グアルディオラ、モウリーニョとの戦術対決を制す
モウリーニョはシティ相手のダービーに2-1で敗れた直後のインタビューで選手たちを非難した。
「数人の選手は平均以下のプレーだった。時々、選手たちは監督を失望させることがある。」
しかし、ユナイテッドの前半の乏しいプレー内容はモウリーニョの戦術の失敗によるものだと言わざるをえない。
グアルディオラの4-3-3のフォーメーションにおいて、相手にとって最も危険な選手は二人の攻撃的MFであるシルバとデブルイネだ。二人はより高いポジションが本来の得意とするポジションでありながら、この3MFの攻撃的なMFという新しいポジションに見事に順応している。アグエロという絶対的エースを怪我で欠いていたシティ相手に対して、このシルバとデブルイネを自由にプレーさせないことがモウリーニョにとって最も大事な任務であった。
しかし、その課題に対してモウリーニョは明確なプランがなかった。彼はこれまでの試合通り、フェライニとポグバをダブルボランチで起用し、このコンビは前半に度々守備力の低さを露呈した。特にポグバはまるでユーベ時代にプレーしていた3MFの一角のような本来いるべき場所に比べ攻撃的なポジショニングをしていた。ボールを奪われた際に、奪われた場所よりも高い位置にいることが多く、それによりディフェンダーの前にフェライニのみしか残っていないという状況が度々見られた。今シーズン、ここまで素晴らしいプレーをしていたフェライニだったが、この試合ではシルバとデブルイネを止めることができなかった。
ユナイテッドの守備の問題は攻撃的なポジションを取る傾向があるバレンシアとショーの両サイドバックをシティのウィングであるノリートとスターリングがつくことでさらに大きくなった。それにより、特にシティの左サイドには大きなスペースを与えることになった。デブルイネはバイリー、バレンシア、フェライニの間にポジションを取ることでユナイテッドはデブルイネに広大なスペースを与えてしまった。
この試合ではデブルイネが攻撃を司っていた。シティは左サイドから攻撃を組み立てていき、その後逆サイドのウィングのスターリングへとボールをつないで、ユナイテッドの左サイドバック、ルーク・ショーを狙う攻撃が目立った。その攻撃に対してユナイテッドは普段は安定感のあるセンターバックのブリント含め全く対応できず、前半のみで2点を失った。
前半終了間際に、シティのGKブラーボのミスを突いたイブラヒモビッチのゴールで1点を返し、1−2としたのち、後半からモウリーニョはフォーメーションを変更した。サイドでスタメン出場したムヒタリアンとリンガードを外し、エレーラとラッシュフォードを起用した。エレーラを3MFの一角に配置し、ラッシュフォードを左サイド、そしてトップ下でプレーしていたルーニーを右サイドに回し、4-3-3に変更した。
違いは歴然だった。エレーラは後半早々ボールを奪うプレーをするなど、ユナイテッドの中盤に安定感をもたらした。これにより、ポグバとフェライニは一つ高い位置に置くことが可能になることでフェライニをロングボールのターゲットとする作戦によりユナイテッドが試合を支配し始めた。特に、プレッシングが格段に改善されたことで、シティでのデビュー戦でいきなりダービー出場となったブラーボにプレッシャーをかけ続けた。前線の選手たちがシティの最終ラインの選手たちに積極的にプレッシャーをかけることでシティが前半のように攻撃を組み立てられなくなっていった。
そこで、後半開始後わずか8分でCFのイヘナチョを下げ、アンカーで守備力の高いフェルナンドを起用し、フェルナンジーニョとデブルイネをそれぞれ一枚高いポジションに配置する4-3-3のシステムに変えた。それにより、ディフェンス、中盤が共に安定し再びシティがゲームの主導権を握っていく。シティはスターリングに変え、サネを投入後何度かカウンターによって追加点のチャンスがあったもののものにすることはできなかった。
モウリーニョはラスト10分の場面で、3枚目の交代カードを切り、ショーに代えてマルシャルを投入し、4トップで同点を狙うものの、それにグアルディオラがフェルナンジーニョを最終ラインに配置する5-4-1のフォーメーションにしてユナイテッドのロングボールに対応した。
マンチェスターダービーの初戦はペップがモウリーニョとの戦術対決に勝ったと言えるだろう。スタメンのシステムでユナイテッドを圧倒し、前半リードを奪う。モウリーニョが後半頭から4-3-3に変更して攻勢してくると、ペップもフェルナンドを起用して迅速にかつ効果的に対応した。戦術対決というと、守備的で暇な試合を連想しがちだが、この試合は見どころのある試合となった。
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