国のバランスシートについて考証する
2月に入って陽ざしが明るくなったように私の敏感な頭頂部で感じたりします。世の中はコロナ禍が静まりつつあると思っていましたが緊急事態宣言が3月まで延長されてしまいました。もう仕事を再開できる自信がなくなってきちゃいました。旅客運送業の運送業法上の休止期間は最大1年間です。そんなこと言われても外国から観光客が来ないと仕事がないんです。インバウンド専門だったのが失敗でした。もうどうでもいインバウンド。やってられなインバウンド。
さて、先日、参議院浜田聡議員のお手伝いに伺いました際に国のバランスシートに関して考証致しましたので下記に記します。
下記:日本銀行調査統計局資料より扶桑社作成
令和3年1月20日に内閣府経済社会総合研究所より2019年度(令和元年度)国民経済に関する貸借対照表が公表されました。
下記:内閣府作成令和元年末貸借対照表の概要
上記を見ると日本国経済全体の正味資産は3689兆円あります。国民一人当たり約3000万円に上ります。
下記:内閣府、正味資産国家
正味資産は平成6年度から令和3年度に25年に渡り安定して3000兆円半ばを維持しています。土地についてはバブル経済の崩壊以降に下落していますが固定資産の総額はむしろ増額しています。つまり、土地の下落を補うだけの構造物への投資が為されていると同時に負債が過多に偏っていないことがわかります。
下記:内閣府、正味資産部門別
正味資産を部門別にみると政府の資産は25年をかけて五分の一に減っているものの金融機関の不良債権処理も進み、低金利政策による企業への資金提供も増し、法人の収支に連動して家計の資産も安定的に推移している。一時、リーマンショックの影響を受けた時期もありましたが最小限の影響に留めることができています。
下記:財務省、国債残高
令和元年度の国債残高は約900兆円、それに地方債の残高約200兆円を加えると約1100兆円となります。国債を発行する政府や自治体にとっては借金になるのですが、国債を買うものにとっては資産です。国債や地方債を保有する者の多くは国民です。つまり、政府や自治体の負債が増えるほど国民の、民間の資産が増えるということです。貸方のみでバランスシートは作れません。貸方があれば借方もあるのです。政府の借金は国民の資産であることも事実なのです。
テレビで池上彰氏が「国民一人あたりの借金が約860万円にも膨らんでいる」と解説しています。しかし、それは事実と異なります。国債の残高のうちの45%は日本銀行が保有しています。それは実質的に利払いや返済の必要性がないと言ってもよいかもしれません。それは、経済学上、日本銀行は政府の子会社と位置付けて考えているからです。政府の決算に日本銀行のバランスシートを連結しても良いのだと思います。そうすると、日銀の保有する国債は減少しており負債の多くは発行した銀行券や当座預金となります。要するに有利子負債から無利子の負債に変わります。また、日銀の利払いは政府への納付金となり事実上の無利子と考えられます。結果的に日銀の利払い分は国債の償還に充てられているのと同様であるといえます。財務省の言う借金1000兆円は政府に日銀のBSを連結することでネット負債は実際は200兆円から300兆円くらいなのではないだろうかと思います。また、それらは民間のBSを連結すれば健全化は達成していると言えるのではないかという水準です。
市中の国債発行残高は年々減少しています。発行計画も減少しています。連動して政府の実質的な負債は益々圧縮されます。当初、財務省の国債発行予算が令和2年は128兆円であったが40兆円は償還予算として日銀枠があります。さらに短期国債を含めると80兆円くらいまで引き受けが大丈夫だと思いますが、日銀がそれを引き受ければ市中に回る国債はほぼ皆無となります。そうなると民間金融機関は市場への積極融資を行わないと自社の事業の収益の確保や維持ができなくなります。結果、経済活動は活況になり、税収にも良い成果をもたらすことが期待できるのです。国債は政府の借金でありますが、関連子会社の日本銀行を連結対象とすることで健全だと認識できるはずです。
財務省やマスコミは国債発行額が膨らみ財政の破綻危機を煽る傾向にあります。しかしながら、日本政府の財政はそこまで酷い状況にありません。ましてや、国富の正味財産を鑑みると3589兆円もの資産を有しているのです。財務省は国民に財政の危機感を植え付けることで増税に機運を仕向けているのではとも思えます。また、その片棒をオールドメディアが担いでいるのではないでしょうか。財務省のマスコミ向けのレクチャーは政府の負債を全国民の負債であるかのように吹聴しています。まるで、新聞が消費税の軽減税率の対象になっている見返りのようにも思えます。併せて、政府の資産に関しては流動性がない、または処分できないもののようにレクチャーしています。それも事実とは異なります。政策投資銀行や公団などへの貸付や出資です。民営化を図ったり、根拠法を廃止することも可能なものなのです。官僚の天下りポストを確保したいだけなのではと勘ぐってしまいます。
また、政府の負債がGDPの237%だとする説もあります。(finder.me)これが事実であれば日本政府の負債残高の対GDP比率では世界でダントツ一位だということになります。しかしながらこれは妥当な数値ではありません。政府の負債残高に日銀保有の国債が含まれているからです。これを他国同様に連結することで数値を改めると100%を下回る数値となり十分に健全であるのです。ちなみに、アメリカの対GDP比は約100%、フランスは約90%です。
財政破綻は外貨建ての政府でしか起こりえません。日本は全てが円建ての負債ですのでそもそも破綻しえないのです。財務省は通貨発行権や税の徴収権を持って財政危機を煽ります。財務省が先導するデフレ期の緊縮財政路線の発想を続けると日本の小国化に繋がりかねません。国際的にIMFの低金利の融資を利用し、多くの国の政府が負債を増やしています。(https://www.imf.org/external/datamapper/GGXWDG_NGDP@WEO/OEMDC/ADVEC/WEOWORLD)20年前には世界の政府の債務残高の合計は2200兆円であったものが今では7600兆円になっています。世界のGDPの82%に及んでいます。世界中の政府の積極財政政策が進み経済成長著しい中でIMFは日本政府の債務残高に関してIMFは警告を発していません。それは日本政府の債務が円建てであり、その多くを国民が保有している国債であるからに他ならないと思います。
繰り返し明記しますが、財務省やマスコミは殊更に政府の財政危機を唱えるべきではないと思います。政府のみならず国家としての財政は3689兆円もの正味資産を有しています。一世帯当たりの正味資産の世界ランキングではアメリカ、スイス、ベルギーに次いで日本は4位に位置します。(OECDより)また、日本のEEZに世界有数の埋蔵量を誇るレアメタルが確認されてもいます。それら鉱物資源等も考慮すると日本の財政状況に危機は見受けられないことは明白かと思います。
最後までご拝読賜りありがとうございました。