどうも。……ふふ。


559 明:あはは!


560 宵:……姉さん。


561 明:何?


562 宵:今度こそ、貰ってくれる?


563 明:……もちろん。ありがとう。



564 宵M:彼岸花。それは、人々の幸せを願う転生の花。







【数年後】



565 環:えぇ、今日もお話しましょうか。……そうですね……お父様はとても強がりな人でした。そして、とても立派なお仕事をなさっていたのです。いづれそのお話もゆっくりしましょうね。



(終)



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Special Thanks 


46-38様


台本の上に掲載してある画像の題字を46-38様が描いて下さいました!素敵な題字をありがとうございます(。ᵕᴗᵕ。)"