オクターブ調整について
今日はオクターブ調整について簡単にご説明させていただきたいと思います。
開放弦の音でチューニングを合わせても実際に弾いてみるとフレットをおさえた時の音がなんだか合っていない、弾いていて気持ち悪い、と感じる場合にはオクターブ調整が必要になります。基本的に弦交換後は必ず確認しています。張っている弦のメーカーやゲージを変えた時などはだいたい微調整が必要になります。季節の変わり目、ネックの状態、経年変化などでも狂ってしまう場合があります。
調整方法は 12F のハーモニクス音 (開放弦) と 12F をおさえた時の音を同じにする、というものです。調整はサドル部分のネジでドライバーを使って行います。
精度の高いチューナーを用い、張って充分になじませた新品の弦でピックアップはリア、普段使用しているピック、普段のピッキングの強さで行うようにしております。
12F ハーモニクス (開放弦) でチューニングを合わせた後に、12F をおさえた音を確認、
12F をおさえた音の方が高い場合、ネジは右回し。(ナット、サドル間の距離を広げます)
12F をおさえた音の方が低い場合、ネジは左回し。(ナット、サドル間の距離を縮めます)
多くの教則本にはこのように書かれております。
楽器をはじめた頃はいざやる時にどっちだったっけ?となったものです。実際にどっちに回すか忘れてしまう、というお話もお客様からよく聞きます。これは単純な考え方で忘れなくなると思います。
ナットからサドルまでをスケールといいます。弦楽器の多くはスケールが長くなればピッチは低く、短くなるほどピッチは高くなります。多くは楽器のサイズに比例します。ウッドベースとマンドリンの差を考えてみるとわかりやすいと思います。
オクターブはナットとサドル間の距離の調整で合わせるものです。
ここで ウクレレ、ギター、ベース、3つの弦楽器をイメージし、ギターを基準に考えます。
ウクレレはギターよりもスケールが短く、ギターよりもピッチが高くなります。
ベースはギターよりもスケールが長く、ギターよりもピッチが低くなります。
ということで、この関係をあてはめていきます。
12F をおさえた音の方が高い場合、ベースのようにスケールを長くすれば音は低くなる。
12F をおさえた音の方が低い場合、ウクレレのようにスケールを短くすれば音は高くなる。
と考えるとサドルの位置関係が身近になりませんか?
サドルの図。
拡大してみました。サドルの位置が弦ごとに違うのはオクターブ調整によるものです。
私は中学生の時に初めて買ったエレキギターのサドルがなぜ上下バラバラの位置にあるのか疑問でした。その当時は現在のようにインターネットも普及していなかったため、知りたいことを調べる方法が現代と大きく異なりました。楽器店の店員さんに聞く、詳しい構造が書かれた資料本や教則本などで調べる、加えて音楽雑誌にたまに知りたいことがでてればラッキーってなもんで、世界にはまだ iPhone もなく、知りたい情報が手元ですぐには得られませんでした。
そんなこんなで、当時初めてのエレキギターでは一列にビシっとサドルの位置を揃えてみたものの、何か違和感あるなーと困ったもので。その後、詳しめな教則本で判明した、ということです。
なんでも意味があってそういうカタチになっているものなんだな、と学びました。
脱線しまくり。
本日も最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。