森歩きで二十四節気を楽しもう 小寒(しょうかん)~冬の生き物と寒のお茶~
1月12日は、しとしとと雨の降る肌寒い一日でした。
今回は写真を手掛かりに、冬の森で過ごす生きものや植物を探しに出かけました。
まずは建物まわりで植物探しです。
落ち葉の絨毯の中から、サクラの落ち葉を探しました。サクラの葉にある蜜腺や鋸歯(きょし/葉の縁のギザギザ)の特徴をルーペで観察し、他の落ち葉と厚みや手触りの違いを比べてみました。
次は、タンポポやハルジオンなどのロゼット探しです。
「花が咲いていれば、すぐにわかるのにね」と言いながら、足元を探して歩きます。意外にもロゼットがあちこちにあり、冬でも枯れずに春をじっと待っている姿を見ることができました。
今度は雪のように白い綿毛が目に入りました。
これはヨモギにできる虫こぶの一つで、ヨモギワタタマバエの幼虫が作ります。この中にも住んでいるかもしれません。
もこもこの綿毛に囲まれて、寒い冬でも暖かそうに見えますね。
では、この緑のつぶつぶはなんでしょう?
これはクヌギカメムシの仲間の卵で、小さな卵が密集しています。
タマゴの周りはゼリー状の物質で覆われていて、幼虫が孵化するとしばらくの間はこのゼリーを食べて過ごします。
生態園にあるアベマキの切り株では、たくさんのヒラタケが育っていました。
キノコにとっては、寒い冬でも環境さえ整っていれば元気に生えてくるようですね。
森歩きの最後に、温かい寒茶をいただきました。冷えた体に温かいお茶が染みます。
寒茶とは寒の時期(小寒~立春)に作られるお茶で、豊田市の足助地区などで作られています。
今回は2つの方法で作った寒茶を飲み比べて、味の違いを楽しみました。
参加された方からは、「タンポポやハルジオンが春に向けて頑張っているなと思いました」、「ヨモギの寄生虫は白い綿毛でびっくり。寄生虫に寄生する虫がいるのもすごいと思った。」、「足助風の寒茶が美味しかった。ヒラタケの群生にびっくりした。」などの感想がありました。
寒さが厳しい時期ですが、この時期だからこそ見られる自然の姿があります。
家にこもる時間が増える今、ぜひ外を歩いて冬の自然を楽しんでみてくださいね。
(文・写真 ちる)