第20駅:道の駅「とぎ海街道」(2020年7月27日訪問)
しんとちが訪れた道の駅を紹介していくシリーズ。今回は石川県志賀町にある道の駅「とぎ海街道」です。
※訪問の際はコロナウイルスの感染予防を十分に行ってください。営業時間・サービス内容などが変わっている場合がありますので、訪問前に最新情報を確認して下さい。
この駅は、能登半島西部に位置する志賀町にあります。「とぎ」は、かつてあった富来町(とぎまち)からきているもので、現在は志賀町と対等合併して新・志賀町域となっています。
旧富来町の中心地域にあり、周囲には商店や住宅・公共施設が立ち並んでいます。
また、荒々しい風景が特徴で、松本清張の「人間の証明」の舞台にもなった景勝地「能登金剛」「ヤセの断崖」からも近く、能登半島西部の観光拠点の役割も果たしています。
こちらの道の駅、一風変わった観光名所として人気があります。それは、
「世界一長いベンチ」
があることです。
↑「世界一長いベンチ」。長さは460m。1987年に造られた。
こちらのベンチ、日本海を望む向きに造られていて、日本海に沈む夕日を一望することができます。写真からだと少々わかりにくいですが海岸からは高さがあり、周りに遮るものもないため、海と夕日をじっくり眺めることができます。また、ベンチの奥側には「慈母の愛を称える碑」があり、駐車場から続く道を行くと、称える碑が手前に来て、その奥にベンチと海が見えます(碑については後述します)。
ちなみにこちらの駐車場からベンチに向かう道、ベンチの上に覆いかぶさるように通路ができています。ベンチと駐車場のどっちが先にできたかわかりませんが、ちょっと記録にばかり気が行ってたんじゃないかな、と思ってしまいます。
↑ベンチの上に覆いかぶさる、駐車場からの通路。訪れるとほぼ確実に目にするシュールな光景。
先ほど出てきた「慈母の愛を称える碑」ですが、「岸壁の母」という曲のモデルとされている富来町出身の女性を称え、恒久的な平和を祈る碑です。「岸壁の母」という単語は、息子を乗せた引揚船が来るのを港で待ち続ける母親の様子を、マスメディアが取り上げる際に使われていたもので、これがきっかけで知名度が上がりました。
「岸壁の母」という名前で発表された曲は、1954年に菊池章子さんの歌唱で日本中に感動の渦を引き起こし、戦争によって分断された家族の悲しみを象徴する歌として、日本中に知れ渡りました。
その後は1972年に二葉百合子さんがカヴァーし、こちらも大ヒット。間奏に母の心情を表すセリフを挟み、菊池さん版と同様に、人々の涙を誘う作品となりました。
この「岸壁の母」のモデルの女性については、道の駅内併設の「ふるさと文化センター」にもありますので、そちらも立ち寄ってみてください。
↑「慈母の愛を称える碑」。「岸壁の母」はこれまで多くの方がカヴァーしているが、二葉百合子さんの歌唱が特に人気が高い。
ここまで、道の駅「とぎ海街道」をとりあげました。ベンチは造りから覆いかぶさる通路まですべてがシュールでしたが、一度見てみる価値はあると思います。「岸壁の母」の碑は、戦争が持つ悲惨さを、終戦後という角度から見つめなおす貴重な資料になると思います。見た目以上に深く考えさせられる道の駅でした。