【1978 メキシコシティ メキシコシティ近代美術館MUAC メキシコ】
1978.03.22
1978年3月22日にメキシコシティ近代美術館で開催された「Salón 77-78: New Trends」展、そこで一風変わった物干しロープが展示された。
それがEL TENDEDERO/ The Clotheslineだ。
この作品は、さまざまな階級、年齢、職業の女性たちに、
「女性として、この街で一番嫌いなものは何ですか」
という質問の回答をピンクの小さな用紙に書いてもらうというものであった。
当時の反応の大部分は、路上や公共交通機関での性暴力を中心にしたものだった。美術館で不思議なことが起こった。
展覧会を訪れた女性たちが自発的に参加し始めたのだ。
彼女たちはそれを自分たちのものにした。
この作品はメディアにも波及した。モニカが日常生活や公共交通機関で感じた違和感は、他の多くの女性にも共有されていたようだった。
この作品が重要なのは3つの理由がある。
まず、この作品はモニカ・メイヤーにとって最初のコンセプチュアルな作品であった。そこから、今回のように女性の答えを探しに出かけることやインスタレーションのように、行動の要素を含むフォーマットを考えるようになった。
1970年代、アメリカでは社会運動とアートをむすびつけるソーシャル・プラクティスやフェミニスト・アートや生まれ、メキシコでもその流れを受け新しいアートとしてアーティストたちに受け入れられ始めていた。この作品はまた、モニカにとって最初の鑑賞者参加型の作品でもあった。
一方で、それまでのモニカの作品にも一般的にフェミニズム的な内容は含まれていたがそれらは、今日においてアーティヴィズムとして知られているものに近く、the Clothelineは明らかに「個人的なものが政治的なもの」になるような社会問題を糾弾する作品になった初めての作品である。
最後に、『The Clothesline』は、それ自体が生き続けている作品であり、何度も「再活性化(reactivate」)されている。
このことは、いつ、なぜそれを発表することに同意するのか、ということをモニカに問いかけるものでもあった。それがその場所においてどのような意味を持つのか、なにをするためにThe Clotheslineを行うのか、アーティストと主催者が深く考えるきっかけにもなり、それもまたこの作品の一つの大きな特徴でもある。