【Interview】走るひと公開取材 vol.1(後編)—&MOSH プロデューサー 田原104洋—
9月4日(日)。今年6月、「スポーツ」+「ケア」+「食」+「ファッション」=「健康」をコンセプトに代々木八幡にオープンしたランニングベース「&MOSH」にて、『走るひと公開取材』と題したトークイベントが開催されました。第1回目のゲストは、「走るひと」でもおなじみ、「&MOSH」プロデューサーの田原104洋さん。オープンの経緯や、幡ヶ谷再生大学陸上部の活動など、語っていただきました。
本稿では、“田原104洋”さんと“走るひと編集長上田唯人”のトークイベントの様子を、前編・後編2回に分けて、ご紹介します。
“音楽”と“ラン”。その2つをつなげる場所としての「&MOSH」
──「走るひと」を作っているなかで、ロック界隈には、走っている方々が多いと感じます。“FUJI ROCK FESTIVAL”や“京都大作戦”などのフェスで、MC務める田原さんから見て、どう感じていますか?
前に聞いたことがあるんだけど、実は昔から、走っているミュージシャンっていうのは多いんだって。だけどそれが知られていなかったのは、情報を発信するツールが少ないことに加えて、“セックス・ドラッグ・ロックンロール”というイメージが強いからじゃないかな。走っていても、わざわざ言わない。みたいな…
──昔は、走っている=格好悪い ことだった?
そう。今それが変わってきたのは、悪いことをよりも、クリーンなことをやっている方が、格好いいとされる時代になったから。そして、それが発信しやすい時代になっているんだと思う。それと、これは僕の勝手な考えだけど、もともと白人の文化である“ロック”には走っているひとが多くて。逆に、“ラッパー”の文化なんかは、思いっきり筋トレしてパンプアップ、みたいなひとたちが多いんじゃないかな。少なからず、そういう流れもくんでいると思う。
──“ラップ”のカルチャーは、尊厳や市民権を得ていく動機のもと生まれていった側面がありますから、鍛えることはあっても、内省的なラン的な方向にはあまり向かっていかなかったのかもしれませんね。そして、“ロック”を中心とした音楽業界のひとが走っているという前提があったから、先日の「フジロックラン」が実現できたのではないでしょうか?
そうだよね。わざわざ苗場まで行って、朝6時半に集合して走るなんて、それこそ昔のロックンロールでは考えられない(笑)ただそんな中、両日100人近いひとたちが集まって来てくれるんだから、凄いよ。一緒に走った参加者の中に、「毎年走るつもりで来るんだけど、どこをどう走っていいか分からずに、走っていなかった」っていうひとがふたりもいて、そして「嬉しい」って言ってた。
──もしかすると、幡再(ハタサイ)陸上部が出来たばかりの、走ることがまだそれほど市民権を得ていなかった時代には、実現できなかったイベントかもしれませんね。
そう思う。今はトレラン(トレイルランニング)とかも流行ってきてるし、そういうひとたちにフェス好きなひとが多いっていうのは相当追い風になっているはず。さすがにトレランやっているひとでも、あのコースは辛かったみたいだけどね(笑)
──今後も、フジロックランに続くランイベント、やっていければいいですね。
まずは、9月18日の「New Acoustic Camp」会場で、『ニューアコラン』をやります。(※終了)次に、10月9日〜15日に「&MOSH」オープン記念で開催する『&MOSHツアー』でも、大阪・名古屋・東京・東北(岩手2会場)のすべての会場で走ろうと思います。そして最後は、12月23日の「AIR JAM 2016」。ただ、フェスで走るっていうシンプルなことなんだけど、だからこその難しさも感じています。だから、今年は残りのイベントでしっかり経験を積んで、来年からもっと上手に絡めるための、下地みたいなものを作りたいと思ってて。
──いいですね。そして、ぼくたちも一緒に「走ること」や、イベント自体を、もっと格好良くできればいいなと思います。
──最後に、&MOSHを「もっとこんなひとに使ってほしい」みたいな思いはありますか?
(制限を設けず、)いろんなひとに使ってほしい。この辺りに勤めているサラリーマンのひとだったり、週末にステータスとして代々木公園を走りに来るひとだったり、本当にいろんなひとに使ってもらえる施設にしたいと。バンドのファンの子が来て、スムージーを飲んで行ってくれたりするんだけれど、そんな子も走り始めてくれたらいいな…と願ってます。
田原104洋
「MOBSTYLES.」ディレクター。広島県出身。京都大作戦やAIR JAM、FUJI ROCK FESTIVALなどのロックフェスでMCもこなす。2015年はブランド15周年を記念し「MOBSTYLES 15th Anniversary TOUR "FIGHT & MOSH”」を開催。
幡ヶ谷再生大学
http://hatagaya-saisei-univ.jp/index.html#about
幡ヶ谷再生大学陸上部オフィシャルツイッター
https://twitter.com/rebirth_rikujyo
&MOSH
Text: Ryo Nishikawa