「どんなに願っても」

「どんなに願っても」

どんなに願っても

息子をお腹の中には戻せない

どんなに願っても

息子の奇形した手や手首を

真っ直ぐできれいな手にも手首にもなれない

どんなに願っても

息子の心臓にあいた無数の孔を塞ぐことはできない

どんなに願っても

息子の心室はなかなか動いてくれない

どんなに願っても

息子から死の恐怖の記憶を消すことはできない

いつも思う

無力だと

なぜこんなに無力なのかと

昨年、手術室を見学する事ができた

手術台までの階段を息子はどんな気持ちで登るのだろうか？

そして、医師達はどんな気持ちでメスを握るのか？

私にはわからない事だらけ

ただ、息子には幸せに生きてほしいとそれだけを願って

私はずっと生きてきた。

この子が将来困らないように

私達が星になっても

泣いたり、お金に困ったり、仕事に困ったり、病気の事で1人で悩まぬように

私はどんな犠牲も構わない

何を言われようが

どんな酷い言葉をかけられようが

かまわない

でも、懸命に生きている息子に

愛のない言葉を言わないでと願う

そんな事、無理に決まっている

でも、私は願う

息子の幸せを