美肌の科学 華は唇にあわられる
唇の皮膚は、顔の皮膚とは異なる構造をしている。毛や皮脂線、汗腺が存在しない。そのため、顔の皮膚の場合は皮脂腺からのあぶらと汗腺からの水分が混ざり合って天然のクリーム(皮脂膜)が形成され、乾燥など外部環境から肌を守っているのであるが、唇にはこの皮脂膜が形成されていないため、とても敏感でダメージを受けやすい。
【東洋医学的考察】
口は胃腸の入り口でありひと続きの器官であるため、胃腸の状況がよい場合は、食欲があり味も美味しく感じられる。東洋医学の観点では、胃腸の健康状態があわられる場所は「唇」とされている。胃腸の働きが正常であれば、唇の色は薄紅色でツヤもよい。
唇が荒れる原因は、胃の中に炎症が起こっている状態と考えられる。熱(炎症)は、上の方へとどんどん昇っていく性質があるため、胃の中の熱が口に上蒸してあらわれた症候群である。唇を健康に美しく保つためには、胃の中にこもった熱を取り除くことが必要である。
よくみられる症候としては、唇がひび割れてガサガサになる、口の周りに吹き出物ができる、口の端が切れる(口角炎)などがある。唇の深紅色は多くの場合、胃熱の表現であり、共に口渇、口臭、歯ぐきの腫れ、多食、便秘を伴うことが多い。
《主な原因》
脂っこいものや香辛料の過食、過度な飲酒、強い緊張
《胃の中の熱を冷ます食材》
緑豆、白菜、きゅうり、ニガウリ、茄子、トマト、れんこん、栗、すいか、りんご、梨、オレンジ、バナナ、キウイフルーツ、豆腐、春雨、緑茶、金銀花、蒲公英
【唇のスキンケア】
上唇は皮膚の延長からできていて、下唇は口腔粘膜の延長からできているため生理的にどんな人でも上唇よりも下唇の方が紅色が強くなる。
唇は角質層が薄くバリア機能が低いため、紫外線を浴びると皮膚のようにシミができるというよりかはコラーゲンが壊されて唇のボリュームがなくなって、縦シワが認められるようになる。
また外気に直接に曝されている粘膜であるため、水分を保持する機能は十分に備わっていない。顔面皮膚の中でもいちばんデリケートで乾燥しやすいといえる。これは保護的な意味でも、ふつうの皮膚のスキンケア用クリームのようなものと違い、密封性の高い油脂成分主体のリップバームが求められる。
くすみに対するケアとしては、お風呂上りなどで角層が柔らかくなっているうちにスクラブ剤を唇の輪郭からはみ出るくらいたっぷりとなじませた後、優しくらせんを描くようにマッサージすると余分な角層がはがれ、代謝を促すことができる。週に1回のケアでみずみずしく血色感のある唇をキープすることが可能である。
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