Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

弱い力

2021.01.28 23:11

どれぐらい弱い力で動かすと身体は変化するのでしょうか?

もの凄く弱い力であっても、何が問題で異常を起こしているかが理解できれば身体は変化します。しかも、1秒もかからない間に変化します。


もちろん、複雑に絡み合っている場合もあるので、一筋縄ではいかない場合もあります。しかし、程度の差であって変化がない訳ではありません。複雑に絡み合っているものを無理やり動かそうとすると、身体は必ず反発します。

動かない関節を無理やり動かそうとすると代償運動が起こるのと同じ原理です。余計な力を使うと逆に身体が緊張してしまうという訳です。運動で代償運動が起こるのと同じ理由で刺激も同じ理由で代償運動が起こります。


目標があって根気よくやる時間のかけかたと、何の目標もなく漫然と同じことを続けるのとは全く意味が違います。 弱い力であっても結果を出せるように、術者は訓練する必要があります。その為には、何が異常で何が異常でないかを調べ、刺激した後にどんな変化が起こっているのかを把握している必要があるということです。弱い力で動かすことができれば、強い刺激はできるようになるでしょう。 なぜ、弱い力で動かすことをチャレンジしないのか私には不思議でたまりません。  


ギックリ腰で訪れた若い女性でしたが、肩の異常が強く腰に来ているのがわかりました。ギックリ腰は、はじめてで、恐怖に支配されている感じでした。この恐怖を何とかしなければ痛みが再発するのは目に見えています。ある意味腰を治すことより恐怖を取り除くことの方が重要です。そんな人に腰を強い力でグリグリやれば余計に肩首の緊張を誘発するのは目に見えています。


腰の痛みもさることながら、そんな人に強刺激をすれば疲弊して体力も奪ってしまいます。 特に、はじめてのギックリ腰ですから、マイナスにしかなりません。二度と行きたくないと思われてしまうでしょう。 

少々強刺激を行っても大丈夫な人も確かにいます。それは否定しませんが、このような例では絶対に禁忌です。触れる程度の刺激を手の甲に行うと立ち座りは普通にできるようになりました。

立ち座りを普通に行えるようになった時点で治療をやめました。これ以上の刺激は必要はないと判断したからです。

次回の来院時に聞いてみると、あれからかなり楽なままだったようです。


強刺激を止めない術者も多いのは、どうしてかなと思います。強刺激というのは浅い鍼であっても、複数打つ刺激も入ります。ハリネズミのように打っている画像を見るとどうしても驚きを隠せません。もちろん、それで効果をあげる訳ですから凄いなとも思います。ただ、強制的に物事を動かそうと思ったら、必ず反発があるという法則を無視して欲しくないなとも思います。


痛みは徐々に良くなっていけば、その人の身体の使い方の勉強にもなります。直ぐに治らなくても身体の使い方を少しずつ覚えられれば一挙両得です。身体で覚えたことはそう簡単には忘れません。

そんな治療方針を示すには、術者に、その人の状態をしっかり把握する能力がなくてはなりません。