中耳炎の思い出
(前回に続いて、)子どもの頃の私は耳鼻咽喉科系がみな弱くて、まいどまいどの扁桃炎、度々の中耳炎、少し大きくなってからはアレルギー性鼻炎と、病院と母には本当に世話になりました。
耳は外耳・中耳・内耳からなっていて、中耳炎は、鼓膜の内側の中耳に炎症を起こす病気です。
中耳は閉じた空間ですが、耳管(じかん)という管で鼻の奥とつながっていて、そこを通って細菌やウイルスが侵入することがあります。
炎症がひどくなって膿が溜まると、鼓膜を切開して膿を出さないといけません。
今はあまり切開はしないとか、するとしても麻酔があるとか聞きますが、当時の私は左右とも何度鼓膜切開したことやら。
中耳炎も相当痛いのですが、鼓膜切開の激痛といったら忘れられません。
耳かきを奥に入れ過ぎたときの痛さの100倍くらいでしょうか。
診察椅子に母が座って、その膝に抱っこされて処置を受けます。
耳鼻科の先生がゆ~~~っくり、
「おぉなぁまぁえぇはぁ~~~?」
と訊きます。
ちっちゃい文ちゃんは、
「つーつーみー、ふーみー…」
ブスッ!!
答えに気をとられている間にヤられる訳です。
何度も切開していると、幼稚園生でもだんだん学習してきます。
「おぉなぁまぁえぇはぁ~~~?」
「ツツミフミコッ‼」
超高速で言い終わると、先生も間に合いません。
しめしめ。
それでもそこは流石の先生。
「じゃぁ~、よぉ~~ちえんはぁ~~~?」
「おーたによーち…」
ブスッ!!
涙。
中耳炎についての詳しいお話は、とってもわかりやすいこちらをどうぞ。
公私ともにお世話になっている吉永陽一郎先生の『たまひよ』の連載です。
【小児科医監修】赤ちゃんの耳に水が入る=中耳炎は間違い! 中耳炎の原因は?
私たちは、外耳と中耳を隔てている鼓膜が振動することで音を聴きます。
外耳と中耳の気圧が同じだと鼓膜がちゃんと振動しますが、外耳と中耳の気圧に差があると、鼓膜にテンションがかかってうまく震えてくれません。
耳がツーンとして聴こえが悪くなったり、時には激痛も起こします。
例えば、高いところに登ると外の気圧(外耳側)が下がり、中耳の圧の方が高くなるので、鼓膜は外へ膨らみます。
逆に、水に潜ると外の圧(外耳側)が上がり、中耳の圧の方が低くなるので、鼓膜は内へ膨らみます。
ここで“耳抜き”をすると、耳管を通じて中耳の気圧が調整され、外圧と揃って聴こえは戻り、痛みも解消されます。
唾を飲み込むとか、あくびをするとか、ガムを噛むとか、いろんな方法があります。
ところが、喉や鼻が腫れていると耳管が開かなくて、耳抜きがうまくいかないことがあるんですよね。
20代の頃スキューバダイビングで耳抜きがうまくいかず、滲出性中耳炎を起こしたのが最後の中耳炎、苦い思い出です。
空気のかみ合わないコミュニケーションに遭遇すると、この中耳の現象を思い出します。
「空気を読む」という表現がありますが、場や人の雰囲気を感じる中には、圧のようなものも含まれると思うのです。
周囲の空気から浮いて1人だけ圧が高かったりすると、周りの伝えたいことが“聴こえない人”になりかねません。
また、落ち込んで覇気が薄くなっているときは、圧のある激励は受け取りにくかったりします。
圧の差を減らしてコミュニケーションをとれたら、お互い痛い思いをせずに済むのになぁと思います。
こじらせて内に炎症を抱えないように、上手に耳抜きしましょうね。
コミュニケーションの達人は、圧の差を感じさせない・・・自然な思いやりに溢れています。
そんな風に居られるよう、歳を重ねたいです。