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アイデンティティの生涯発達論16_第174号

2016.10.09 09:15

本日も、岡本祐子先生の「アイデンティティ生涯発達論の射程」から引用いたします。昨日に続き、第8章第2節の「キャリア教育を通じてアイデンティティを育てる」を見ていきたいと思います。


P247にキャリア決定がどのようになされるかというプロセスを、2001年に大学生を対象にした研究から論じておりますが、それから約15年経過しておりますので、少し現在と事情は違うかもしれませんが、引用させていただきます。

キャリア決定プロセスは次の4つのパターンがあると述べております。

①早期決定型、②途中変更型、③直前決定型、④回避型

小さいころからどんな仕事に就きたいかが明確な人は少ないと思います。多いのは、③の直前決定型だと思います。「大学に行くこと=良い会社に入れる」みたいなところがありますので、とにかく大学に入ることが重要視されているのではないかと思います。そのため、大学に入ってから就職について考えることになるので、直前決定型になるのでしょう。それではダメだということで「キャリア教育が重要だ」ということにもなっているのかもしれません。ただ、実態としては少子化になっていることもあり、大学全入時代のため、高校までのキャリア教育については、形だけ行われているようなことになってしまうのではないでしょうか。

キャリア教育に取り組むようになって、まもなく20年近く経とうしておりますが、今一度、本来のキャリア教育について考える必要があるのではないかと思います。

そういった意味では、岡本先生が15年前に述べていることは、古いことではなく、まさにいまだからこそ、そのように取り組む必要があると思います。


P254では次のように述べております。

『今後のキャリア教育においては家庭、地域、職業生活におけるアイデンティティの形成を重視し、それを基盤として発展的、統合的に生き方を探求できるような教育内容が必要であるといえよう。』

『わが国では、現段階(2002年)では家庭、地域、職業生活のなかでアイデンティティを探求し、統合していこうとするキャリア教育の構想や実践は見られない。しかし、米国においては、すでに「家庭科」において、家庭、地域、職業生活における調和的、統合的な生き方の創造をめざすキャリア教育が構想、実施されている。』


私自身がキャリア教育というものをしっかりと理解していないところもあり、また、中学や高校で行われている家庭科の授業がどのようなものなのかも知らないので、まずはしっかりと理解する必要性を感じました。

私は職業訓練にながく携わっており、「職業訓練の本質とは何か?」と良く考えておりますが、キャリア教育も同じことが言えると思います。「キャリア教育の本質は何か?」をもう一つの軸として取り組んでいきたいと思います。