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Perspective's Blog

DI:#5 データとは

2021.02.19 02:50

こんにちは、パースペクティブの德原です。

前回はデータインテグリティを遵守しないとどのようなことに繋がってしまうのかという内容でした。これからデータインテグリティの内容に入って行こうと思いますが、その上で用語に関する理解も大切であるため、まずはデータインテグリティにおける頻出・重要な用語の理解をしておきたいと思います。

そこで第5回では、MHRA*が発出しているガイダンスである”MHRA ‘GXP’ Data Integrity Guidance and Definitions” の第6章 Definition of terms and interpretation of requirements(用語の定義・要件の解釈) で説明されている用語の中から、下記の用語について引用・和訳してご紹介、解説していきます。いずれもデータインテグリティの実務を行う際に出てくる、データや記録に関する用語となります。

◆データ(Data)
◆オリジナルレコード(Original record)
◆生データ(Raw Data, Source Data)
◆メタデータ(Metadata)

”MHRA ‘GXP’ Data Integrity Guidance and Definitions”の原文はこちらからご確認ください。


*MHRA:Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency;イギリスの医薬品・医療製品規制庁


◆データ(Data)

<定義>

<解説>

データには下記が含まれます。

 さらにオリジナルレコードは下記を含みます。


*真正コピーについては一番下の~補足~にて紹介しています。


◆オリジナルレコード(Original record)

<定義>

<例>


◆生データ(Raw Dara, Source Data)

<定義>

<解説>

 <参考:GMP事例集での生データの定義>

最終結果を得るために使用した元となるデータ及び最終結果を得るに至った過程を含む記録のことをいい、最終結果が正しく出されたことを検証することができるものであることが必要である。

 <参考:GMP事例集での生データの例>

例えば、試験検査に係る生データとしては、次のものが挙げられる。
1.測定機器からプリント機能により出力されるデータ
2.記録計から出力されるチャート又は読み取った値を記録したもの
3.測定機器に表示される値を書き取ったもの
4.観察結果を書きとめたもの
5.チャートなどの波形データを電子的に記録したファイル
6.写真
7.
上記のデータを使用し計算、換算等を行った際の過程を記録したもの等



◆メタデータ(Metadata)

<定義>

<解説>

メタデータは、一般的に構成、データ要素、相互関係、およびその他の特性を記述するデータをいいます。またメタデータはデータを個人に(または自動的に生成される場合は元のデータソースに)帰属させることも可能です。

例えば、下記のようなオリジナルレコードのとき、下線の部分がメタデータにあたります。

右記を秤量した。sodium chloride Lot 1234, 3.5mg. D.I 2021年02月01日

3.5 というデータ(数値)だけだと意味が分かりませんが、メタデータがあると塩化ナトリウムロット1234 3.5mg をD.Iさんが2021年02月01日に秤量したものと分かります。
このようにメタデータはデータに補足情報と意味を与えます。

<例>


~補足~

補足として、データの形式及び状態を表す用語である、下記について紹介しておきます。


■真正コピー(True copy)

<定義>

下記の条件を満たしているオリジナルレコードのコピー

<解説>

同じ情報を持つことが検証されている というのは下記で示されます。


■動的(Dynamic)

<定義>

データの追跡・傾向確認・クエリ(問合せ) が可能で、再処理したり、詳細を確認したりすることができる電子的な形式

<例>


■静的(Static)

<定義>

内容が固定されていて、再処理やさらなる詳細を確認することができないデータや記録の形式

<例>


以上、今回は、データ、生データ、メタデータなどの定義を紹介しました。次回は、データインテグリティの原則であるALCOA+について紹介していきます。