won'tはwill notの省略ではありません&クイズ
前回の記事の最後に予告したことについて書いていきたいと思います。
How come ~?で「なぜ~?」とwhyと同じ意味のことを示せるのはご存知だと思います。
しかし、why don't you play soccer? サッカーしてはどうですか?と表せますが、どうしてHow come don't you play soccer?が成立しないのかと、どうしてhow comeで「なぜ」が示せるのかについて説明します。
How comeはもともとHow does it come that~?が省略されてHow come~?になっています。ここでのitは名詞節であるthat以下を指示しています。that以下(状況)はどのようにして自分のもとに来たのですか?から転じて「どうして~なんですか?」となっているのです。
そのためHow does it come that don't you play soccer?は文法的にあり得ないのです。
次はwon'tについてです。
shall not →shan't
can not →can't
ここまでは理解できますね。
will not →won't ?????
今までの省略は理解できましたがこの省略は原型が何だったのかを忘れさせる短縮形ですね。実は、won'tはwill notの省略ではないのです。
1400年ごろ willは以下の二つの形で使われていました。
1. wol
2. wil
この1,2にnotの短縮形をつけてみると
1. wol not → won't
2. wil not→ win't
※1,2は使用頻度を比較すれば1のほうが多く、2はあまり使われていませんでした。
wolとwilの二つを使い続けるのは不便なので二つの面影を残して「will」となったのです。短縮形はwol not→won'tのみが残りました。そのため、won'tはwill notの省略形だと説明するのは誤りなのです。
続いてbutについてです。
butについては複数の意味があります。
接続詞 逆接的に「しかしながら」
前置詞 ~を除いて
副詞 ~だけ
これらの意味をつなげて整理するのは一見簡単なようで難しいことです。しかし、一つの意味に重視すれば実は簡単なのです。
実はbutは「除いて」という意味が原義です。次の例文の見方を変えればbutのすべての意味を導き出せます。
「マイクを除いて皆死んだ」→「マイクだけ生き残った」→「皆死んだ。しかし、マイクだけ生き残った。」
今回は少し問題を出してみようと思います。
次の英文を和訳せよ。
1. Today, I will use this fresh butter.
2. This room is smoke-free.
※語と語がハイフン(-)でつながって一語として働いている単語は原則 形容詞です。そのため、she is a three-years girl.のように[year]という単語に複数形の-sをつける必要はありません。
答えは下です。
1についてです。
この問題を和訳するにあたって重要なのは、「fresh」です。「fresh」の意味は「塩のない」です。つまり、fresh butter→塩分を含まないバター。フレッシュバターと聞くとできたての新鮮なバターを想像しますが間違っているので注意したい。
訳:今日は塩分を含まないバターを使う。
※fresh water は塩を含まない水→真水
2についてです。
この問題で注視する必要があるところは「smoke-free」です。freeと聞くと「自由」を連想する日本人がたいていだと思います。しかし、freeの原義は「ない」です。バリアフリーとは「障害がない」ことを示しているのと同様、smoke-freeとは「喫煙がない」→「禁煙」
よくあるミスが、smoke-freeと聞いて「喫煙が自由だ」と考える人がいますが注意したい。
和訳:この部屋は禁煙室です。
このように和製英語を頼りに本物の英語を考えるととんでもないことになるのでやめたほうが良いです。
このブログを目にしている方は、おそらくかなりレベルの高い英語学習を求めている方だと思います。「なんで?」「どうして?」を絶え間なく追及する学習者だと思います。
そのような方には、ぜひ本物の英語を学習していってほしいと思います。
本物の英語を習得するためには、どのような学習が効果的かお話させていただきます。
やはり、”語源”を意識して学習することが大切だと考えています。
言語は生き物です。生きていた歴史があります。その過程の中で意味をあちこちに変えてきました。しかし、語源さえ押さえることができれば、派生された意味に振り回されることはなくなります。
語源をとても分かりやすく、楽しく解説してくれる有名な先生の著書をおススメさせていただきます。楽しく語源を学びたい方はぜひ、手に取ってみて頂きたいです。