患者さんの状態に合わせて…①
あいだ希望クリニック 会田拓也院長のお話
『i-wish ママになりたい 不妊治療の今』より
患者さんの状態に合わせて、より自然に必要な治療のみを行っています。
あいだ希望クリニック
会田拓也院長
東京駅のほど近く、神田に2014年7月2日に開院した「あいだ希望クリニック」。新築の木の香漂う院内には、新しい患者さんやその赤ちゃんとの出会いを予感させる希望と、通院患者さんがホッと息をつける雰囲気がありました。ここで、会田医師はどのようなクリニックを目指し、実際に治療を行っているのでしょう。さっそくお話を伺いました。
i-wish ママになりたい 編集部/2014年09月
開院して感じていることは?
今通ってきている患者さんは、他のクリニックで治療されてきた方がほとんどです。ただ、自分が受けてきた治療について理解している方はほとんどいません。大多数の方が、わからないままに治療を受けてきてしまったようです。
特に多いのは、不妊の原因がわからずにステップアップ治療をしてきたケース。最初はタイミング、次は人工授精、そして体外受精という流れに乗ってしまうと、どうして人工授精が必要なのか、体外受精が必要なのかの説明が不十分な場合が多いんですね。タイミングで妊娠しないから人工授精、人工授精でダメだったから次は体外受精という理解でしかない。きちんとした説明を受けることなくステップアップ治療を受けてきてしまったのです。
ですから、当院では最初に、どうして妊娠しにくいのか、妊娠するためにはどんな治療が必要なのかということを、しっかり説明して理解してもらうようにしています。たとえば体外受精をする場合に、どうして体外受精をする必要があるのかを説明するところから始めますし、必要な検査を受けていなければ検査をする。最初の段階で治療について理解が深まると、以後の診療がスムーズに進むと感じています。
どんなクリニックを目指しているのですか?
当たり前のことですが、より自然に必要な治療しか行わないクリニックを目指しています。不必要なことはしないということですね。転院してくる患者さんの中には、排卵誘発剤の注射を打つ治療をしてきたけれど結果が出なかったという方も多くいます。この場合、本当に薬を使う必要があったのかと疑問に感じるケースも少なくありません。
卵子や精子に問題がなく、普通に排卵があって、検査でも異常がない方の場合、検査ではわからない部分に問題があると考えるのが自然です。検査でわからない部分というのは、卵管の機能の問題がほとんど。卵管が上手く働かずに卵子と精子が出会えずにいるのです。とすれば出会う機会をつくればいい。その方法が体外受精になります。
字を見てわかる通り、体外受精とは、からだの中で受精しないから、からだの外で受精の機会をつくること。卵子と精子をシンプルに出会わせばいいだけの話ですから、卵子をたくさん採る必要はありません。それなのに排卵誘発剤を使って何個も卵を育てて採ろうという発想に不自然さを感じます。ほ乳類で1度に10個も排卵するのはネズミくらいで、通常、人間は1個か2個しか排卵しません。それなのに、どうして10個近くも卵子を育てる必要があるのでしょうか?