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ZIPANG-5 TOKIO 2020「日本のたてもの ―自然素材を活かす伝統の技と知恵」の開催について【文化庁】

2021.02.08 08:05


「木のくせ組むには人を組め」 宮大工 西岡常一 



焼失前の首里城正殿(参考)再建が待ち遠しいですね!


名古屋城本丸御殿 飾金具。見事な井波彫りの欄間も見どころです(参考)

金沢 尾山神社 夜、あかりが灯るステンドグラス(参考)

加賀藩初代藩主・前田利家公と正室お松の方を祀る神社です。見どころは国の重要文化財にも指定されている「神門」。和漢洋のそれぞれの様式が用いられた異色の門が訪れる人を惹きつけます。


日本のたてもの

「自然素材を活かす伝統の技と知恵」開催のご案内


開催場所

東京国立博物館 表慶館

国立近現代建築資料館

開催期間

■東京国立博物館 表慶館 現在開催中~2021年2月21日

■国立近現代建築資料館 現在開催中~2021年2月21日


開 催 趣 旨

日本の伝統建築は、木・草・土・石など多様な自然素材を優れた造形物へと昇華させたものと言えます。本展は、日本の建築を、高い美意識と加工技術を際立たせて縮小表現した建築模型、図面、道具など貴重な資料の展示を通して、自然素材を活かした造形的な特徴を古代から現代にいたるまで見ていきます。


また日本の伝統建築の技は、「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」として、ユネスコ政府間委員会(無形文化遺産保護条約政府間委員会)にて、ユネスコ無形文化遺産として審議・決定が行われる見通しとなっています。


法隆寺国宝修理事業の一環として金堂および五重塔の模型を製作したことを契機に1960年から国の「模造事業」が始まり、1964年の東京五輪に併せて開催された「日本古美術展」にも日本建築の様式を伝えるものとして模型が出展されました。本展では、それらの模型に加え、原建物が国宝・重要文化財である模型を核として、これまで一般に公開されることのなかった貴重な建築模型などを一堂に集めて展示します。


近世までの模型は、修理や復原の設計内容を検討するためであったり、国内で新たな様式を伝達するために製作されていました。近代の模型になると、万博など国外へ日本の建築文化を紹介するためや、意匠構造を理解するための教材であったり、修復によって得られた知見を記録、再現するために製作されるようになりました。


展示では、建築物の細部(柱や梁を組み上げ屋根を支える木組や建具など)や自然素材の特性(木材、漆喰、瓦などの風合い)を精巧に再現した1/10縮尺模型の展示をはじめ、木造建築を受け継ぐための伝統技術や工匠の技(檜皮・茅・瓦などの屋根葺き、左官、彩色、錺金具、建具、金箔など)についても紹介します。また、現在その維持が困難とされる伝承者養成・技能錬磨・原材料や用具の確保など、近年の取組みについても紹介します。


また本展は、「日本博」および「日本美を守り伝える『紡ぐプロジェクト』」の一環として開催します。


展覧会の特徴

〈古代から現代までの日本を代表する建物の模型や資料を一挙に公開〉

自然素材を活かす伝統技法と知恵が結集された「建築模型」や貴重な歴史資料である図面などを3つの会場でご覧いただくことで、日本人の暮らしや自然素材を活かした伝統建築の技と知恵が、今もなお受け継がれて、活かされていることを再認識していただけます。


〈建物内部の細部まで再現〉

東京国立博物館で展示する、近世までの建物の1/10模型には複数に分割できるものもあり、内側の細部まで鑑賞できます。室内の様子や天井裏などを含め、模型の内外に匠の技を発見できます。


〈ユネスコ無形文化遺産の認定を目指す「匠の技」を紹介〉

2018年にユネスコ無形文化遺産代表一覧記載への提案がなされ、2020年12月にユネスコ政府間委員会で審議・決定される見込みの「伝統建築工匠の技」(17件の国の選定保存技術)を、国立近現代建築資料館にて紹介します。


〈首里城正殿の模型を展示~首里城復興に向けて〉

2019年10月に首里城正殿は焼失しましたが、その1/10模型が沖縄県から出展され、東京国立博物館にて展示されます。この展示を通じて、首里城復興に思いをはせていただければ幸いです。


