Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

こんぶトマト文庫のふみくら

すっ転んでもなるべくただでは起きたくない精神で生きていきたい

2021.01.22 14:45

運転免許を取得しておおよそ10年とちょっと、初めて交通違反をした。

原付バイクに乗っていて、一方通行道路へ逆方向からの侵入。ちょうど近くにお巡りさんがいて呼び止められ、違反の事実を確認されて御用となった。

東西を走る道路沿いにある駐輪場へ原付を止めようと東側の交差点から右折で入ってったのが駄目だった。後々確認したら信号の上にきっちり直進か左折のみの標識があった。一方通行となっているのは長さ50mもない程度の短い区間で、目的地の駐輪場は交差点から20mちょっと。道も平坦だし押して歩いて行けるのに、なんとも情けない違反をしてしまった。

こうも広い道路なのになぜ一方通行なのだろう、車2台が充分すれ違える広さはある。西側の交差点を縦に走る道は飲食店やその他小売店が立ち並ぶ商店街で、当然人通りも多い。そこへの車両の進入を防ぐために、あらかじめその前の交差点で車の流れを遮断しているんだろうか。なるほどそれなら納得がいくなと思った次の瞬間、でもこの道路に車入れたい人は結局西側から入るしかないわけで、そうなるとわざわざ人通りが多い方からの進入になるじゃないかと考え直した。結局この道が一方通行となっている理由はわかんないし、こんなことをぶちぶち考えるのは罰金を取られることに対する八つ当たりにすぎないな…


で、この罰金を取る際の「切符を切られる」という現象に初めて立ち会うことになったわけだ。当事者はもちろん自分だ。本当に初めてだった。知らん人が切符切られているのをまじまじと見ているわけにもいかないし、幸い同乗した車の運転手がやらかした瞬間にも立ち会ったことはない。

今日は家の不要物を少し売ってそれが3700円ほどになってたから「今夜はビフテキだ!」と浮かれていたけれど、阿呆をやらかしたため5000円支払うこととなり、結果1300円のマイナスとなった。

このままただ粛々と違反者切符を切る若きポリスメンを親の仇のように恨めしく睨みつけていたって何の得にもならない。どっちも嫌な気分になるし何も良いことがない。どうせなら違反者切符の方を睨みつけてやろう、という事でどうやって違反者切符を発行するのかをじっと見ていることにした。その過程でいろいろと思い違いしていたことがわかった。


まず最初の思い違いとして、僕は違反をしたその場で"罰金”を支払うものだと思っていた。だから財布を手に持ち今か今かと待ち構えていたところ、払うのは今じゃない、と言われた。そうなのか、宅配便の代引き的な手続きとはまた違うのか。じゃあどうやって支払えばいいのかと訊いたところ、納付書兼領収証書を発行するからそれを持って郵便局か銀行の窓口で1週間以内に支払っていただきたい、と返された。

1週間以内。結構急かしてくるじゃないですか。その間に払えないならどうするんだと思ってたら、それが難しい場合は運転免許センターまで行って(よくよく用紙を見たら"出頭"と表記してあった。言葉が強い)違反金を収める必要がある、と言われた。「それもお支払いいただけなかったら郵便とかでの通告が行って、それもさらに無視された場合はアレですね警察24時とかのあんな感じでサイアク逮捕になりますねフフッ」とのことだ。わろてる場合かお前。

後ほど改めて手渡された青い切符、正式名称「交通反則告知書・免許証保管証」の裏面を検めると、1週間以内に各種金融機関の窓口での支払いは「仮納付」というものらしく、これを先んじて納めておけば後日正式にそれが"反則金"の納付とみなされ、違反に対する刑事罰に問われることがなくなる、というものだそうだ。

そして二つ目の思い違いが、今回支払うものは"反則金"であり"罰金"ではない、というものだった。ざっくり言えば、反則金=青切符が交付された軽微な交通違反に対して煩雑な刑事手続きをパスできるお金、罰金=赤切符が交付されるような重大な交通違反に対して科される刑罰、と言葉にすると恐ろしいほどの開きがある。バッキンとられたーなどと気軽に使っていいようなものじゃないらしい。もちろん反則金も納付を怠ると後々面倒なことになることがつらつらと書かれている。1週間以内に支払いが出来なければ指定された日に先の運転免許センターへ出頭して通告書を受理し、それに従って反則金の納付を行なう。それも無視しているようだと今度は新しい納付書と通告書が書留郵便で送られてくるからそれで支払いなさいとなる。さらにさらにそれすらぶっちぎってると、サイアク逮捕になりますねフフッ。わろてる場合ちゃう。

