リチャード・フォータス(GNR) × トッド・カーンズ(Slash) #2
現在お届けしているインタビュー訳Pt.2!
スラッシュのバンドのベーシスト、トッド・カーンズが、ガンズで同じくスラッシュと共にプレイしているリチャード・フォータスを迎えてのトークです。
前回はそれぞれの育った街やハリウッドについての話でしたが、今回は「リチャードの音楽的履歴」「GNRで組んだバカテクプレイヤー」「ロックミュージシャンとして成功の秘訣」等、非常に興味深い話が登場します。
T: トッド
R: リチャード
フォータスのロック歴
11:50
R: オレは12~13歳の頃にギターを始めたんだけど、あの頃はオールドスクールなロックに夢中だったんだ。ストーンズやデヴィッド・ボウイ、YESやGenesis辺りさ。
世間ではオジーやMotley Crue、Poisonなんかが人気だったけど、オレはそういうのにハマらなかったんだ。
で、その後にはジャズやフュージョンにハマったんだ、一時期のジェフ・ベックがやっていたような感じのね。
この頃にやっていた音楽を通してテクニックを磨いたよ。バンドを組んで地下室で必死に練習に励んでね。
どうせステージでプレイしたって、誰も金を払って聴きたがるような音楽ではなかったからね(笑)
T: 笑
R: ところが、15歳になった時にThe Clash を聴いてすべてが変わったんだ。
テクニカルな要素も自分の中で維持しながら、でもそれを自分のプレイの主軸にするのを避けるようになった、とでも言うか。
The Police のアンディ・サマーズだってめちゃくちゃ上手いギタリストだけど、でも彼は決してそれを見せつけたりしないだろ?
この感じ、わかってもらえると良いけど。
T: ああ、もちろんわかるし、すごく良い点を挙げてくれたよ。
つまりさ、そういったもの(テクニカルなプレイを出来る能力)は常にポケットに入れてあるけれど、毎回それを見せる必要は無い、ってことだよね。
あと、キミがそういったバンドから「純粋な演奏能力」ではなく、「音楽に対する姿勢」を見つけたことも興味深いよね。
僕らも皆、そういったものをKISSやRamones、Cheap Trickから学んできたしね。
一緒に組んだバカテクプレイヤー達
16:10
T: オレは技術的な意味で「ギターオタク」というのではなく、単純にギターの形が好きで、世のギタリスト達がどういう活動をしてるかを追いかけるのも好きなんだけど、
(*トッドはスラッシュのバンドではベースを弾いていますが、昔からGt/Vo としても活動していて、カナダのギターメーカーから自身のシグニチャーモデルが発売されたりもしています)
アクセルがバケットヘッドを見た時に、「あ、コイツだ」と思ったのは容易に想像できるよ、彼のプレイを10分見るだけでも充分だっただろうね。
R: (ここから慎重に言葉を選びながら)バケットは(技術的なだけでなく)とても「音楽的」なんだよ。
ただ、時にああいったとてつもない才能を持つプレイヤーは…彼らは必ずしも…(言葉に詰まる)
T: 「万人向け」ではないってこと?
R: いや、そんなことはないと思う。彼の音楽は素晴らしいよ。
GNRの時でも、彼はどうすればギタリスト3人体制が機能するかを理解していたしね、それってとても難しいことなんだけど。
彼がギターの構成をアレンジして、自分はいつも通り「奇妙でバケットヘッドらしく」プレイしてたよ(笑)
T: 笑
R: ただ、彼らのようなプレイヤーは、部屋に籠って一人で練習するのにとてつもない時間を費やしてきただろ?これって、一般社会からはかなりかけ離れているわけでね…
(会社勤めだけでなく)バンドでも、上手くやっていくためには、メンバー含め他の人々と関係を築いていかなきゃならない。僕自身は彼と上手くやっていたけど、彼はそういう面で苦労があったと思う。
ロン・サール(バンブルフット)も、ガンズ以前にあそこまで「バンド」というレベルでの活動は無かったと思うから、適応するのはちょっと難しかった気がするよ。
*これは批判でも何でもなく、リチャードが実際に彼らとそういう話をしたり、隣で見ていてそう感じた、ということだと思います。
使い古された表現ながら…
18:35
R: この事実がどれほど見逃されてるか、って話なんだけどさ、他のメンバーと練習して、ライブでプレイして、バンに乗って旅をして、彼らと一緒に床で雑魚寝して…
こういった経験こそが、「四人の人間と結婚するとはどういうことか」を教えてくれるんだよ(笑)
T: 100%事実だね。
R: これこそ、バンドをやる人間が培っておかなきゃいけないスキルなんだよ。
チームプレイヤーでありつつ、個人レベルでもモチベーションを持っていなきゃいけないし…
T: あと野心もね。
これ、オレが今までに何度となく話してきたことなんだけど、「キミは地球上で一番のギタリストになることは出来る。でも、例えそうなっても、他の連中とつるむことが出来なかったら一人きりだ」とね。
R: その通りだ。
オレ達の世界ではよくあるんだよな、「コイツはアイツほど楽器が上手くはないけど、でも一緒にいて楽しいヤツだ」っていうことがね。
音楽への没頭という真の愛情が、人と人を引き合わせてくれるんだよ。
時々、若いバンドマン立から質問されることがあるんだよ、「自分自身のキャリアのために、これ以上何をやれば良いですか?」って。
(ため息をついて・笑)オレからすれば、
「もしキミがこれをビジネスモデルか何かとして見ているなら、絶対に上手く行かない。他の選択肢はあり得ないというレベルで、自分がやっていることを愛せなきゃダメだ」ということなんだよ。
オレがキッズだった頃、オレにはこれしかなかったんだよ。ギターを弾くことが全てで、唯一やりたいことだったんだ。
続く…