東京国立博物館 表慶館

古代から近世、日本建築の成り立ち


[構成]プロローグ~建築模型の世界 /
1.仏教の伝来と建築の様式化 / 2.交易の要と象徴 / 3.神々への信仰と生活のかたち 


建築の基本的役割は、人間を雨風や外敵から守ることですが、古代の住宅は、地面に竪穴を掘り、掘立柱を立てて梁と桁で固定し、合掌型に丸太を組み、その上に屋根材を葺くシンプルなものでした。 こうした手近な材料を用いた原始的な建築は、世界の各地にみられ、年代や地域によって多少の差はあるものの、おおむね似たようなものであったようです。


農耕文化の定着、社会階級の誕生、仏教の伝来といった社会的な変化は、建築物に象徴性や様式といった概念をもたらし、我が国の建築は、地域や気候といった自然による条件と、政治や宗教などの社会的条件に従いながら、変化と多様化を遂げてきました。


宮殿、社寺、茶室、住宅(武家・農家・町家)、城郭など、日本建築特有の造形を備えた多種多様なかたちが生まれ、そのままの用途で現在にいたる遺構も数多く存在します。


東京国立博物館では、文化庁が「模造事業」としてこれまで製作を行ってきた国宝・重要文化財の木造建造物の模型の展示を通して、古代から近世までの日本建築の成り立ちを紹介します。


自然素材の中で加工性に優れ、かつ強度が高く、日本の四季に合わせた木材を活用し、組み上げる日本の伝統技法として受け継がれてきた木組などの大工技術、檜の皮を重ねて屋根を葺く檜皮葺や、椹、杉などの薄板を重ねて葺く杮葺など、古来より用いられてきた自然素材を駆使する伝統的な技と知恵を、模型を通じて鑑賞することができます。


〈 1.仏教の伝来と建築の様式化 〉

飛鳥時代、仏教の伝来にともなって朝鮮半島や大陸から工匠の渡来と多様な建築技術がもたらされ、国内に数多くの寺院が建立されました。


大陸由来の建築様式は、在来の建築形式や技法との融合によって様式化が進み、鎌倉時代以前の国風文化の中で生み出された「和様」、鎌倉時代初期に東大寺大仏殿を再建する際にもたらされた「大仏様」、禅宗の伝来によって導入された「禅宗様」が用いられ、その後はこの3つの様式が寺院建築の基本形となります。


ここでは、法隆寺五重塔(奈良県/国宝)、大仙院本堂(京都府/国宝)、長寿寺本堂(滋賀県/国宝)などの模型の展示によって、塔婆、仏堂、門などの建物種別を時代順に紹介し、意匠や構造にみられる様式から「日本建築らしさ」を紹介します。



唐招提寺金堂 1/10模型
1963年 東京国立博物館蔵(原建物:奈良時代 / 国宝)

唐の影響を受けた奈良時代後期の様式を正規に表した名建築の模型で、明治時代の 解体修理などの成果をもとに製作されました 。



東大寺鐘楼 1/10模型
1966年 東京国立博物館蔵 (原建物:鎌倉時代 / 国宝)

鎌倉時代初期に僧の栄西が再建。
模型は1965年から行われた解体修理にともない製作されました。



法隆寺五重塔 1/10模型
1932年 東京国立博物館蔵 (原建物:飛鳥時代 / 国宝)

半世紀に及んだ昭和の大修理に先立ち、
修理監督である岸熊吉の指揮により模型が製作されました。


MEMO

原建物は7世紀建築の世界最古の木造建築と言われています。法隆寺昭和大修理(法隆寺国宝修理事業)に先立ち、修理前の記録・検討のため1932年に製作された法隆寺五重塔1/10模型が出展されます。内部には塔本塑像も作り込まれています。


製作者の工匠として、法隆寺に伝わる飛鳥時代の木匠の技を継承する「最後の宮大工」と言われた西岡常一氏(1908~1995)の名が模型に記されています。五重塔の主材である檜に焦点をあて、先人の知恵や工夫、自然との関わりについて記した西岡氏の名著『法 隆 寺を支えた木』(1978年)は、英語にも翻訳されました。


