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なるの台本置き場

パーティの行方

2021.01.20 06:50

【題名】

パーティの行方



【登場人物】

辻本真純(つじもとますみ):まこ

立花優人(たちばなゆうと):ユウト

芹澤司紗(せりざわつかさ):すふれ司

芹澤祭李(せりざわまつり):陽月

浅井千雅(あざいかずまさ):SEN

マスター&N:DarthVader




-------- ✽ --------






【とあるカフェにて】(真純、優人)



001 真純:さてと。もうすぐあの時期な訳だが……どうする、相棒。


002 優人:……え?何が?


003 真純:だから、(咳払い)……もうすぐあの時期な訳だが……どうする、相棒。


004 優人:だから、何が?もうすぐなんの時期なんだよ。


005 真純:俺らの……お姫様の誕生日さ。


006 優人:あぁ〜!お姫様ね!ほんと可愛いよなぁ、俺達のお姫様はさ。あー、一度でいいからあの黒髪ロングに手をこう、スっとやってみたい……!


007 真純:お前なんの話ししてんの?


008 優人:え?俺達の長年のアイドル、ユリちゃんの誕生祭の話じゃないのか?


009 真純:違う違う!お前まだユリの追っかけやってんのか?


010 優人:さすがに社会人になって追っかけはやめたよ。身体がもたない。


011 真純:まぁ俺らもう……無理はできない歳だからな。あー、そういえば、言ってなかったけど俺ユリ推し降りたから。


012 優人:……マジで?


013 真純:おう。


014 優人:あの、真純が?……担降り?


015 真純:おう。


016 優人:ライブでユリグッズが出れば必ず全種類買い、限定版のCDもDVDも全て買い揃え、生写真は必ず全種類いくら積んでも揃えていたあの真純が?


017 真純:黒歴史掘り返すな。


018 優人:ユリ推しの中でも有名な、あの前髪天使さんが……担降り……?


019 真純:やーめーろー!俺のネット名を出すんじゃないよ、バカ!


020 優人:真純……。


021 真純:なんだよ。


022 優人:お前に何があったんだよ……。


023 真純:何もないから。あと、最初の話に戻すが、もうすぐあいつの誕生日だぞ。


024 優人:むちゃくちゃ急に戻すじゃん……。俺はお前の担降りがショックでそれどころじゃない……。てか誰だよあいつって……。


025 真純:はぁ……お前なぁ、元カノの誕生日くらい覚えておけよな。


026 優人:元カノ……?真純と仲いい子なんて居たっけ?


027 真純:……本気で言ってんのか?え、ボケた?


028 優人:面と向かってボケた?って聞くのは酷いだろ。んー……誰も思いつかない。


029 真純:司紗だよ!つ!か!さ!


030 優人:あー。司紗か。


031 真純:え、もう少し反応あるだろ?


032 優人:いや別に?……俺もうプレゼント用意したし。


033 真純:……え?


034 優人:ん?


035 真純:いや、何でもない。……で、毎年やってる誕生日会、今年はどうする?


036 優人:あ、それについてなんだけど、俺に考えがあるんだ。今年は任せてくんね?


037 真純:おぉ、わかった。じゃあ楽しみにしとくわ。


038 優人:色々詰めたらまた連絡するな!







【とあるカフェにて】(真純、司紗)



039 真純:さてと。もうすぐあの時期な訳だが……どうする、親友。


040 司紗:ん?


041 真純:いや、だから、もうすぐあの時期な訳だが……。


042 司紗:親友って私の事?


043 真純:もちろん。


044 司紗:あー……なるほど?


045 真純:異論は認めないよ?


046 司紗:あ、そういう感じ?


047 真純:うん。


048 司紗:おっけー?それで?


049 真純:もうすぐあいつの誕生日な訳だけど、今年はどうする?


050 司紗:あいつ……って誰?


051 真純:お前の元カレ。


052 司紗:元カレで真純と仲良い人……どれだ?


053 真純:(小声)え、何で?なんで同じ流れなんだよ……。


054 司紗:何か?


055 真純:いや何でもない。……話を戻すけど、もうすぐ優人の誕生日だろ?今年はなにかするのか?


056 司紗:する?任せるけど。


057 真純:お前はいつもサッパリしてるよなぁ。


058 司紗:高校からの仲だし、そんなもんじゃない?


