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ねこだれる

体操・新体操のインターハイ予選を観にいった記 その1

2016.09.17 17:22

 たぶん、一般的には珍しい行為だと思うので、体操のインターハイ北海道予選を観にいった話を書きます。

 何故そんな流れになったかというと、たまたま私のツイッターのタイムラインに男子新体操の情報が並んだときがありまして、かねてから興味はあったので観たくなったわけです。

 例えばフィギュアスケートの地区大会予選なんかは一般の人も無料で入れることを聞いていたので、体操の大会なんかもいけるんじゃないかとは思ったのですが、そんな確実に入れるような自信はもちろん無いので、「体操の大会を観てみたいけど、一般の人が入っていいものか……」みたいな呟きをツイッターでしてみたんですね。何の気なしに。

 すると新体操ファンの方がいろいろ教えてくださり、全日本選手権とかは流石に有料ですが、インハイやインカレの大会は無料で入れますよ、と教えてくださったのでした。凄いなツイッター。

 そしてある日「今週末、大会がありますよ。全国屈指の恵庭南高校も出ますよ」と教えてくださる人もいて、「なんて親切なんだ新体操ファン……」と思いつつ、こんな機会もそうそうないし、行けたら行こう~と思って検索してみたのでした。

 まず立ちはだかった壁。

「野幌運動公園体育館ってどこだ……」

 札幌人として、わりと札幌内の○○体育館とか聞けば聞いたことがあるぐらいには把握しておりますが、野幌というと江別(札幌のおとなり)です。初めて聞く体育館です。

 こういうのって普通札幌でやるものかと思っていた私としては、場所の予想が全くつきませんでした。ま、まあこれは検索してなんとかしよう……。

 次の壁は、「プログラムが全く分からぬ……」

 大会は二日間(三日間だったかな……)あるはずなのですが、どこを検索してもプログラムは全く出てきません。まあそれも当然で、出場者とか関係者以外にはたぶん配られないのでありましょう。フィギュアスケートの大会でもそうですが、「プログラムをネットで観れるようになれば、もっと一般の観客が増えるのに……」とか仲間と話していました。まあ、無料だから開催者にそこまでする必要がないと言われれば、全くもってそれまでなのではありますが。

 仕方ないので、当日ぶっつけ適当本番に江別まで行くことにしました。ちなみに私はわりとこういう生き方に慣れているので平気です。おとめはどきょう。ダメならダメでラーメン食べてケーキ食べて大人しく一人で帰りましょう。

 ちなみに、大会があるとの情報を見たタイミングは土日で開催されるうちの土曜日の朝ぐらいでした。土曜は用事もあったし、行くのは日曜日にしようと思ったのでした。

 最終日なので、もしかしたら3時ぐらいに閉会式という流れかもしれません。では10時ぐらいに家を出て、初めての場所だしタイムロスも考えて、お昼ちょっと過ぎに着くぐらいならギリギリでも競技が行われているのではないでしょうか。

 そんな段取りで、明日に備えましょう。おやすみなさい。

 ……。

 遅刻した(ありがち)。

 うわあああああんと思いながら、それでも用意して出かける私。結局家を出たのはだいたい1時ごろ(うろ覚え)でした。アホか。

 まあ、運がよければまだやっているかもしれんし……、天気もいいし……、と自分を励ましつつもバスに揺られる私。

 切符を買って、久しぶりにJRに乗ったりする。お茶を買ってお菓子パン買って、わりと楽しくなってきました。もぐもぐ。チョコクロワッサンうめえ。

 順調に野幌駅に到着。初めて降りますが、わりとキレイな駅です。

 ここから野幌運動公園体育館へは、二路線バスが出ているはずです。ここから10分ぐらいで着くはずですよ。のこのことバス停を探す私。無事に見つかりましたよ。さーて時刻表を。

 ……。

 バスが、「一日に」三本(土日)。

 えーと。普通は大会とかで土日に体育館って利用されるはずではないでしょうか。なんで土日にバスが三本(一日)しかないんでしょうか。

 しかし、この状況の中、超運がいいことにあと10分ぐらいでバスが来るので、ふんわりと待ちます。

 帰りは大丈夫かな、もう一方のほうのバスは本数があるのかな、まあ最悪違う駅に向かうバスもあることだし……。とか、ふんわり待つ間も不安が募る私。江別ってわりと都会(ココ否定する人もいる)だし、もっとバスがあると思っていたが……。

