何周目かの夜
ーーーー風の音で目が覚めた。
ゆっくりと顔を上げるが、辺りは暗くてなにも見えない。いつ眠ってしまったのかも分からないし、もしかしたら目が覚めたのすら気のせいで、私が見ているのは未だ瞼の裏なのかもしれない。
ガタン、と音がして身体が跳ねる。音のする方に向き直ると、朽ちた引き戸が誰かによって開かれたのが、薄い月明かりに照らされていた。
「え、あ、あぁ…ごめん、なさい。脅かすつもりは、なくて、その」
目の前の誰かが狼狽の声を上げ、呼応するように立ち上がろうとした。右足がズキンと痛む。左膝がガクガクと笑う。そのまま床に倒れこんで、置かれた状況を思い出す。
「えっ、あ!大丈夫ですか?」
誰かがパタパタと近付いてくる。この距離でもそれは影にしか見えない。
差し出されている手を一瞥して、取らずに1人で立ち上がる。
私は人狼から逃げていて、まだこれからも逃げなければならないのだ。
はじまして。原作サイド兼当舞台のBGMを担当いたします、Tea Partyのギユと申します。
この度は舞台化だなんて大それた事になって恐縮と喜びの狭間でてんやわんや。るんたるんた。なんやかんやしてるうちに当日舞台に上がることにもなっておりました。わぁーお。
疑心暗鬼の小屋は同じくTea Partyのゆりと二人用に制作した、人狼テーマの会話型協力ゲームです。
二人で持ち寄った情報を元に、人間同士でこの小屋に隠れる事が出来ればクリアとなります。
ただし外にいるはずの人狼は、目の前の誰かである可能性も…
人間と信じて留まるのか、人狼と疑って立ち去るのか。それで2人の運命が決まります。
信じなければ生き残れない。それなのにどうしても信じきれない。そういった生と死に曝されて揺らめく2つの灯火を、舞台という新たなステージはどう変化をさせてくれるのか。
ぜひぜひ、一緒に確かめていただければと思います。