嘘か真か!?日本に古来から伝わる河童・人魚・天狗たちのミイラまとめ
https://mag.japaaan.com/archives/19517 【嘘か真か!?日本に古来から伝わる河童・人魚・天狗たちのミイラまとめ】 より
日本に古来から伝わる妖怪や物の怪のたぐい。お話の中だけではなく実在した証拠とも言うべき「ミイラ」としてあちこちに残っています。ちょっと怪しいけどちょっと気になる。妖怪ミイラたちを集めてみました。
昨日公開した「日本中から発掘された弥生、古墳、戦国時代の"おにぎり"まとめ」と同じく誰得感あふれるまとめではありますがどうぞ。
資料として貴重なものではあるのですがなんせ物が物なだけに、そういった類が苦手な方はご注意を。
河童のミイラ
正徳6年(1716年)に佐賀県で創業の松浦一酒造。昭和28(1953)年、屋根の吹き替え工事中に、梁の上にくくりつけられている「河伯」と書かれた箱が発見されました。毎年12月1日、これから仕込む酒がうまく発酵するようにと祈って水神祭を執り行っています。
中国渡来の河童のミイラ。
大阪 瑞龍寺所蔵。一時期「水神」として祀られていましたが、現在は一般公開されていません。収められている箱には天和2年(1682年)と記されています。約70センチ。
大阪の瑞龍寺に伝わる龍のミイラ
大阪 瑞龍寺蔵。体長、約1メートル。置き物っぽいですね。
人魚のミイラ
長さ65センチ。重さ600グラム。刈萱堂(かるかやどう)所蔵。ムンクの叫びみたいです。
人魚のミイラ
原野農芸博物館蔵。兵庫県立歴史博物館の特別展「妖怪天国ニッポン」で展示されました。
双頭人魚のミイラ
岩手県のお寺で発見されたという双頭人魚のミイラ。
双頭人魚のミイラ
八戸市博物館蔵。八戸南部家が所蔵していた人魚のミイラ。
天狗のミイラ
八戸市博物館蔵。羽根っぽいものが見えます。痛みが激しく、現在は公開されていません。
件(くだん)のミイラ
人の顔が牛の身体にくっついたのが件(くだん)。グランフロント大阪で開催の妖怪幻獣百物語展で展示。
烏天狗のミイラ
和歌山県御坊市歴史民俗資料館に保存されています。
いかがでしたか。異なる動物を組み合わせて作り上げられているようにみえるものもありますが、昔の人々の信仰の様子などを窺い知ることのできる貴重な資料。現代のテクノロジーで真相を解明する動きもありますが、謎は謎のままにしておいてもいいですよね。
http://www.jidai-denki.com/2014/02/post-793a.html 【「妖怪ぞろぞろ俳句の本」 妖怪と俳句に見る人間と自然の関わり】 より
今回は、直接時代ものというわけではありませんが、江戸時代の文化に関連したユニークな児童書をご紹介。妖怪や神仏に関する俳句ばかりを集めた、カラフルで楽しい絵本であります。
「妖怪・動物」と「鬼神・超人」の上下巻に分かれた本書は、タイトルどおりにそれぞれ25句の俳句を収録し、その句と、その題材となった妖怪神仏の解説を掲載したもの。
見開きで一つの句を収録し、そこにカラーのイラストが付されているのも、目に楽しいところです。
さて、そもそも本書のコンセプトたる、妖怪と俳句の取り合わせですが、果たしてそれはアリなのか、と疑問に思われる向きもあるかもしれません。
しかし本書を見るまでもなく、妖怪を題材とした俳句は存外に多いのであります。特に妖怪を題材にした俳句が多いのは与謝蕪村ですが、蕪村はそもそもが妖怪好きであったらしく、現在は残念ながら散逸しているものの、「蕪村妖怪絵巻」として知られる自筆の絵巻をものしているくらいなのですから…(ちなみに折口真喜子「踊る猫」は、そんな蕪村を主人公とした短編集です)
そして何よりも、本書は上巻の冒頭で、俳句と妖怪の取り合わせが、それほど奇妙なものではないことを、上巻の冒頭で極めて明確に説明します。
すなわち日本では「自然との関わり方」として「技術ではなく、自分たちの意識を変えることで、理解できない不思議なことや自然界の恐怖をやらわげ」てきたのが「妖怪」であると――そして一方で自然の感動を詠んだのが俳句であるならば、ともに人間の自然との対面の仕方として、等しいものがあるのだと。
なるほど、大いに納得できるではありませんか。
そんな本書の五十句の俳句のうち、個人的に特に印象に残ったものを挙げれば――
「手をうてば木魂に明る夏の月」松尾芭蕉
「みのむしや秋ひだるしと鳴なめり」与謝蕪村
「陽炎や猫にもたかる歩行神」小林一茶
「秋たつや何におどろく陰陽師」与謝蕪村
うち、何故ミノムシが、と思われるかもしれませんが、ミノムシは鬼の父親から生まれた子という伝承が「枕草子」などにあるとのこと。恥ずかしながら私はこの話を知らなかったのですが、いや、なかなか勉強になる(?)ものです。
最後になりますが、本書の挿絵を担当しているのは山口マオ。二本足で歩く猫とも人ともつかぬ不思議な「マオ猫」の生みの親、と言えばご存じの方も多いでしょう。
本書のイラストも、あの独特の、ユーモラスでいてどこかシュールな感覚で、妖怪と俳句の世界を切り出すという難事を軽々とクリアしています。
(そしてほとんど挿絵で登場しているマオ猫)
パラパラとめくってみて、感心したりクスッとしたり――気軽に読める、しかしなかなかに内容の濃い絵本であります。