「台湾との二重国籍」という表記は明らかな誤報
【政治論説】 平成二十八年九月十三日に民進党の蓮舫代表代行が、台湾籍が残っていた事を認め喪失手続きの最中である旨を記者団に伝えた。本件に関する連日の報道各社の「二重国籍」という表記は明らかに誤報である。何故ならば、台湾(中華民国)を日本は国として承認していないからだ。詰まり台湾を国と認めてないので、日本にとって中華民国の国籍は、そもそも国籍ではない。一戸籍として日本は扱っている。故に「台湾戸籍、且つ日本国籍」が正しい表記だ。
これが中国(中華人民共和国)や米国(アメリカ合衆国)であれば、日本は国として承認してるので「二重国籍」となる。報道現在で中華民国は日本と国交に準じた関係だ。国ではなく地域として扱っている。それは昭和四十七年から続いており、中華人民共和国を意識して「日中共同声明」においても中華民国を「十分に理解し尊重する」と表明したに過ぎない。
中華民国側は国交回復を望んでいるが、日本側に動きはない。よって日本人の蓮舫代表代行が台湾籍を有していても、二重の国籍とは国際法的に成り得ない。誤った歴史認識や現状を伝えかねない、誤表記である。中華民国を地域として扱っている以上、国籍と表記する事は中華民国に対し失礼ではないだろうか。蓮舫代表代行は、「二重国籍ではない。」と断言していたが、これは正しい。籍が残っていたとしても、国籍と日本は見做さないので、虚偽ではない。
蓮舫代表代行は、参議院議員で立法府のメンバーだ。確かな法的文言は彼女達の本業である。同様に問題として二十三年八月九日、自民党・大江康弘 参議院議員は西岡武夫 参議院議長に対し「戸籍における台湾出身者の国籍表記に関する質問主意書 - 参議院」で、台湾出身者の戸籍欄について質している(両名の地位は当時)。法律を分かり易く伝える事が本分の報道機関の記者らが、法的文言及び歴史に厳しくなるべきであろう。
撮影:岡本早百合
© FPhime