悠久の時の流れを今に伝える斑鳩の里。最後の宮大工と言われた西岡常一棟梁の指揮のもと全国の大工をはじめ、工の匠たちの協力により再建された薬師寺西塔(中央)。


回想

最後の宮大工「西岡常一」氏を訪ねて(鎹八咫烏)

薬師寺西塔の石段に座り、
法隆寺や薬師寺西塔の建築について熱く語る西岡常一氏
幼児の頃から…、祖父の話、また薬師寺の木を探しに台中(台湾中部)の山中に分け入り立木を見に行った時の話、また独立したお弟子さんの話等々…つい西岡棟梁の話に夢中になり、気が付くといつしか夏の陽は西に傾いていました。


「木のくせ組むには人を組め」

昭和62年初夏、薬師寺西塔に西岡家三代にわたる法隆寺の宮大工西岡常一棟梁を訪ねたことがある。西岡棟梁は正倉院に納められた工芸用のヤリガンナを参考に研究し、堺の刀鍛冶・水野正範氏の協力を得て再現したのである。


飛鳥の時代に使われていた工具・ヤリガンナとは一体どんなものでどのように使うのか尋ねると、薬師寺伽藍復興奉行所に案内してくれ西岡棟梁は、製材したばかりの桧(台桧)を実際にヤリガンナで削って使い方と仕上がりを見せてくれた(ヤリガンナで削った木のくずは、薄く長く巻いて美しい)その折に、この時とばかり質問してみた「木造建築のこんな大きなものを、出身の異なる大勢の匠の方たちで造る時の極意とは?」すると、西岡棟梁がポツリと独り言のように「木のくせ組むには人を組め」と・・・(合掌)


薬師寺は、日本で初めて東西に二つの塔を建立した双塔式伽藍として有名です。東塔(国宝)は創建当初から残っていますが、西塔は享禄の兵火(1528)により焼失してしまいました。昭和56年(1981)に再建された西塔は、 長年の風雨にさらされ落ち着いた東塔に対して、創建当初とおなじく鮮やかな青丹の色と金色の飾り金具に彩られて美しいコントラストをみせてくれます。西塔の内陣には、文化勲章受章者の中村晋也氏による釈迦八相像のうち果相の四相が祀られています。


当初、薬師寺の西塔初層には、お釈迦様の生涯を八場面に分けたうち果相の四相(成道・転法輪・涅槃・分舎利)が、塑像(そぞう)で作られ安置されていました。
しかし、多くが損傷してしまい現在は残欠が伝わるのみです。 平成27年(2015)に、中村晋也氏によって新たに造像され、奉納・安置されました。




東福寺三門 1/10模型

1979年 国立歴史民俗博物館蔵 (原建物:室町時代 / 国宝)

室町時代建立で最古の禅寺三門の模型。1978年の解体修理の成果に基づいて 製作されました。


MEMO

原建物は1405年建築の臨済宗東福寺派総本山の三門(三解脱門)で、桁行(間口)5間、戸口が3戸、両脇には2階への階段となる山廊が付く雄大な二重門です。


模型は解体修理の成果に基づいて製作され、修理に関わった人や工期などが記録された模型の棟札には、製作した工匠たちの名が見えます。伝統的な和様と大仏様と禅宗様が折衷した建物で、模型では柱に差し込んで軒を支える挿肘木(写真)を重ねる大仏様の 特徴がよく見えます。



〈 2.交易の要と象徴〉

家屋敷、町人地、寺社境内地などが城郭を囲むように立地する城下町は、政治・経済・文化の中心として安土桃山時代後期から江戸時代中期にかけて日本全国に誕生しました。多くの人が思い浮かべる天守台に代表される城郭のイメージは、この時期に築造されたもので、戦国時代に要塞として建てられた城郭は、徐々に領国の象徴としての存在に変わっていきます。


ここでは、交易によって城下町が栄えた松本城(長野県/国宝)と首里城(沖縄県)の2つの異なるタイプの城郭を紹介します。



松本城天守 1/20模型
1963年 東京国立博物館蔵
(原建物:江戸時代 / 国宝)
姫路城天守とともに五重天守の代表的建築の模型で、「日本古美術展」出品作です 。



