サロンの女王2-ヴォルテール誕生
2021.01.23 10:52
この平和とバブルの時代に、フランスの文化が栄える。その主役は、貴族夫人の主催するサロンである。とにかく彼女らは才能ある文人達を競って囲い、ホストさながらの恋愛詩などを作らせたり、劇や音楽会をやって遊んでいたのである。しかし彼らは啓蒙文化人となっていく。
そのトップバッターといえる天才が出現した。名をフランソワ・マリー・アルエ、彼は1694年生まれ。10歳でイエズス会の学校で文才を現し、当時サロンの女王といわれたニノン・ド・ランクロ嬢にかわいがられ、書籍代として2千フラン渡されたという。
早熟なアルエは父の赴任地ハーグで恋愛事件を起こしたり、帰ったパリでは、フランスの時世批判の詩を書き、摂政公の命令であのバスティーユに叩き込まれる。しかし獄中で書き上げたのが処女作「エディプ」で、1718年に上演されるや45回の大当たりを取り、一躍有名になった。
彼は社交界の寵児となったが、同時に妬みをもつ貴族ロアンと決闘騒ぎを起こし、またもやヴバスティーユに。そしてパトロンの助けで、イギリスに留学するという名目で釈放される。彼は古い時代と古い自分にサヨナラするつもりでペンネームを使う「ヴォルテール」の誕生である。
下はニノン・ド・ランクロのサロン立っているのがヴォルテール