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いなべ市議会議員 篠原史紀 しのはらふみのり WEB

こども食堂は地域の多世代の気軽な居場所へ②

2021.01.28 07:09

写真は、湯浅氏による「多世代交流拠点としてのこども食堂」という記事(https://news.yahoo.co.jp/byline/yuasamakoto/20191214-00154123/)に掲載された山口県宇部市「みんにゃ食堂」には毎回400人近い参加者が集う(みんにゃ食堂提供)の写真を引用した。


昨日、開催された三重こども食堂ミーティングのレポート続きです。

湯浅氏が提言することを掘り下げ、地域福祉の網から誰も取り残さないためのしくみづくりについて考察をまとめたいのだが、レポートが完結しないので、続きを書きます。


湯浅氏の基調講演を受けて、三重こども食堂ネットワーク代表の対馬あさみさんから、県内のこども食堂の動向についての概要報告があり。主に、行政等との連携事例があげられた。それを受けて、以下、県内の4つの子ども食堂運営者から活動報告が行われた。

・羽津こども食堂&ゆう(四日市市)

・すずらん台なかよし食堂(名張市)

・亀山みんな食堂(亀山市)

・尾鷲みんな食堂(尾鷲市)

活動報告で私が注目したのが、「立ち上げたばかりの食堂だが、地域の理解が進まない。具体的には、『あの食堂は貧困な人がいく食堂。あんな食堂にはいけない・・・』」。どの食堂もこの「貧困」という言葉の壁にぶっかった経験はあろう。「貧困で苦しむ人が集まる場所」は、支援が必要な人のプライドも傷つけてしまう。ゆえに、いなべ市内の3食堂と社会福祉協議会が連携したお米等の食品配布は、あえて、フードロスを趣旨とした。「みんな食堂」「地域食堂」もこうした流れから、誰でも来て楽しくみんなで食事をする場とすることになったのだろう。

こうした食堂は続けないと、最終的な貧困で苦しんでいる方に届かない。何度か通うようになり、人としてつながることで、悩みを話しやすくなり、そこで、抱えている課題解決につながることとなる。

だから、最初から「貧困で苦しみ人を救う!!」という姿勢からスタートすると上手に機能はしないし、必要な人への支援は届かない。

ゆえに、人とのつながりを維持するために、例えコロナ禍でも、いや、コロナ禍だからこそ、各こども食堂は、かたちを変えて支援を続けている。実際に、コロナの影響で苦境に陥っている家庭は、たくさんある。こうした家庭の多くが行政のサービスや相談にいくかといえば、真に困っている人ほど、精神的にゆとりもなく、相談にはいかない。1度支援を断られたり、複雑な手続きなどを指示されたら、二度と行政にはいかないだろう。これが、行政の限界であるとも言える。


第2部 三重県子どもの貧困対策推進会議


5分間の休憩を挟んで、まず、三重県の子ども・福祉部 子育て支援課より事業報告がされた。まず、 三重県では、結婚や妊娠・子育てなどの希望がかない、すべての子どもが豊かに育つ三重をめざして、平成27年3月に「希望がかなうみえ 子どもスマイルプラン」を策定された。また、子どもの貧困対策の推進として、令和2年3月に、第二期 三重県子どもの貧困対策計画が策定され、以下の具体的な5つの取り組みが示された。

1.教育の支援

2.生活の支援

3.保護者に対する就労支援

4.経済的支援

5.身近な地域での支援体制の整備

この計画をベースに令和2年度は、主に以下の取り組みを行った。

(1)食を通じた子育て家庭への支援の推進(食を通じた子育て・支え愛事業補助金の創設)→5万円を26団体へ

(2)子どもの居場所づくりの推進のための支援( 学校や家庭に続く安心して過ごせる場である「子どもの居場所づくり」を推進するため、「子どもの居場所づくり推進事業補助金」を創設)→20万円を20団体へ

令和3年度の取り組みとしては、

さらに、各団体等と連携し、さまざまな支援機能を持つ子どもの居場所づくりを推進し、結果、生きづらさを抱える人へのアウトリーチ的な支援につなげるなど、居場所をきっかけとして福祉サービスねどの支援が届きにくい子どもや家庭に届けることをめざすとしてる。


行政との連携事例の紹介

次に以下の5つの事例が、関係団体から報告された。

1.子どもの見守り強化事業(桑名市子ども総合相談センター)

2.「フードパントリー(食品配布会)への相談員派遣」(桑名市子ども未来課)

3.「伴走型の子ども食堂の立ち上げ支援」(伊賀市社会福祉協議会)

4.「鈴鹿市社会福祉協議会によるコロナ禍の支援」(鈴鹿市社会福祉協議会)

5.「クラウドファンディングなど子ども食堂や企業との連携」(明和町社会福祉協議会)


どの事例も、コロナ禍における子どもの居場所、見守りの機会として、子ども食堂が効果的と考え、公的機関からの積極的な連携が行われたものであった。

特に、私が注目したのは、桑名市の取り組みで、フードパンドリー会場に、母子父子自立支援相談員を派遣し、行政相談のハードルを積極的に下げる努力をした点。また、

鈴鹿市社会福祉協議会は、市民に募金を呼びかけて、約630万円の寄付がなされ、それを原資に、支援食料の購入、子ども食堂や外国人支援団体に助成をした。

明和町社会福祉協議会は、地元企業と連携しクラウドファンディングを実施。効果として、住民・企業・行政が枠組みを超えて連携し、子どもの健やかな成長を支援するパートナーシップ協定締結につながった。

伊賀市社会福祉協議会は、子ども食堂の設立を視野に、市民団体らと研修会を開催。社協が主導し、補助金や場所の相談にものりながら、子ども食堂の立ち上げにつなげた。


最後に、湯浅氏の総評があった。

その中で、印象深かかったのが「行政がお金を入れてしまえば、ずっと入れ続けなければいけない。行政支援はお金だけでなく、公的な信頼性も活用できる。住民に寄付を呼びかけたり、場所の提供、団体同士にのマッチング、広報紙等による情報発信など。こうした連携自体が大切である」。


財政は常に安定はしない。ゆえに、福祉、特にセイフティネットは、どんな財政状況でも維持できる体制としなければいけない。

いなべ市が掲げる重層化且つ包括的な福祉体制は、理想ではあるが、ころころ変わる国の方針や政策に振り回されて、ガラパゴス化して、意外に気づかない穴が空いていまいか心配になる。あまりに雑駁に量だけが多いと、職員もやっているつもりにもなるし、他ごとは考えたくなくなるだろう。それより、確実に穴を埋めていくことが大切である。