059 真純:なるほど。


060 司紗:あ、そうだ。私やりたい事あるからさ、今年の誕生会任せてもらってもいい?


061 真純:お、おぉわかった。


062 司紗:あ、やば……もうこんな時間。ごめん私この後会議入ってるんだ。


063 真純:あぁ、忙しいとこ悪かったな。


064 司紗:大丈夫!……じゃあまた連絡するね!







【マスターのバーにて】(真純、千雅、マスター)



065 真純:という訳でさぁ、俺何したらいいと思う?


066 千雅:マスター!これ美味い!


067 マスター:それは何より。今シーズンの新作なんですよ。あ、お兄さんも食べます?


068 真純:あ、はい。……って、せん兄〜。聞いてる?


069 千雅:えーっと、なんの話しだっけ。


070 真純:誕生日会!高校の友達の!2人とも任せてって言うから任せたけど、俺は何したらいいんだ……。


071 千雅:んー、なんかコンセプトとか決めてみたら?


072 真純:コンセプト?


073 千雅:そうそう。最近はコンセプトパーティって言うのが流行ってるらしいよ?


074 真純:例えば?


075 千雅:例えば……例えば?


076 マスター:仮面舞踏会とかどうです?


077 真純:仮面舞踏会……。


078 マスター:まぁ参加する方々はおそらく顔なじみですからあれですけれども、こう、顔が見えない楽しさと言いますか、ドキドキ感は楽しめると思いますよ。


079 真純:いいですね!流石マスター!提案してみます。


080 マスター:お役に立てたなら何よりです。


081 千雅:いいな……パーティか。長い事やってないなぁ。マスターは色々な所に呼ばれてそうだけど。


082 マスター:いやいや、私も長い事ないですよ。最後に呼ばれたのは……もうかれこれ10年くらい前ですかね。


083 千雅:ちょっと意外だな。


084 マスター:そうですか?自分から主催というのもこのバーを初めてからはないですし。私にパーティは華やか過ぎます。


085 千雅:俺も同じ感じです。


086 真純:2人ともそのパーティ来ます?


087 千雅:へ?


088 マスター:いやいや、私はさすがに。


089 真純:じゃあ出張バー、なんてどうでしょうか?


090 マスター:出張バー……ですか。


091 真純:はい。そのパーティで良かったらその腕、奮っていただけませんか?


092 千雅:おい、お前さすがにそれは無茶振り過ぎるだろ……。


093 マスター:……面白いですね。ぜひ私でよければお引き受けしましょう。


094 真純:じゃあ詳しい事はまた決めましょう。お酒が入ってない時に。


095 マスター:はい、かしこまりました。


096 真純:やったー!いやぁ、超楽しみだなぁ。……あ、マスター カシオレ1つ。


097 千雅:俺にも同じものを。







【司紗・自宅】(司紗、祭李)



<司紗が祭李に電話をかける>


098 司紗:もしもし?お姉ちゃん?


099 祭李:何〜?どうした〜?


100 司紗:今度彼とお茶する事になってて、一緒に来てくれない?


101 祭李:こりゃまた急だね?どういうこと?


102 司紗:け……結婚。……考えてて。


103 祭李:ほう?なるほど。……つ、ま、り。お姉ちゃんと初顔合わせってこと?


104 司紗:うん、まぁ……そういう事。


105 祭李:そういう事なら、この私に任せな。お店とかは決まってるの?


106 司紗:うん。後でリンク送るね。


107 祭李:おっけー。洋服とかは?決まってる?


108 司紗:服なんていつもと一緒でいいよ。


109 祭李:だーめ!女はいつでも可愛く綺麗でいなくちゃ!その運命のデートの前にどっかで買い物行くよ!えーっと……来週の土曜日、空いてる?


110 司紗:う、うん。


111 祭李:あれ、ちなみにその運命のエックスデーはいつ?


112 司紗:今月末の予定。


113 祭李:ならタイミング的にもいいね。じゃあ来週の土曜日、1日空けといてね。お姉ちゃんとデートしよ♥


114 司紗:う、うん。わかった。


115 祭李:あ、ごめん、呼ばれちゃった!またね。


<電話が切れる>


116 司紗:また、ね。……あはは……。







【パーティ会場にて】



117 N:そして、パーティの日がやって来ました。


118 司紗:すいません。15時に予約している芹澤ですけれども。


119 千雅:……はい、15時に3名様でご予約の芹澤様ですね。……お連れ様はお揃いですか?


