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いつか夢で。

2021.01.24 13:31


ベットの中で抱き締めたのは多分、間違いなくあなた。

マルーン5の流れる六畳のマンションで、そう外は雨なんかが降っていて。

そう、あなたは「なんだ雨降ってるんじゃん」とか言ったりしてさ。

ちょっとだけ、嫌な顔をするんだけどまんざらそうでもないの。

あなたは枕に目一杯顔を埋めて苦しそうなんだけど、極めて規則正しい寝息をたてている。

髪、少し伸びたかな?なんて世界で一番近いところであなたの寝顔を眺めたり。

通った鼻筋とか、長い睫毛だとか、少し薄い唇なんかを誰より近くで眺める。

折角の休みなんだしどこか出かけない?なんて、私たち二人には愚問。

一緒に過ごして、目覚めたら決めたらいい。

何だか幸せでくすぐったい。

ああ、こんな気持ちなんて言うんだっけ?

 

会社のあなたは雨なんか気にしないし、休日の朝を私と迎えたりしない。

そもそもベットであなたが抱き締めるのはこの先、永遠にさくらさんだけ。

 

「城ヶ崎、こないだは出産祝いありがとな。さくら本当お前にはかなわない、って笑ってわ。」

「あら、まださくらさんなんて呼んでんの?」

「いや、大野が大野とは呼ばないだろ?」

「何言ってんの、名前で呼びなさいよ。」

まったくどんな天然チャンなのよ。

横恋慕なんてみっともない、私はあなたの大切な彼女も大切なの。


「じゃあ営業出てくるわ。」

「せいぜい頑張って来るのよ。」

あんな甘ちょろい男、だから言わないの。

そんな夢を見たなんて、誰にもいわない。