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システムの氷山モデル

2021.01.12 23:33

システム思考の基本的な枠組みのひとつに「氷山モデル」があげられます。

システム思考は、現れている問題はどのような要素のつながりで起こっているかを考え、表面的な問題にとらわれず、より本質的な物事を明らかにするためのアプローチです。「氷山の一角」という言葉は、水面上に現れている事柄は物事の全体のほんの一部分であり、それはシステムの特徴を表しています。では、水面下に隠れている部分、氷山の全体像を明らかにするにはどのようにすればいいでしょうか。


1.作業ミスは「できごと」と捉える

例えば、ヒューマンエラー(作業ミス)が発生した時どのように対処しているでしょうか?

このような「できごと」があったときに、すぐに「ミスが起きないように注意しよう」「作業の後、もう一度確認しよう」など、対策や解決策を考えようとします。ここで「ミスしないようにしよう」と思っている問題は、氷山にたとえると、海水面の上に見ている部分であり、それぞればらばらに発生している「できごと」です。

この「できごと」のレベルで解決策を考えても、対処療法にとどまり、しばらくしてまた同じ問題が起きたり、別の場所に問題が移ったりするだけで、効果的な解決にはなりません。


2.現場の状況

上図で表されているように、水面上に見えているできごとは、全体のほんの一部であって、その下には、現場の状況として「時系列パターン」「行動パターン」があります。表面に見えているできごとを過去にさかのぼって考えてみると、「いつも月末になるとタイムプレッシャーがかかる」「終業時刻に近づくと疲れで集中力がなくなる」といったパターンが見えてきます。そして、このまま同じやり方をしているとどうなるか、というパターンも考えることができます。このパターンがわかれば、たとえば休憩時間の調整、人員体制の増強などの対策が可能になります。


3.構造によりパターンを変える

さらに、より本質的には経時パターン、行動パターンそのものを変えることです。  実は、経時パターン、行動パターンを生み出すのが、氷山のさらにその下にある「構造」です。

工場の現場では、「構造」とは、「モノと情報の流れ」を淀みなくする「しくみ」であったり、人のスキルを向上させる教育訓練の「しくみ」が該当します。

そのしくみの具体的な内容は、作業手順書、検査標準書など、直接現場作業を規定するもの、生産計画や生産進捗情報を関係者で共有するしくみ、変更情報や不良情報を共有するしくみ(4M管理)などが該当します。

このしくみ(構造)を変えることによって、パターンを変えることができます。


4.構造を作り出す暗黙のルール(慣習)とは?

そして、さらに深いレベルには、そのシステム構造の前提となっているいろいろな意識・無意識レベルの暗黙のルール、慣習や価値観があります。これを組織風土といいます。この例でいえば、「しくみの欠陥」のことを考えずに、ミスは「作業者の意識の問題」であり、すべてを作業者の原因として対処しようとする風土があるなどです。

一般に、工場の現場ではこのような風土が強い傾向があります。