余談として、この青切符も赤切符も拒否すること、つまり違反の事実を認めないことができる。その場合は正式な裁判で違反の有無を判定することになるそうだ。赤切符切られて刑事罰が科されると当然前科者となってしまうわけで、そんなことは認めらんねぇ!ってのならそこで争うのも場合によっては選択肢なんだろうなぁと思う。ベロンベロンに酔っぱらって運転してたとこ捕まったらどうしようもないだろうが。それに青切符なら前科が付くわけではなく、その後の刑事手続きを略すための措置としての反則金なので、今回の私みたく違反した自覚があるのなら粛々と交付されたものを受け取り反則金を支払うべきだなと。

ついでに三つ目の思い違い、これは交通違反にかかるものじゃないけれど、発行と交付の違い。最初何気なく"発行"という言葉を使っていたけれど、渡された青切符やその他いろんなサイトを見ていても全部"交付"と書かれている。どう違うのか、手元の辞書で調べてみたら

発行:図書・新聞・紙幣などを印刷して世に出すこと

交付:役所などから、金銭・書類などを一般の人に引き渡すこと

とあった。なるほどならば今回のは"発行"ではなくて"交付"となるわけだ。


その青切符が交付される様子をジーっと見ていたのですが。

全部手書きなんですよね、青切符だけじゃなくて納付書も。だから交付するのにすんごい時間がかかる。違反者がナマ言ってんじゃねぇ!って思われるかもしれないけれど、どっちかっつったらお巡りさんの業務負担がすごかないかって話であって。ちまちま手書きしている横で他に違反している人がいたり、はたまたなんか事件が起きたらどーなるんだと。1分1秒でも早く切符切った方がいいに決まっているでしょう。

しかしあいにくと全部手書き。そして書き間違いが発生したときには印鑑で修正しなくちゃいけない。路上で、机もなく、立ったまま。片手に青切符を書き込む台座代わりのハードケースを持ったまま、朱肉がセットになってるケースを開いて細長い印鑑を取り出して朱肉をつけて印鑑を押す。そして路上に落ちる印鑑。

正直、見ていてとてもつらかった。ぽろぽろ印鑑落とすんだもの。そりゃあ作業効率サイアクな環境で印鑑押してるものね、雨降ってなかっただけよかった。3回目落とした時にもう見てらんなくてこっちから拾いに行った、そしてついでに訊いてみた、タブレットとか導入されないんですかって。そしたら「警視庁の方は導入しているみたいですけれど、他のとこは全然」とのことだった。警視庁だけってそれめちゃくちゃ局所的だな。全国津々浦々導入しましょうよ。


青切符が完成したので、各箇所の記載事項や違反内容を確認し、それに異議はないという事で最後にサインをして、印鑑の持ち合わせがなかったので拇印を押して無事所定の手続きが終了。拇印て。果たしてどれだけの説得力がある代物なんだ、と思ったけどまぁ印鑑もその辺の百均で売ってるわけだし信用度としてはどっこいどっこいだな。あいにくと既に最寄りの銀行その他の窓口業務は終了していたので、来週の平日どこかで窓口まで赴いて支払いをしてくる必要がある。平日休みがある仕事でよかった…しかしこの支払いも、オンラインでの支払いは出来ないものなんだろうか。クレカで支払いできる国もあるそうだし、技術的には不可能ではないだろうに。技術大国ちゃうんか我が国。

特に今は、コロナウイルス陽性もしくは濃厚接触者となったら有無を言わさず自宅療養ないしは入院を余儀なくされる時分だ。仮にそうなった場合、事情を説明したら対応はしてくれるのだろう、か…それも正直よくわからないな。公共料金の納付とかじゃなくて刑事手続きの一貫のものだから、それでも払いに行け、でなければ所定の手続きに従って出頭せよ、って言ってくるのかな…そこも訊いておけばよかった。



交通違反をしたことは全く弁明の余地がなく駄目なことであるし、今後の運転についてももっと慎重になんなきゃいけない。原付って軽んじられるシーンが多いけれど、不意にあっさりと人を傷つけることができるほどの力は十二分に備えている。たくさんの車が各々好き勝手走って事故を起こさないために制定されたのが交通ルールな訳だから、その辺はきっちり弁えていきたい。

そしてそれとは全く違う話として、公的な手続き全般にデジタルがもっと当たり前に導入されることを心から願う。後進的、というか前時代から一歩も動かす気がなさすぎる。寒空の下頑張って手書きで青切符作ってそれに印鑑押すために四苦八苦してる警察官を見てるのは、本当にいたたまれなかったんだ…もう2021年なのに…いや悪いのはバッチリ私だが…その辺りは今年の9月にできるデジタル庁に望みを託していいものなんだろうか。