 そんなことはともあれ、バスも来たので乗り込みます。札幌のICカードも使えました。だいじょうぶ都会。江別は都会。

 都会に安心して、バスにぼーっと揺られます。10分ぐらいで着くはずです。ぼー。

 ……。

 あれ。

 あれれ。

 10分経ちました。が、なんか……、ぜんぜんたどり着かないというか、人家を離れて木が多く……、森に……、あたりが森になっていく。おい江別大丈夫か。

 おかしい。体育館ってもっと人家の中にあるものではないでしょうか。もしかしたらボーっとしている間に、バス停を乗り過ごしてしまったのでしょうか(性格上、大いにありうる)。

 かなりハラハラして窓の外を凝視していると、だいぶ経ってから「野幌運動公園体育館」の看板が見えました。よかった。しかし、それからもけっこう長い。どんどん奥に入っていきます。どこが10分やねん。もう何度も見てしまった腕時計をまた見ると、駅から20分は余裕で越しています。

 やっとたどり着いて、「メーッ」みたいな音をたてたバスから降りました。はあはあ。けっこう焦ったけど無事着いた。

 で、でかい。野幌運動公園体育館でかい。

 向こうには野球場があるらしく、キーンカーンキャアーみたいな音声が聞こえてきます。私には縁遠い正しい日曜日の音声。遠すぎてよく見えませんが。

 それにしてもひろい。江別の土地の利点をフル活用です。まいどおなじみ酪農学園があるだけのことはあります。

 まずはすかさず、帰りのバスをチェックです。ここを間違うと大変なことになりそうなので。どうやら1時間後ぐらいに野幌駅へ戻るバスがありそうですね。まあ、そのくらい観たらほどよいな……。とメモします。そもそもまだ大会をやっているかどうかも分かりませんが。

 のこのこと中に入ります。するとそこは土足厳禁。そうだ、体育館は上履きが必要な場所もあるので、何か持って来れば良かったですね。

 とか思っていると、目の前で出場選手らしいじょしこうこうせいたちがみんな素足でトコトコ歩いていたので、「問題ナッシング」と思って靴下で上がります。

 入ったときからプールの匂いがします。左側へ進むとプールがあるようです。底知れぬ広さとともに、「ええとこやん」とか思います。私、プールと体育館一体型施設なんてものは初めてですよ。というか広すぎますよ。

 女子高校生に、けっこう男子高校生もいます。部活Tシャツ着てる人が多いです。何かデジャブを感じて思い出してみる。そうだ、こういうTシャツ、よさこいでよく着てるよ。「一技入魂」とか何か文字が入ったTシャツです。精神と肉体が若い人しか着ることを許されないアレですよ(偏見)。

 ちなみに入ってすぐはけっこう広い空間になっておりまして、体育館の入り口が二つぐらいあります。そして入り口の前に、新体操グッズの販売がされていました。

 私には全く必要の無い商品ですが、興味深いですね。こういうのチャコットのカタログの中とかでしか見た事ありませんよ。

 大人もちらほらいるので、よーし大丈夫そうだろ……。と思って体育館の中に入りました。

 すると、わりと驚きの光景が。

 えー。私は、そもそも新体操を見に来ました。

 その後、どうやら同じ日程で体操競技もやるということを知ったわけです。一般的にそんなもんであると。両方体操って名前につくし、そうなんだーと思ってたんですよ。

 でもですね。

 まさか、おんなじフロアで新体操も体操も両方やるって思っていなかったんですよ。

 具体的には床フロアが三つありまして。右奥にひとつ、左奥と左手前に計ふたつですね。

 右奥で女子新体操が練習してます。左奥や左手前で男子新体操が練習しています。そして床のスキマ空間に、あん馬とか、つり輪とか、主に体操競技でしかアイデンティティの見出せないものが置いてありまして。右手前あたりで、体操女子が平均台(審査員がいるから本番)やってるわけですよ。

 つまり、男女新体操と体操女子が一気に見られる夢の空間みたいになっているという、体操桃源郷みたいなお得なありさまになっていました。

 入り口入ってすぐが観客席になっていまして。ベンチを横にいくつも連ねたような形に角度がつけられた感じです。

 そこにいるのは主に親や、体操やっているような子供たち。それに例の部活Tシャツを着た高校生たちですね。それに体操のコーチとかやっているような体育会オーラを出した先生とかがパンフレットを見たりしています。アレはどこでもらえるんでしょうか。多分私はもらえないが。

