いい卵子に出会うために…①
みなとみらい夢クリニック 貝嶋弘恒院長のお話
『i-wish ママになりたい 女性のカラダと卵子の話』より
いい卵子に出会うための4つのポイント
不妊治療でも、特に体外受精の場合は『卵子の質が大事だ』ということを医師からも培養士からもよく聞きます。
また、卵子の質は「変えられる」という医師もいれば、「変えられない」という医師もいます。では、変えられないとするのは、どのような理由で、変えられるとすれば、それはどのような観点からなのでしょう。
この妊娠の要となる卵子の質について、みなとみらい夢クリニックの院長、貝嶋弘恒医師に伺いました。
みなとみらい夢クリニック
貝嶋弘恒院長
卵子の質が心配になってくるのは35歳くらいから
卵子の質が要因で妊娠しづらい状態になるのは、年齢でいえば35歳くらいから。だんだんと心配は膨らみ、その心配がいよいよ本格化するのが40歳前後からです。
不妊治療でも体外受精の場合、体外に卵子を採り出すことから、顕微鏡により卵子や胚を見ることができます。そこから、卵子の質がどうであるかに触れることができます。例えば、十分に成熟した卵子なのかとか、精子と出合わせた時に受精することができたか、あるいはその後に順調に受精卵(胚)が分割したか? などです。
それでも「質のいい卵子とは何ですか?」と尋ねられたら、その究極的な答えは「赤ちゃんになることができた卵子です」という、結果論になってしまうでしょう。それほど、卵子の質についてはわからないことが多いのです。
ただ、多くのケースでは35歳くらいまである程度卵子の質が保たれています。それが生殖適齢期です。ある意味その期間であれば、どのような卵胞期を送っても、治療周期でどのような排卵誘発を行っても、妊娠に結びつく卵子に出会うことはできるでしょう。しかし、問題なのはその後、だんだんと年齢を重ねるとともに卵子の劣化が起こってきてからです。
そうなると、治療でも必要とされる方法や方向性が決まってきてしまいますし、妊娠に挑戦する周期以前からの準備にも注意が必要となってきます。
私の考える治療・その4つのポイント
そこで、私が治療で考えているポイントを例に、お話しましょう。
35歳以上、とくに40歳前後からは、卵子の質に関して、次の4つをあげています。
❶ いい条件で周期をスタートさせること
❷ 遺伝子レベルの質は変えようがないこと
❸ いい卵子に出会うまで続けること
❹ 漢方や東洋医学、ストレスからの解放などを取り入れて全身状態をよくすること
それらは、1つ1つが独立してあるというわけではなく、どれもが関係し、また絡み合ってくるものです。
これらのことから、質のいい卵子が得られるように導くための方法や考え方となると、医療として努力する部分と、患者さんが理解をして努力する部分も必要になってくるのです。
次に、それぞれをみていきましょう。