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Our Clothesline with Mónica Mayer

【2018 ワシントン  NMWA#3 ワシントン国立芸術女性博物館NMWA アメリカ】

2021.01.13 04:52

NMWAでますます重要になってきている分野の一つに、メラニ・ダグラス(Melani Douglass)とアリシア・グレゴリー(Alicia Gregory)によるパブリック・プログラムがある。

The ClotheslineはNMWAで展示されるソーシャル・プラクティス(社会的実践)の中でも最初のものだったので、彼女たちと密接に協力してプログラムは進められた。

美術館がこのプロジェクトを本当に受け入れていたため、その体験はとても興味深かいものになった。

2017年11月12日に開催されたFresh Talk Forumを例に挙げよう。

フォーラムのプログラムには、モニカがThe Clotheslineについて行った短い講義が含まれていた。メラニーが司会を務め、La Clinnica del PuebloのDilcia Molina氏、The Living WellのMaruissa Stone Bass氏とモニカが参加したパネルディスカッションであった。最終的には一般公開され、会場にいた約200人が参加した。

モニカの講演やパネルトークはこちらから見ることができる

ここまでは順調だった。

驚いたのは、始まる前にメラニーが観客に「モニカや彼女の作品を知っている人はいますか」と尋ねたところ、数人しか手を挙げなかったことである。

彼らはモニカ・メイヤーの作品だから集まったアートファンだけではなく、主にジェンダー問題に取り組む団体や暴力に反対する組織、これらのテーマに取り組むアーティストのグループで構成されていたのだ。

モニカはそれにパネルの最後に、司会者が聴衆に質問をするように促すのではなく、女性に対する暴力に対する戦略や行動を共有するように呼びかけたときに気が付いた。

フォーラムはアートについてだけでなく様々なプロジェクトや戦略が議論される場であり、ネットワークづくりに役立つ場でもあったのである。

しかし、もっともモニカの心に残った出来事の一つはアメリカに合法的に住むグアダラハラ出身の女性の言葉であった。

彼女は最近、小学生にレイプ犯とは何かを説明しなければならなかったとコメントした。なぜなら、学校にいる他の子どもたちが、自分がメキシコ人ならレイプ犯だと言っていたからである。

ジェンダー暴力と人種差別の間で、私たちは困難な時代に生きているのだと実感したのだ。


その夜、立派な美術館での夕食で、『House of Ruth』について抱いていた問題はすべて払拭された。彼らのうちの数名が到着し、本格的にフォーラムに参加した。

彼らのほとんどは、それまで美術館の中に入ったことさえなかった。

とても温かく迎え入れられ、楽しい時間を過ごすことができた。

ラ・クリニカ・デル・プエブロ(La Clínica del Pueblo)からの大人数も到着した。その中には、政府の建物が多いことや、美術館に入る際に身分証明書を求められると思い、捕まるのが怖くて、その地域にすら近づかない移住者が多かったという意見もあった。

前回のワークショップに参加していたアーティストや活動家の方を何人か見かけたり、興味深いことに、それが一番うまくいったミーティングであったのだ。

NMWA Clotheslineについて印象的なポイントは、ワシントン・ポストやガーディアンなどの新聞に記事が掲載され、プロジェクトの宣伝になったことである。

プロジェクトが彼らの目に留まったのか、美術館の報道部門が非常にうまく機能しているのか、メキシコでのプロジェクトを取材することが当時のアメリカ大統領トランプへの抵抗の一環なのか、それとも#MeToo運動がそこにあったという事実が作品にスポットライトを当てるのに役立ったのかはわかりらないが、取材は非常に良く機能し多くの人が記事を見て美術館に来た。

これらの事実は、ごく最近まで国際的に知られていたフェミニズム・アートの歴史は、欧米のものだからこそ重要なのだということを端的に表してもいた。モニカは少しずつ物語を変えていかなければならないという思いを強くした。