卵子について、そして妊娠と年齢の関係について、知ること…②
とくおかレディースクリニック 徳岡晋院長のお話
『i-wish ママになりたい 女性のカラダと卵子の話』より
年齢による卵子の質の低下を止めるのは難しい。
なかなか妊娠しないでいるのなら、少しでも早く治療を開始するのが妊娠への一番の近道です。
卵の数についてはAMH値で推測できると言われていますが、質の低下はどういうところに出てくるのですか?
胚が減数分裂するときに、きちんと分裂できないことが増えてきます。分裂の際に引っ張られた染色体にちょっとした不具合が出て、正常に分裂しないとトリソミーなどの異常が起こってしまうわけです。そして、この異常は年齢が上がるにつれて増えることが研究からわかっています。これが卵の質の低下ということですね。
一時期、卵に細胞質を入れるといった試みもされましたが、普及することはなく、アメリカなどでは卵子提供という方向にシフトしていきました。世界的にみても卵子提供を認める国は増えています。一度、質の低下してしまった卵を良い状態に戻すことは難しいので、異常の少ない若い女性の卵を使うということですね。
ただ、卵子提供は日本では文化的にも馴染まず、学会でも認められていません。
質の低下してしまった卵を良い状態に戻すのは難しいとなると、どのように対処したらいいのでしょう?
現状のもとで何ができるかというと、早く治療をする。これに尽きます。卵子の状態が良くてステップアップ治療でも大丈夫な方はいいですが、35歳以上の方はやはり早く治療をスタートする。そして少しでも良い状態の卵を確保することが妊娠への一番の近道です。
何が何でも体外受精を勧めるわけではありませんが、ART治療がこれだけ普及しても妊娠率は決して高くない。不妊の原因はいろいろありますが、年齢が上がるにつれて卵子の質の低下が大きく影響しているのは間違いありません。となると、やはり早く治療をすることが大切ですし、その重要性を知ってほしいと思います。
こうした卵についての話を患者さんにはどのようにお伝えしているのですか?
月1回、土曜日に開催している勉強会で詳しく話をしています。どうして年齢とともに数が減るのか、どこで染色体異常が起きるのかといったことを、きちんとお伝えするのには1時間以上はかかりますからね。診療時にはなかなか十分に説明する時間を取ることはできません。ですから「勉強会に参加してください」とお勧めしています。
卵子について、そして妊娠と年齢の関係について、知ること…①
卵子について、そして妊娠と年齢の関係について、知ること…③
とくおかレディースクリニック 徳岡晋院長のお話
(2015年3月5日発行 『i-wish ママになりたい 女性のカラダと卵子の話』の記事です )