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神崎琴音

語彙はほしいよ、いつだって。

2021.01.28 11:59

語彙はほしいよ、いつだって。

歌う代わりに文章を書くし、書く代わりに歌う、そんなかんじ。


お酒に酔えばよく喋るけど、本当は心のなかではそれくらい喋ってる。言葉が好きだから、すらすらと出てこない。一番いい言葉を選びたいから。

ちょっと暗く文学的なことを言うのがアイデンティティだと、自分で思っていたら、それはそこから抜け出せるはずもないよね。


初恋のたびに、語彙がほしいと思った。

先生に逆らうために、語彙がほしいと思った。

憧れの人に追いつくために、語彙が欲しかった。


わたしの小学生から中学生相当の語彙は、ほとんど全部ハリーポッターから得たといってもいい。読書で点数稼ぎをした人生だった。読書による教養の蓄積分で大学に受かったといってもいい。


大学に入って始めた演劇は、心がむき出しの人が上手なようだった。それまで自分を明け渡す語彙を持たなかった。だから習得した。そのために人格を変えたと言ってもいい。芝居がうまくなりたくて。


いまはなんのための語彙がほしいかといえば、なんだろうか。

自分の夢をあけすけに語るための語彙がほしいかもしれない。


恋愛のための語彙も、飲み屋で初対面のひとと話す語彙も持っている、だけど、子どものように、ただ希望ある未来について身構えずにしゃべるのは、苦手かも。それができるようになりたい。

って、子供の頃からずっと思っている気がするけど。