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梨の日

Netflix映画『マ・レイニーのブラックボトム』

2021.01.20 13:35

Netflix映画『マ・レイニーのブラックボトム』


原作:オーガスト・ウィルソン

監督:ジョージ・C・ウルフ

出演:ヴィオラ・デイヴィス/チャドウィック・ボーズマン/

グリン・ターマン/コールマン・ドミンゴ/マイケル・ポッツ

/ジョニー・コイン/テイラー・ペイジ/ジェレミー・ジェイモス/ドューサン・ブラウン/ジョシュア・バード




オーガストの原作には、アフリカ系アメリカ人の実生活から抽出された人々がたくさん描かれているという。


演劇界にいた彼の脚本は、舞台公演で上演されていたもの。

シーンの場所がとても限られているので、恐らく演劇作品なんだろうなと、すぐ気付ける。



音楽ものかと思えばお門違いだった。

確かに、シンガーと演奏家達が登場するのだけど。


自分の誇りと信念を持つ2人のドラマが、最後は痛くて苦しくなる。


時代は1927年。シカゴが舞台。

“ブルースの母”と呼ばれたマ・レイニー。

しかし現代に彼女の写真は僅か数枚しか残っておらず、その名前も、知名度を上回る人は多数。


ブルースは、音楽は、彼女や彼らにとってなんだったのか。

マ・レイニーを演じるヴィオラ・デイヴィスの語るシーンに、グッと観入ってしまう。。


超絶横暴でワガママ三昧の態度でレコーディング会社側のアメリカ人達を困らせたり憤慨させていた彼女。

こんなワガママご婦人、現代にだってもしいたら即、干されてしまうだろうに。笑)


しかし時代や現状をふいに思うと、こんな態度ができる彼女の凄さったら無い。

当時、黒人の女性がこんな態度に出られるなんて誰しも思えない。

彼女には彼女の、頑なに崩せない心情が、プライドがあったから。

自分の立場をわかっていつつ、それでも曲げられないものがあった。


観ててイラつくほどの態度なんだけど(笑)途中で見え方はちゃんと変わる。

映画自体も、深みを増していった。



対して、チャドウィック・ボーズマン演じたトランペット奏者のレヴィー。


きっと、お伽話のような映画だったなら、彼を筆頭にキラキラした希望を描いていたんだろう。

-自分は言われるがままの奏者ではなく、自分で作曲して、自分のバンドを持って、今偉そうにしてる奴らから“お願い”をされるようになんだ-

夢があり、精力的な若者そのもの。

ちょっとしゃしゃり出て、何者かを分かっていないような喋りは心配になる程に痛快。笑)

でも彼のやり過ぎな部分には、レヴィーの過去が絡んでいて。

漏れ出してくるあたりで、表情も感情もぐちゃぐちゃになっていく。


落差が、とんでもなくって。

演じ切ったボーズマンに終始目が離せない。

し、大胆で、かつ細やかな心情の動きがあったから、演じられたから魅力的に見えた。

途中本当にどうしようもない奴なんじゃないかと思ったけど←


存分に切なくさせてくれた。


キラキラしたって、

夢を叶えるために自分の意志にケチつけてくる人達に突っぱねたってイイ。

それでも、扉を開けた先には…。



胸が詰まった。

涙を流す情緒はなく、うねる展開。

怒りと悲しみを、舞台だけでなく映像に残しきった。



あの時代を生きた、アメリカ系アフリカ人。



舞台劇なだけに、とかく会話シーンが多い。

1曲レコーディングするだけで、こんなにドラマと歴史が記されている。

豊かに展開した俳優陣、制作人あっぱれである。。



原作では設定が冬だったみたいだけど、映画では監督の意向によって夏に。


マ・レイニーのテッカテカの肌がもう、すごいんだわ。語彙力)

本人も馬の油を塗ってテカリを出していたようで、再現された。

じっとりした暑さ、汗が匂いとして替わりに伝わってくるようだった。

彼女のこだわりをも感じ取れる。

メイクのパンチもとんでもなかった。笑)

違和感が生む個性が、人物像と映画を豊かにする。




マ・レイニーは、

レヴィーは、何と闘ったのか。

自分の中の歴史が残り、名俳優、名演技をも閉じ込めた1作。


チャドウィック・ボーズマンは昨年の夏に急逝させた為、遺作に。


今作でアカデミー賞、獲って欲しいな。