スサノオさま、中つ国へ...
古事記のはなしに戻りたいと思います。
「天の岩屋戸」事件のあと、スサノオさまは、髭と手足の爪を切られて、高天原から放りだされてしまいます。でも、髭を剃って綺麗になったスサノオさまは、かなり素敵な男神だったと思います。イケメン!!? あ、神さまに失礼なことを申し上げてしまいました。
ここから暫くは、アマテラスさまからスサノオさまに主役が変わります。
(現代語訳)
追放になったスサノオは食べ物を大気都比売(オオゲツヒメ)に求めた。
そこでオオゲツヒメは鼻や口、また尻からさまざまなおいしい物を取り出し、色々調理して奉ったが、これを隠れて見ていたスサノオは汚れた食べ物を差し出したと思い、すぐにオオゲツヒメを殺してしまった。
そこで殺されたオオゲツヒメの身体から、頭からは蚕が生まれ、二つの目から稲の種が生まれ、二つの耳から粟が生まれ、鼻から小豆が生まれ、女陰から麦が生まれ、尻から大豆が生まれた。
そこでカムムスヒ御祖命はこれらを取って種とした。
※ここの部分は「月読尊」のところに書きましたが、「日本書記」とは記述が違っています。「日本書記」はこの事件で、アマテラスさまとツクヨミさまが断絶し、昼と夜に別れたという流れになっております。それに比べると、「古事記」ではあまり脈絡的にはなにを言いたいのかは分かりません。ただ、ご安心ください。ここで斬られたオオゲツヒメさまは、後々、オオトシ神さまの子ハヤマトさまの妻となり、八神を産んだという記述があります。
(現代語訳)
こうして追放されたスサノオは出雲の国の、斐伊川の上流にある鳥髪というところに降りた。
そのとき、川の上流から箸が流れてきた。
そこでスサノオは川上に人がいると思い、それをたずねて、上っていくと、老人と老女が二人、少女を間に泣いていた。そこで「おまえたちは誰だ」とおたずねになった。
すると老人が「私は国つ神の、大山津見(オオヤマツミ)の神の子です。私の名は足名椎(アシナヅチ)といい、妻の名は手名椎(テナヅチ)といい、娘の名は櫛名田比売(クシナダヒメ)といいます」と答えた。
また、「おまえはなぜ泣いているのか」と問えば、「私の娘は、もとは八人おりましたが、高志のヤマタノオロチが毎年やってきて食べてしまいました。今がやって来る時期なので、泣いているのです」と答えた。
そこでスサノオが「それはどのような姿をしているのか」とたずねると、老人は「目はほおずきのように真っ赤で、胴体は一つで八つの頭と八つの尾を持ち、背中は苔むし、檜や杉の木が生えていて、その長さは八つの谷、八つの峰にわたり、その腹はいつも血が滲んでいる」と答えた。
そこでスサノオは「このおまえの娘をわたしにくれないか」と仰せになると、老人が「恐れ多いことですが、まだ名前を伺っておりません」と答えた。スサノオが「私はアマテラスの弟である。そして今、天より降りてきたのだ」とお答えになると、アシナヅチとテナヅチは「それは恐れ多いことです。娘をさしあげましょう」と申し上げた。
※スサノオさまとクシナダヒメさまの出会いですね。
しかし、あねさまの七光りはすごいですね。アマテラスさまの弟だと言っただけで、即OKなんですね。
そして、いよいよ「ヤマタノオロチ」との対決です。それは次回に...