いきかたのデザインVol11 《出会いが生き方、逝き方を変える》
T地区お話し会に参加されたAさん(70代後半男性)のいきかたのデザイン
「私の妻は十数年前にパーキンソン病を発症し長年自宅で療養生活を送っていました。はじめの頃は入退院を繰り返し、介助をしながら病状の安定をはかっていましたが、ある時、病院の看護師さんから訪問看護のことを教えていただき、家族の協力の上、試みてみることにしました。もちろん、大変なこともありましたが亡くなるまでの数年間、最期まで豊かな時間を過ごすことかできました。在宅医療・ケアに出会えて本当に良かったと思います。」と、お話いただき、参加者全員が想い出に心打たれ、家族愛、地域愛、関係者への感謝の心を共有した。
在宅医療・ケアの事業案内も大切だが、こうした経験者の話を身近に伺うことができることは、参加者が何より自分事としてイメージすることにつながる。
「もしあの時、在宅医療、訪問看護のことを聞かなかったら、妻も私も人生のあり方が変わっていました。水戸に住んでいて良かった。」と、何度も繰り返しお話された。
数年前の医療環境、とりわけ在宅医療は制度、技術共に現在と大きく違い、まだまだ入院療養と比較する環境とは言えなかっただろうが、こうして心に届く環境づくりができたことは家族、地域、専門職の連携によるチームが機能したことは何よりである。
現在では、在宅医療技術は入院療養と変わらぬ位になってきたと聞く。水戸エリアでは「どういきたいか」を家族、地域で確認しながら実現できる環境がより一層確立されつつある。前述のAさんも「もし、そういう状況がきたら私も在宅で過ごしたい。」と、笑みを浮かべながら話をされていた。
これからの時代、家族、住民間、専門職が一緒に話し、いきかたをデザインすることが益々大切になってくる。ひょっとするとお話し会は、全世代、全職種にも通じるワークショップなのかもしれない。