2016.10.03 03:07
子供の頃は、あまたあるおかずの中で豆腐ほどつまらないヤツはいないと思っていた。
ハンバーグやエビフライのように派手さはないし、ご飯に合うわけでもない。
なんだか地味だし、色も味もなく、無造作に扱えばすぐひねくれて身を持ち崩してしまう。
ふにゃふにゃしていて、自己主張もない。
特に親父がしょっちゅう晩酌のあてにする意味がわからなかった。
ネギや生姜、時には海苔、茗荷をのせてさらりと醤油をかけては肴にする。
しかし、大人になって豆腐に対する味方が180度変わることになる。
若気の至りで色がないと思っていたが、豆腐には色があり、香りもある。
崩れそうで崩れず、一本筋が通っている。
どんな薬味や料理とも合う器量の大きさがある。
かくも豆腐はすごい。
【参考文献】
俳人・荻原井泉水「豆腐」