 一番手前が女子体操の平均台ですが、当然生で見るのなんて初めてです。みんな、あの「ぴしっ」としたオシャレなレオタードです。ビジュアルは完璧に体操選手です。たぶん30歳を越したら一般人は着ることは社会に止められそうなアレです。それにゼッケンついていて、団体みたいで5人チームのようでした。

 それはいいのですが、一人気になる選手がいましてですね。

 みんなすごく上手なんです。ダンっとしてぴょんとしてくるっとして、素人がやったら頭打って死ぬぐらいのことをしてて、「北海道の高校生うめえええ」とか思ってたんですが、明らかに一人「体操高校デビューです。5人必要なので勧誘されて体操はじめました」ぐらいの女の子がいまして、スタイルはすごくいいので外見の見分けはつかないんですが、すんごく心配なんですよ。危ないので目が離せないんですよ。ハラハラしちゃうんですよ。「あっ、ああああっ」とか、私のモナカハートが崩れっぱなしです。

 先輩方も、「えらかったよー」みたいにみんなでねぎらってくれます。青春の甘酸っぱい光景です。

 まさかそんなことでいきなりガシガシハートを崩されるとは思ってなかったので動揺しました。まあでも高校の部活だしこんなこともあるよな……。

 そんな熱い本番をしている周りでは、新体操の団体の練習が熱心にくり広げられていました。

 女子のほうを見ると、体操が本番をやっているので曲をかけることはできないんでしょうね。「いちにっさんしーごーろくしちはち」と口でリズムをとって、手具の受け渡しをしています。

 衣装は、こちらも完璧のあの新体操の衣装。完璧にカワイイ。色もピンクとか黒とかカラフルで大変カワイイ。

 手具はクラブとフープです。しかしですね。私が山崎浩子選手を観たりしていた世代(現在18歳ぐらい)のせいでしょうか。なんかいろいろ違うんですよ。

 クラブが、タテに連結されてるー!(動揺) 二個とかタテに繋がっています。もっといけそうでもあるな。

 なにあれ、いつの間にあんなことできるようになったの。差し込み穴いつ開いたの。

 それにしても、新体操の選手たちもとても上手です。みんな凄く身体柔らかいしキレイです。

 で。

 ちょっと忘れていましたが、男子新体操のほうですが。

 ゆるい。

 さっきから、ほぼ同じユニフォームの人たちが、柔軟やったりゆるく楽しそう。というか、違うユニフォームの男子、もう一組しか見てない。

 まあ、のちのち判明しますので今ぶっちゃけますと。

 男子新体操チーム、たぶん2チームしかない。

 他の県はどうなっているのか分かりませんが、北海道はそんな感じっぽいです。もしかしたら北とか西とか東とか南にブロックが分かれているのかもしれないですが。なにせ北海道は広すぎるので、そんなことも普通にあるのです。でもどうかな……。

 そうこう観ていると、左手前の床でさきほどの体操女子チームが床の競技を始めました。ターン! と曲がかかります。あ、曲に合わせてやるのか……。みんな宙返りしたり(たぶん名称がいろいろあるんでしょうが……)、ピッと踊ってポーズしたり、大変に上手です。

 そして、一人また技術が心配な女の子が現れました。ああ、さっきの子だ。離れてるから顔も分からないしみんな同じ衣装だから分からないけれど、きっとあの子だわ……。頑張れがんばれ……。

 彼女がまたちょっと転んじゃったりしたので、私の心のモナカもざっくり削られましたが、これで競技も終わったようです。

 時計を見ると、もうすぐバスの時間です。もう一時間ぐらい経ってたんですね。さーて乗り逃すと大変だし、そろそろ帰るか。すると、まさに絶妙なタイミングで、いままで一度も放送なんてかかってなかったのに恐ろしい放送がかかりました。

「これで体操競技は終わりです。2時56分(たしかこのくらい)から、新体操団体を始めます(意訳)」

 ……。

 そうですね。バカですね。今までなんのためにあの人たちは熱心に練習していたというのでしょうか。

 これから本番だからに決まっていますわ。

 さあどうしましょうか。バスは2時52分(たしか)ぐらいに出ると、次のバスは6時ぐらいになります。何度も思いますが本数少なすぎだろ。

 突然変なことぶっちゃけますと、私この日は大変偶然なことに、誕生日でして。

 夕方には帰って、家族にすき家のうなぎを買う予定でした。なのでいくらなんでも、ここを6時に出るのは無理すぎる。しかしここで帰れば一体何をしに来たのか全くよく分かりません。まあ体操ちょっとと新体操の練習は見たけど。

 あああー、もうどうすんだーと思いながら、次回へ向けて無駄なヒキを入れる。