いきかたのデザイン Vol7 《個々の、地域の主体性》
新荘、常磐地区での開催後、石川、新原、双葉台、渡里と隣接地区を歩いた。水戸市内は広く、環境は違い、進めるにあたっては二地区と同様につながりを確認しながら"地域のルール"を聞いて回った。そして、双葉台地区の開催が決まった。
双葉台は、昭和50~60年代に開発された団地で、戸建住宅と公営集合住宅、ショッピングモールが街区に配置されたニュータウンである。しかし、子供が独立し、徐々に人口構成が変わり、ご夫婦或いはお一人で暮らされているケースが多くなってきた。できる限り自分でかんばれるようにと、地域のつながりを大切にしながら、医療・福祉環境を知っておこうと各々が行動に移されようとしていた。
地区内には水戸済生会病院があり、生活圏でのつながりも強く案内役として、地域連携室の退院調整看護師でいらっしゃる木島照美さんに参加をしていただいた。
急患で病院へ入院され、回復後安定されてくると在宅医療、ケアをすすめられるが、もっとも状況を把握し退院後の療養環境を見極められるのが退院調整看護師の役割である。2年前(2014年)入院療養の制度が変更され、早期退院を促進され始めた中、退院調整看護師の整備は急務であるが、全病院に配置させるところまではいっていないのが現状である。
双葉台地区でのお話し会は、より専門的な話しが進んだ。退院時の質問も多く、木島さんはわかり易く明確に答えられた。在宅ケアネットワーク・専門職への質問もあり、とりわけ費用に関してや、複雑な家庭環境等、一般論では答えられないケースも出始めた。
男性A「○○機関の人なら、きちんと答えるのが仕事だろ?」
男性B「本当に一人暮らしでも大丈夫と責任持てるのか?」
返答「そうですね。いろんな状況があり一概には答えられないことも多々あります。そうした中でお話し会を持つことは自分、家族がどうありたいのか、そしてそうするためにはどう向き合っておけばいいのか、考えるきっかけにしていただければと思います。いわゆる講演会、研修会、事業説明会とは異なる、それぞれの思いを語るのがお話し会のスタンスです。」
大変活発な意見が出る会となった。
つまり、この地域でどのように暮らしていくのか、最後まで自宅で過ごすためにはどうしておけばいいのか、答えはご自身の思いの中にある。 そして、コミュニティと在宅医療のお話し会は、個々の、地域の主体性で開かれることが理想のあり方である。