Society5.0とは何か、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)シンポ
【ビジネス・社会ニュース】 平成二十八年十月五日に東京・品川にて、内閣府(総理:安倍晋三)は『SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)シンポジウム二〇一六』を開催した。SIPは国家プロジェクト。「総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)/内閣府」が、二十六年に創設した。社会的、経済的に重要な十一課題について、産業界や学術機関から公募により選出された国内トップ級のPD(プログラムディレクター)を中心に、府省連携で科学技術イノベーションの実現による課題解決を目指す。基礎研究から一気通貫で実用化・事業化を見据えた研究開発を推進している。本シンポジウムは、博報堂(代取:戸田裕一)が実施・運営した。
十一の課題は以下の通り。SIPの本年度予算は五百億円。内、百七十五億円(三割五分)を医療分野に充当。括弧内は本年度予算、右はPD。
- 革新的燃焼技術(十九億円);杉山雅則/トヨタ自動車(7203.T1)
- 次世代パワーエレクトロニクス(二十三億円);大森達夫/三菱電機(6503.T1)
- 革新的構造材料(三十六.九億円);岸輝雄/東大、新構造材料技術研究組合、物質・材料研究機構
- エネルギーキャリア(三十四.九億円);村木茂/東京ガス(9531.T1)
- 次世代海洋資源調査技術(四十五.六億円);浦辺徹郎/東大、国際開発資源研究センター
- 自動走行システム (二十六.二億円);葛巻清吾/トヨタ自動車
- インフラ維持管理・更新・マネジメント技術(三十一億円);藤野陽三/横浜国大、先端科学高等研究院
- レジリエントな防災・減災機能の強化(二十三.三億円);中島正愛/京大
- 次世代農林水産業創造技術(二十六.六億円);西尾健/法政大
- 革新的設計生産技術(二十一.九億円);佐々木直哉/日立製作所(6501.T1)
- 重要インフラ等におけるサイバーセキュリティの確保(二十五億円);後藤厚宏/情報セキュリティ大
<S5ビジネスの可能性>
本シンポジウムで鶴保庸介 科学技術政策大臣は、「科学技術イノベーション政策は成長戦略の重要な柱。エンジンだと考えている。」と、イノベーション立国を内閣府が先導すると挨拶した。日本学術振興会の安西祐一郎 理事長は、基調講演「AI、ビッグデータ、IoTの研究開発とSociety5.0(S5)の実現」を行った。S5の目的は、生産性向上や新産業創出と社会課題解決(少子高齢化等)の両立だ。本年より開始した「第五期 科学技術基本計画(二十八-三十二年)」に設けられた四柱の内、一本の推進対象がS5である。
二日には「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)」において名誉会長である安倍晋三 総理大臣が英語でスピーチを行い、S5について説明した。狩猟時代をS1、農業社会をS2、産業社会でS3、情報社会でS4、そしてS5の社会名は無かったがセンシング(計測・判別)やロボット、通信、ビックデータ、クラウド・コンピューティングの技術融合による未解決問題に対処できる、と謂う。
SIPが挙げる十一課題は政府が強く後押しする分野だ。ビジネス的に成長機会が見込まれる。尚、SIPの評価と助言にかんしては、ガバニングボード(総合科学技術・イノベーション会議有識者議員)が行う。過去のガバニングボードの議題や配布資料、議事要旨を内閣府で公開している。
画像引用:SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)シンポジウム二〇一六公式HP
† 第五期科学技術基本計画 本文/内閣府