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酒類総合研究所セミナーご報告

2021.02.09 05:12

2021年2月8日、広島県の独立行政法人酒類総合研究所が開催する第114回酒類醸造講習(ワインコース)で特任講師として講義をさせていただきました。


酒類総合研究所は日本で唯一のお酒に関する国の研究機関で、その歴史は明治37年(1904年)に設立された前身の「大蔵省醸造試験所」まで遡ります。また、世界を代表する酒類に関する研究機関として、近年では甲州ブドウのDNA解析など国際的に認知される実績を発信しています。


ここは、お酒に関する研究のほか、国内の生産者の技術向上にも長きにわたり貢献しています。その一環として酒類醸造講習は、清酒、本格焼酎・泡盛、ビール、ワイン製造において、酒類製造業者の中核的な経営者及び技術幹部を養成するため、酒類製造に必要な総合的知識及び製造技術の習得を目的として開催されています。


私は、その中のワインコースを、2012年(第105回)、2015年(第108回)、2016年(第109回)、2018年(第111回)より担当しています。そうした中、今年は5回目となりましたが、従来とは大きく異なる点が2つありました。


まず、このコロナ禍における制約から、初めてのオンラインセミナーとして東京から講義を行ったこと、そして次に、初めて官能検査実習を受持ったことです。それにより、私の担当は、「ワイン醸造の理論と実際Ⅰ」3コマと「官能検査実習3(日本ワイン)」3コマ(1コマ50分)で、ほぼ終日の講義となりました。


「ワイン醸造の理論と実際Ⅰ」では、ワインの醸造全般に関する留意点と品質向上にむけたポイント、また貯蔵、精製・ろ過、壜詰、壜内貯蔵、熟成にも触れることで、醸造した大切な原酒を痛まないように安全、安心、安定的にお客様のお手元に届ける技術を解説しました。


また、「官能検査実習3(日本ワイン)」では受講者の方々が提供くださった自社のワイナリーのワイン8種を官能評価し、コメントを発表してもらう形式で、醸造学からみた官能評価および結果を的確な言語で表現の仕方を解説しました。更に官能評価の延長として「審査会における官能審査」というタイトルで、模擬審査会をイメージしたワインの分析型官能評価を行い受賞圏内にワインを近づける技法などを紹介しました。


参加者の方々の意識は非常に高く、質疑応答も非常に盛んで、講義終了後も受持った2つの講義に関する質問、またマーケティングにも及ぶワイン事業の質疑応答が個人的にできるよう、オンラインでのFace to Faceで刺激をうける時間をもつことができました。


このクラスを受持って常に思うのは、経験や教育背景など異なろうとも、誰しも学びの過程と姿勢において私を含めて同じグラウンドに立っていること、また、同じワイン製造という同じフィールドに身をおき同じ学びの場を共にした者として少なからず一体感が生れたことです。


今後、受講生の皆さんはワイナリーに戻り、個性豊かなワインとともに、それぞれのお客様から一層の評価を受けるワインを目指すことになるでしょう。ワインも他の商品と同じく、その価値を最大限に評価し感謝するお客様とどれだけ結びつく力が問われます。その力こそが別の言い方ではブランド力となるのでしょう。


一日の講義を終え、オンラインを退出したときに、受講生の皆さまと同じくらい、その結び付く力の大切さと、その皆さまと出会えた機会をくださった機会への感謝が心のなかから沸きあがってきました。


受講生の皆様、並びに酒類総合研究所のご担当者様、ありがとうございました。


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