首里城正殿 1/10模型
1958年 沖縄県立博物館・美術館蔵
(原建物:江戸時代)

1932年の修理に携わった大工の知念朝永 氏(1881~1959)が、太平洋戦争での焼失後、1953年に模型の製作を開始し、1958年に完成しました。
*この作品は、平成館ガイダンスルームに展示されています。



〈 3.神々への信仰と生活のかたち〉

古くは巨木や山などを崇めていたものが農耕社会では豊作を祈念するようになり、依り代となった木や柱が建物に変化したものが神社の発祥であると考えられています。


建物のかたちとしては、古来の住宅を連想させ、式年造替などによってそのデザインが今日まで伝えられてきました。


そして、生活の場では、大陸からの影響や支配者層の生活様式に従って、寝殿造、書院造、茶室といった住機能・形式が誕生し、庶民においては、都市部では町家、農村部では農家に居住するようになっていきます。


ここでは、神社本殿の形式を示す例として、仁科神明宮本殿(長野県/国宝)、春日大社本社本殿(奈良県/国宝)など、住機能・形式を示す例として、登呂遺跡竪穴住居(静岡県/特別史跡)、慈照寺東求堂(京都府/国宝)、今西家住宅(奈良県/重要文化財)などを紹介します。



春日大社本社本殿 1/10模型
1988年 国立歴史民俗博物館蔵(原建物:江戸時代 / 国宝)

1976年の修理工事(第58次式年造替時)によって得られた成果をふまえて製作されました。


MEMO

本展には、「明治天皇大嘗祭宮院」の模型(明治時代)も出品されます。これは、1871年11月17日に皇居吹上御苑で営まれた大嘗祭の敷設模型です。大嘗祭は、新天皇の即位後に初めて行う新嘗祭(国と国民の安寧、五穀豊穣などを祈る宮中祭祀)で、明治天皇の大嘗祭は、初めて東京で営まれました。


今回出品する模型は、1883年に式部寮から東京国立博物館の前身である博物局へ貸し出され、大正の頃まで同館で展示されていたものです。同様の模型が、昭和のものは京都国立博物館、平成のものは皇居東御苑本丸休憩所に保管されています。 



主催:文化庁、日本芸術文化振興会、東京国立博物館、国立科学博物館、読売新聞社

特別協賛 :キヤノン、JR東日本、日本たばこ産業、三井不動産、三菱地所、
明治ホールディングス 

協 賛:清水建設、髙島屋、竹中工務店、三井住友銀行、三菱商事

協  力:国立歴史民俗博物館、金沢工業大学

お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)


「日本博」とは

総合テーマ「日本人と自然」というコンセプトの下、縄文時代から現代まで続く「日 本の美」を国内外に発信し、次世代に伝えることで、更なる未来の創生を目指し、 2019年からスタートしました。文化庁、日本芸術文化振興会、関係府省庁や文化 施設、地方自治体、民間企業・団体等の総力を結集し、日本の美を体現する美術展・ 舞台芸術公演・文化芸術祭等のプロジェクトを、四季折々、年間を通じ、日本全国 で展開していきます。



「紡ぐプロジェクト」とは

文化庁、宮内庁、読売新聞社が官民連携で取り組む「日本美を守り伝える『紡ぐプ ロジェクト』―皇室の至宝・国宝プロジェクト」は、皇室ゆかりの美術工芸品や国宝・ 重要文化財などの日本の美を未来へ伝え、世界に発信することを目的に、2018年 11月にスタートしました。 



鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使 



協力(順不同・敬称略)

文化庁〒 100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話番号(代表)03(5253)4111

東京国立博物館 〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9 JR上野駅公園口より徒歩10分
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)

一般財団法人 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)TEL 098-859-6123(代)
〒901-0152 沖縄県那覇市字小禄1831番地1 沖縄産業支援センター2F

名古屋市役所
〒460-8508 愛知県名古屋市中区三の丸三丁目1番1号 電話番号:052-961-1111(代表)

公益社団法人石川県観光連盟
〒920-8580 石川県金沢市鞍月1丁目1番地TEL:076-201-8110



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