120 司紗:あ、まだひとり来ていないのですが。


121 千雅:お席でお待ちになりますか?


122 司紗:えっと……。


123 祭李:それでお願いします。


124 司紗:ちょっとお姉ちゃん!


125 千雅:かしこまりました。こちらにどうぞ。


126 祭李:は〜い。


127 真純:マスター、準備大丈夫そう?


128 司紗:あれ、真純?こんな所で何してんの?


129 真純:あ、あれ?司紗?集合時間は16時って言わなかったっけ……?


130 司紗:え?何の話?


131 真純:え?俺連絡したよな?


132 司紗:ん?……(携帯を確認)あ、そういえば私携帯壊れて変えたんだった。……なんか約束あった、っけ?


133 真純:ちょっと待ってくれ。


<真純が優人に電話>


134 真純:もしもし?優人?


135 優人:おぉ、真純。どうした?


136 真純:どうしたじゃない!お前今どこにいるんだ?


137 優人:え?もう店の前だけど……。


138 真純:いいから早く来い!


<電話が切れる>


139 優人:おぉ、真純……あれ?


140 司紗:や、っほー。


141 優人:どういう状況?


142 千雅:おい、真純これ……。ん?


143 マスター:とりあえず座って話してみては如何ですか?こちらウェルカムドリンクです。



<間>



144 司紗:え、ちょっと待って。つまり、優人と真純はここで、私の誕生日会を開催しようとしてたって事?


145 優人:そう。で、諸々の連絡は、司紗には届いて……。


146 司紗:ない。


147 真純:司紗はここで何を?


148 司紗:あ、そうだ。ねぇ優人、あんた日付被ってるなら言いなさいよ。


149 優人:何の話だよ。


150 司紗:はぁ?お姉ちゃんと3人でお茶するって話!したでしょ?


151 優人:それは明日だろ?今日は無理って言ったろ。


152 司紗:え?嘘。


153 優人:嘘じゃないって。……ほら、ここ見ろ。日曜日、って事になってる。


154 司紗:……ほんとだ。私お姉ちゃんに連絡するの間違えた……。


155 祭李:それで、話はついた?


156 司紗:お姉ちゃんごめん〜!顔合わせ明日だった!


157 祭李:あら、司紗の連絡ミスだったわけ。


158 千雅:真純、パーティどうすんだ?


159 真純:あぁ、そうだ……。


160 千雅:こっちの準備は出来てるけど。


161 祭李:パーティ?


162 千雅:誕生日パーティーをしようって話をしていたんですよ。


163 祭李:あら!それならもうみんなまとめてやっちゃえばいいじゃない。


164 司紗:お姉ちゃん?!


165 祭李:パーティは大勢でやった方が楽しいし、顔合わせも、こういう場の方が色々わかるってものでしょ?


166 マスター:ではそのように変更で。こちら配りますか?


167 祭李:仮面?


168 マスター:本日は仮面舞踏会をコンセプトにお送りしようかと。


169 祭李:そういう事なら貰うわ。


170 真純:えー、それでは仕切り直して、パーティを始めましょう!



<間>



171 祭李:ねぇ?お酒もいい感じに回ってきた事だし……軽く自己紹介、しない?


172 真純:いいっすね!辻本真純、会社員やってます。で、今日はせん兄のカフェで誕生日会をやろうとしてました。……せん兄ー!


173 千雅:ん?呼んだか?


174 真純:こちらが、せん兄。このカフェのオーナーで、昔からの知り合い。


175 千雅:オーナーの浅井です。今日はありがとうございます。


176 祭李:浅井さん、お名前は?


177 千雅:あぁ、かずまさと読みます。


178 司紗:ん?じゃあなんでせん兄?


179 千雅:小さい時、真純俺の名前読めなくて、それで唯一読めた千からとって、せん兄って。


180 司紗:へー、可愛いとこあんじゃん。


181 真純:やめろよなぁ?……ほら、次お前。


182 優人:えぇ?!俺?


