卵子について、そして妊娠と年齢の関係について、知ること…③
とくおかレディースクリニック 徳岡晋院長のお話
『i-wish ママになりたい 女性のカラダと卵子の話』より
年齢による卵子の質の低下を止めるのは難しい。 なかなか妊娠しないでいるのなら、少しでも早く治療を開始するのが妊娠への一番の近道です。
卵の質を維持するために、患者さん自身でできることはないのでしょうか?
適度な運動はいいと思います。からだを動かすことによってミトコンドリアが活性されると言われていますからね。
薬を使う、不妊治療をするといったこと以外に、当院では月に2回、水曜日に「子宝エクササイズ」という運動を実施しています。代謝を促進し、血流を増やして骨盤に効くようなエクササイズストレッチです。インナーマッスルを動かして、卵子の質が落ちるのを少しでも食い止められたら。わずかな違いだとしても、やらないよりはやったほうがいいと思いますからね。バレエの先生を講師に迎えて予約制(定員5名)でやっています。
いざ運動しましょうと言っても、自分ではどうしたらいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。ですから、レッスンで、こんなふうに動いたらいいんだなと覚えてもらって、ご自宅でも活かしていただけたらと思います。あとは毎週月曜日にリフレクソロジーの先生が来院して、アロマオイルを使用して足裏の反射区を刺激するマッサージを実施しています。これもマッサージによって骨盤の血流を促進するのが目的です。
食事について注意することはありますか?
当院では食事指導は行なっていませんが、当然、食事は大事な要素だと思います。これを食べたら卵子の質が良くなるというものはありませんが、塩分を摂り過ぎない、過度なダイエットはしないといった健康に配慮した食生活が基本でしょう。難しく考えたり、神経質になりすぎずに、生活習慣病を予防するような食事を心がければ悪く作用することはないと思います。
加齢によって卵の質が悪くなること、それに伴い妊娠率が低下することについて、どのように伝えていったらいいのでしょうか?
子どもを持つこと、子どもを産む年齢について、元来は親が子どもに伝えてきたのではないでしょうか。昔は結婚自体が早かったこともありますが、結婚したら「○歳くらいまでには子どもを産みなさいよ」というように親が伝えていたんじゃないかと思います。でも、今は教えていないでしょうね。「大学に行って勉強しなさい」「就職をしてキャリアを積みなさい」とは言われたけれど、ライフプランのなかに子どもを産み育てることが入っていないように感じることがあります。
不妊がこれだけ増えている一番の要因は、晩婚化によって子どもを持とうと意識する年齢が上がっているからでしょう。もちろん、結婚したくないという方もいて、そういう方を無理に結婚させることはありません。結婚して子どもがほしいと思っている方に希望通りに子どもを持ってもらえるように、妊娠や年齢について伝えていくことが必要でしょう。
本来は親が子どもに伝え、本人が考えていくべきことでしょうが、その他に中学、高校、大学などの教育の場で啓蒙していくことも大事だと思います。避妊について伝えるだけではなく、不妊についても伝える。年齢が高くなるにつれて妊娠が難しくなるということも伝えていくべきでしょう。