【2018 メキシコシティ モダンアメリカンスクール高校でのThe Clothesline メキシコ】
2018年9月、モニカの母校であるメキシコシティのモダンアメリカンスクールに通う高校生のアナ・ソフィア・エステバ(Ana Sofía Esteva)からThe Clotheslineを開催したいと連絡があった。
彼女は現代美術館(MUAC)でボランティアをしていて、2年前にそこで私の展覧会を見て興味を持ったということであった。
モニカは若い人がTheClotheslineに興味を持ってくれたことに感銘を受けし、すぐに快諾した。
学校でThe Clotheslineを作るのは匿名性を確保できず、辛い経験を共有するために必要なプライバシーを持つことが難しいので、簡単なことではない。一方で、学校である以上、教師や生徒に対する直接的な告発があるかもしれない。
このため、名誉毀損の可能性について騒がれ、多くの場合、当局は学生を支援する代わりに、教育機関の威信が損なわれる可能性について防御的になり、何もしないことが多い。
当時、モニカは日本のあいちトリエンナーレで「The Clothesline」の開催を企画しており、しかし学芸員の担当者は、文化的なプライバシーの問題から、答えをぶら下げているところを見られるのを恐れて参加しないのではないかと危惧していた。
モニカはまず小さな箱に答えを入れて、それを美術館の人が回答をぶら下げるというのも一つの選択肢ではないかと考え、この解決策もまたこの高校でのThe Clotheslineに当てはまるのではないか、と考えた。
アイデアは非常にうまくいった。
回答は匿名でなければならないという明確な指示があり、作品のために用意したメールボックスに入れるようになっていた。これにより、非常に苦痛な対応が共有され、教師に対する苦情の場合には、学校の管理者に直接送られて調査を受けることができるようになった。
質問は以下の通りである。
1.いじめを防ぐために、どのようなことをしてきましたか?
2.女性であることのメリットとデメリット
男であることのメリットとデメリット
4.あなたはいじめについてどのような経験をしましたか? あなたはいじめを受けたことがありますか?
5.社会における男女の役割とその重さについて、どのように考えていますか?
6.性差別的な発言を聞いたことがありますか? それを防ぐために何かしましたか?
7.最初に男女の役割を区別したのはいつですか? どのようにして区別したのですか?
8.LGBTQ+コミュニティに対する差別についてどう思いますか? あなたはそれに対して何をしてきましたか?
モニカはフェミニズム・アートや彼女の作品についての講演会も行った。
会の最後にはコメントや質問などが溢れる、長くて濃いセッションになった。悩みや葛藤、先生への愚痴まで聞かされる大変有意義な時間であった。
モニカ自身の高校生時代は敵対的な文化といじめが蔓延していたので、最初は学校の記憶が良くないものであった。しかし長い年月を経て、ようやく自分が勉強したいと思っていた学校に、理想的なクラスメイトと一緒になれたことに安堵感を覚え、(いつか高校時代に自分に唾を吐いたナメクジ野郎に会って、同じことを仕返してやりたいという妄想は今でもあるらしいが)、新しい世代の人たちと一緒に暮らすことは、モニカを慰め、他にも生き方があることを確認させてくれた。