183 真純:何緊張してんだよ。


184 優人:いや、だって……その……。


185 真純:早くしろー。


186 優人:分かったよ……立花優人です。真純と司紗とは高校からの腐れ縁で。


187 司紗:それで?


188 優人:おま!……司紗の婚約者、です。


189 真純:お前結婚すんのか!良かったな!……ん?ちょっと待て、誰と結婚すんだ?


190 優人:司紗と。


191 真純:え?……お前ら復縁したの?それに結婚?聞いてねぇよ?


191 優人:まだ誰にも言ってないから、真純が知るわけないだろ。


192 真純:まじか……。


193 司紗:じゃあ次は私。まぁほとんど顔見知りだけど。芹澤司紗、近いうちに立花司紗になります。そしてこちらは姉の祭李。


194 祭李:どうも、祭李です。よろしく〜。


195 優人:よ、よろしくお願いします!


196 祭李:ふふ、優人くん、そんなに緊張しなくていいのよ?


197 優人:は、はい……。


198 真純:あの、祭李さん。普段はどんなお仕事なされてるんですか?


199 祭李:んーとねぇ、ちょっと耳貸して?……アイドル。


200 真純:もしや……ユ(司紗に口を塞がれる)


201 司紗:それ以上はダメ。


202 祭李:あら、司紗ったら。いいのに。


203 司紗:お姉ちゃんはもう少し危機感を持とうね。


204 祭李:はぁい。……あ、そうだ。ねぇマスター。貴方は?


205 マスター:私ですか?……私は、そうですねぇ。……マスターって覚えていただければそれで十分ですよ。


206 祭李:あら、イジワルね。教えてくれないの?


207 マスター:細かいところはお店に来た時にでも。


208 祭李:ふふ、今度伺うわ。


209 マスター:お待ちしておりますよ。……宜しければこちらどうぞ。


210 祭李:あら、私に?……これは?


211 マスター:アイ・オープナーというカクテルです。


212 祭李:ふふ……ありがとう。


<千雅が真純にこっそり話しかける>


213 千雅:おい、真純。


214 真純:ん?どうしたの?


215 千雅:そろそろケーキ出すか?準備出来てるぞ。


216 真純:あぁ、そうだな。頼むよ。


217 千雅:オーケー。ちょっと待っててくれ。


<ケーキ登場・間・店内BGMが変わる>


218 マスター:本日お誕生日のお客様がいらっしゃいます。司紗様……そして、優人様、真純様。お誕生日おめでとうございます。


219 司紗:わぁ!ケーキ可愛い!


220 優人:え、俺達も?


221 真純:ちょ、せん兄?


222 千雅:あはは、おめでとう、真純。


223 祭李:ほらほら!こっち向いて!


224 千雅:写真撮りますよー、はいチーズ。


225 司紗:ふふ……。2人の話を聞いたあと、店長さんにお願いしたの。二人の分も追加して欲しいって。


226 優人:なんだよ……びっくりすんじゃん……。


227 真純:全然知らなかった。


228 優人:司紗には叶わないな、ほんと。


229 祭李:そのくらいでいいのよ。……ふふ、優人くん、司紗をよろしくね?


230 優人:は、はい!


231 真純:あ、せっかくプレゼント買ったのに司紗の分しか持ってねぇや。


232 司紗:それはまた今度、また3人で渡し合いっこしよ?


233 優人:プレゼント交換か!楽しみだなー!


234 司紗:それはなんかクリスマスみたいだね?


235 優人:クリスマスからちょうど1ヶ月くらいだし、いいんじゃね?


236 真純:あはは!ほんと、今年の誕生日会はひと味違うわ!


237 優人:ほんと、この締まらない感じ、俺ららしいや。


238 司紗:そうだね〜。


239 N:5人の笑顔が溢れる店内。楽しそうな会話は夜がふけるまで続いた。……そんな5人を前に、マスターは1つのカクテルを作る。キール、カクテル言葉は『最高のめぐり逢い』。……5人は、「締まらない感じ」と言いながらもクリスマスと誕生日を合わせたような、幸せなこの日を忘れる事はないだろう。そして彼らは一斉に乾杯を始める……『貴方に出会えて良かった』という意味を込めて。



(終)



239のセリフは誕生日枠のDarthVader様のセリフより。