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川で眠るカメ

2021.02.03 23:01


新年最初の投稿が2月になってしまいました。

昨日は、立春。

もう少し暖かくなってきたら、野外のカメたちも、冬眠から目覚めてくるだろう。



先週、冬眠中のカメたちが見たくて、師匠と二人で川に入ってきた。

冬期の野外調査は、初めてだった。

夏場は半そで半ズボンで川の中を動き回るが、さすがに1月の川にその恰好では入れない。

研究室でウェダー(胴長)を借りて、半そでを重ね着。

一日のうちで一番暖かい午後2時に。いざ、入水。



…水は思ったよりも冷たく感じなかった。

幸い、風があまり吹いておらず、日差しが暖かい。

これなら、一時間くらいは川でカメ探しができそうだ。




開始直後の風景写真を数枚撮っていた、その瞬間。


師匠の両手には、ニホンイシガメが。


「?!?!」


捕まえるの、、、早っ!!


2匹のイシガメは幼若個体と体の大きなメス個体だった。

2匹とも顔を出してくれたが、なんと、目が半目。

いかにも、「いまさっきまで寝てました」というなんともまぬけで愛らしい顔。


わー、本当に眠っていたんだなぁ…。

と、しばし感動してしまった。



さらに5分後、他のイシガメ個体を1匹捕らえた。


この子も同様に、寝起きの顔を見せてくれた。




師匠は、さらに上流の泥深い箇所でクサガメを3匹捕獲。


師匠曰く、クサガメはびっくりして逃げている(泳いでいる)ところを捕まえた、とのことだ。


…師匠、本当に、、流石です。




クサガメは黒化前のオスが2匹と体の大きなメスが1匹。

3匹とも、同じような場所に固まって冬眠していたようだ。



水の冷たさで手がかじかんでしまったので、1時間ほどで川から引き上げた。



計6匹のカメとの出逢い。

全部師匠が見つけた、というのが悔しいけれど…

充実した調査だった。






この川には、イシガメ、クサガメ、スッポン、アカミミガメの4種が同所的に生息している。

しかし今回の調査では、スッポンとアカミミガメは見つからなかった。


スッポンは水底の土の中深くに潜り込んで冬眠をする、と聞いたことがある。

そのため、触れられる溝を手探りで探す方法では、見つけられなかったのかもしれない。

意外だったのは、アカミミガメが捕獲できなかったことだ。

夏期の調査では、一番捕獲率の高い種であるのに…。

アカミミガメにとっては、夏場は過ごしやすい環境でも、冬眠するのには適さない環境なのだろうか。



また、捕獲した2種についても、新しい発見があった。

種類の違うイシガメとクサガメでは、越冬する環境の好みが微妙に違うようだ。

イシガメは草木の下に、クサガメは少しぬかるんだ泥地に密集していた。

さらに、同じ水環境でも、冬眠の「度合」が違うように思えた。

イシガメはぐっすり眠っていたのに対し、クサガメは驚いて逃げようと泳ぎ回った。

水温の影響なのか、水中の酸素濃度の影響なのか…その理由はわからないが、この2種の生理活性が異なっていることは確かなようだ。




新しい発見と新しい謎。

カメたちの冬眠が終わる前に、あと何回か、再び川へ入りに行きたい。

研究・調査は、カメたちの目覚める春から、と思っていたけど…



もう、立春。