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八丁堀のオッサン

老いた馬は絶望と不安が覆っているコロナ禍の世界に一筋の光を差し込ませた

2021.02.07 02:04


 かつて連合国軍総司令部のマッカーサー元帥は、こう述べています。

「老兵は死なず、消え去るのみ」

 ただ、先日、100歳で亡くなった英国の退役大尉トム・ムーアさんは、遅くても、たどたどしくても確実な歩みの力強さを教えてくれました。

 コロナ禍が世界的に広がっていた昨年4月、最前線に立つ医療機関やスタッフを支援しようと寄付金を募るチャリティー・ウオークを始めています。

 みずからに課したのは、毎日自宅の庭を25メートル歩き、計100往復することでした。

「私のような小さな者には大きなことはできないから」

 設定した目標額は、1000ポンドです。

 ところが、歩行器を使いながら奮闘する姿は乏しい医療資源や感染対策への関心をも高め、期限とした4月30日の誕生日には150万人が3300万ポンドも寄せてくれたのです。

 昨夏、エリザベス女王からナイトの爵位を与えられ、名誉大佐の称号も得ています。

 国民は、ムーアさんのことを親しみを込めてこう呼んでいます。

「キャプテン(大尉)・トム」

 1年前は無名だった「近所のおじいちゃん」が、いかに愛されたかを示しています。

「明日はきっと良い日になる」

 ロックダウンの最中、規制や制限とは異なる手本を示した老兵ムーアさんの口癖だったといいます。

 老いた馬は「路」を忘れず、絶望と不安が覆っているコロナ禍の世界に一筋の光を差し込ませています。