いい卵子に出会うために…③
みなとみらい夢クリニック 貝嶋弘恒院長のお話
『i-wish ママになりたい 女性のカラダと卵子の話』より
❸いい卵子に出会うまで
卵子の質と妊娠を考えた場合、いい卵子に出会うまで継続するのが一番の近道かもしれません。遺伝子レベルの問題がクリアされたとしても、その卵子が質のいい卵子であるとは言えません。
質のいい卵子に出会うためには卵巣に無理をさせないように、1周期も無駄にすることなく、その周期に最善を尽くすことです。それが私たちの仕事です。
ロング法やショート法などで卵巣を刺激した場合、その周期に採卵できた卵子で妊娠が叶わなければ、また採卵が必要となります。
しかし、40歳前後と年齢が上がってくると卵巣機能は低下し、卵巣を強く刺激しても多くの卵子を確保するのは難しくなってきます。再度、採卵が必要になったとしても、すぐに卵巣を刺激することはできません。また、FSHはコントロールしにくくなりますし、強く刺激した卵巣を元に戻すために3周期ほど休ませなくてはなりません。さらに完全には戻らず、機能低下を早めてしまうこともあるでしょう。もしもその間に、赤ちゃんに結びつく卵子に出会える周期を迎えていたら…、どうでしょう?
妊娠し、出産できたかもしれないのです。
そこで卵巣に負担をかけず、その周期の卵子を逃さないということが、とても大切になってきます。
また、採卵した卵子を見ると、年齢が高くなるにつれて卵の形態異常も増えてきます。
例えば、『卵子の透明帯だけはあるけど中身がない』『細胞質の状態もよくない変性卵』『顆粒膜細胞はあるけれど中は空洞』という状態などもでてきます。
特にAMHが極端に低い方に多く見受けられますが、このような状態が必ずしもずっと続くわけではありません。何周期か続き、突然、フッといい卵子に出会うことがあります。その周期を逃さないようにするためには、とにかく続けることです。継続は力なりということなのです。
❹データではない効果のあること
質のいい卵子になかなか出会えない場合、東洋医学やシュタイナー医学などを取り入れ、ホリスティック(全体のバランス)を考えての治療が功を奏することもあります。
いわゆる西洋医学は、病気やケガの元になっている箇所について治療をしますが、東洋医学は、その人自身を見て全体的なバランスを整えることで治療が進められます。
当院の漢方外来での診療後に卵子の質がよくなったと感じることがあります。それは、受精後の胚の成長がよくなった、また妊娠に結びつく、出産にたどり着くなどの結果からわかることもあります。
ただ、これをデータ化することがなかなかできないのです。そこには個人差も大きいことと、どれだけやって、どういう数値になったということがデータで捉えることが難しいからです。
西洋医学においては、投薬をすれば、その量によってどれくらいホルモン値が上がった、下がったというデータがとれますが、東洋医学などは、それがとても難しいのです。そのためエビデンス(科学的な根拠)で証明することはできないのですが、結果から、その効果が示唆できるわけです。
以上、私が考える4つのポイントをお伝えしました。