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苦笑の楽園

恐怖と病院

2010.02.21 03:15

 入院の話を書こうと思ったのだけれど、あまりに久しぶりすぎてどんな文章で書いていたのか思い出せない。ブログがスランプ。



 とりあえず入院初日。この日は何をするわけでもない。検査はこの日までに済ませているので、ちょっとした入院の心がけとか、手術の準備で終わる。人間、時間が余るとろくな事を想像しない。



 というわけで入院すると聞いて最初に思い出したのがこれでした。



 だいたいホラーと病院は相性がいい。病院ホラーは山ほどある。



 入院のちょっと前に見てたのはこれ↓。






 これがかなり出来の良い入院ホラー。しかもイヤンな感覚に溢れていて不安を煽る。



 何かといえばこの映画のことを思い出しつつ、初剃毛。



 電気剃刀でキャンギャル並みのビキニラインになってから病院の風呂に。ベッドに横になってあれこれ考えていたら、麻酔医がやってきていくつか質問をしつつどんなことをするのかを説明する。



 こう言うときに説明されるのは麻酔のリスク。非常に少ない確率ですがこういう事があります、と「内臓がどろどろに溶けて」などと世にも怖ろしい麻酔による副反応の話をされる。こんなの絶対に眠れないよと思っていたら看護婦がやってきて眠剤をくれる。呆れるほどぐっすりと眠る。



 翌朝7時から浣腸。



 いろいろ出して手術室へ。元気なので当然歩いていく。



 待合室みたいなところで少女が座って待っていた。すぐに彼女は手術室に行った。続いてわたし。十字架みたいな形のベッドに乗っかると、すぐに酸素マスクをつけられる。それから点滴をするのだが、なかなか針が入らない。左で三、四回試みて、右へ。こっちでも二度ほど入れ直してようやく入る。



 入ったよ、と思ってたらふら~としてくる。



 あっ、麻酔が効いてきた、と思った途端に、喉がコトンとどこかに落っこちたように、呼吸ができなくなる。



 た、助けて、って言おうとしたら声が出ない。思わず手を持ち上げたところまでは覚えているけど、本当に小説の中で気を失うように暗転。



 こんな風に死ねるならいいなあと後で思った。死の恐怖を感じる余裕もない。あっ、このままじゃ死ぬじゃん、ぐらいで意識が途絶えた。



 で、目が覚める。眼鏡もしていないし、ぼんやりとしか見えないけれど、家族が見舞いに来ているようだ。何か言ったらしいのだけれど良く覚えていない。



 喋ろうとするとものすごく喋りにくい。喉から管を引っこ抜いた直後だったらしい。



 その時私がいたのは、術後の人が運ばれる病室。どうやら四人ほど入れるようになっているようで、私の足下にはどうやらあの少女がいるようだ。医者との話を聞くとはなしに聞いているとものすごく気丈な少女で、術後すぐなのにはきはきとしっかりと喋っている。



 その後、上手くベッドの中で動けないので、背中がどんどん痛くなってくる。看護師に痛みを訴えると、じゃあ、痛み止めを注射をしておきましょうね、と言って持ってきた。



 これは筋肉注射なので痛いですよ。本当に痛いですよ。ごめんね。痛くしてごめんね。痛いよ、痛いよ。ごめんね。痛いでしょ、ゴメンねゴメンねゴメンね、ほら終わった。痛かったでしょ。ほんとにゴメンね。



 女の子からこれほど謝られることは今後一生ないだろうな。



 隣には誰もいなかったのだけれど、午後の手術が終わって、いつの間にか誰かが運び込まれていた。



 その人の麻酔が切れたのだろう。



 痛い痛い痛いとものすごい速度で連呼し始めた。ノイズ系のバンドのサンプリング音声かと思うぐらい高速で繰り返す。その合間にはっはっはっはとものすごい速さの呼吸が入る。



 そうしたら、おそらく見舞いに来ているご両親らしき声がした。



「ほんまにこの子、痛がりやなあ」



「ほんまやで。昔から痛がりやったからなあ」



「あんた運がええねんで。腸を切らんですんだんやから」



「ほんまやで。運がええわ」



 ものすごくのんびりと会話するその横で、高速の痛い痛いが続いているのである。



 術後のぼんやりした頭は、痛み止めの注射のおかげもあって、眠ったり起きたりを繰り返しつつ、いつの間にか三日目を迎えるのであった。