いきかたのデザイン Vol5 《地域のつながり、そして調整》
《地域のつながり、そして調整》
次の地区での開催に向け、新荘地区での経験や協力者のアドバイスから、"つながりを活かす"工夫を心がけてみることにした。 社会全体に個人主義が進む中、まだまだ地域の暮らしは古くから培われてきたつながりの上に営まれている。
自治会、町内会、老人会、婦人会、青年会、防災を目的とした消防団、地区商業振興への商工会、通り会他、状況、目的に合わせて多様なつながり=コミュニティが存在する。お話会を開催するにあたり全てのコミュニティにご挨拶が出来れば良いのだが、そう都合よく会えるものてはない。まずは話を聞いてくださる方に出会えないだろうかと市民センターへ伺い、地域で横断的に活動されている民生委員さんを紹介していただくことにした。民生委員さんは、地域を見守る心強い存在で、とりわけ高齢者の暮らしに寄り添われている。
常磐市民センターを訪ねた日、ちょうど民生委員の斎藤 通さんが図書室ボランティアにいらっしゃる日で、早速ご紹介いただき「コミュニティと在宅医療のお話会」開催について意見交換させていただいた。
常磐地区も高齢者が多く、定期的に安否確認に歩かれていると言う。
「ここはね、一人暮らしの高齢者が多い地区なんよ。どうされているかと訪ねているが、なかなか会えないのよ。」
これまで歩いてきた新荘地区と同じである。
「在宅医療やケアのことは私も含め殆ど知らないから、そういう機会を持つことは喜ばれると思うよ。あとで常磐ランドの会(連合町内会)会長の吉羽さんに伝えるから話をしてみて。」
そうして、その日の夕刻には伝えていた携帯電話に吉羽さんから連絡が入り翌日お会いさせていただくことになった。
次の日、吉羽文男会長にお会いし常磐地区の状況を伺いながら在宅医療、ケアの話をさせていただいた。しばらくして、
「実は我が家は妻が訪問看護を受けながら、自宅療養をしておりまして、、。もう、7年になりますでしょうか。」
「ええっ、そうなのですか?」
「たまたま入院した病院の看護師さんから勧められ訪問看護という制度があることを知りました。その頃、家族で協力し入院中は毎日病院へ通っていましたが、本当に大変でした。最初は自宅で大丈夫かな?と心配でしたが、おかげさまで心豊かに日々を送らせていただいています。」
いきなりこのような話をさせていただくようになるとは思ってもいなかった。
そして、
「わかりました。是非、常磐地区で在宅医療、ケアの素晴らしさを伝えていきましょう。ずっと安心して住み続けることが出来るように。まずは役員会でご紹介ください。」
先のことではなく、まさに身近なテーマであった。(しかし、偶然は恐ろしい) こうして連合町内会の力強い協力のもと地区への回覧で紹介されることになり、民生委員さんの口コミと共に信頼されるつながりによって広報が始まった。
全ては心と心、地域は寄り添う関係づくりからである。