経団連・中西会長が語る『ジョブ型雇用』、若者・若手に配慮
【経済報道】 経団連・中西宏明(丙戌)会長は、令和三年二月八日に記者会見を開き、大企業群を中心に推し進めている『ジョブ型雇用』について言及した。
「工場労働者の時間管理を前提とする現行の労働時間法制に加え、終身雇用や年功序列、新卒一括採用といったメンバシップ型と称される『日本型雇用システム』は全てセットであり、こうした従来型の働き方と今日的な働き方の中身の間には、大きなギャップが生じている。」と、第二次産業を基盤とした働き方と第三次産業を基盤とした働き方の違いに触れた。
「製造業でもデスクワーク主体のホワイトカラーが増える等、労働環境が変化している中で、働き手をどの様に評価し、処遇するかを考えていく必要がある。」と人材への評価・処遇の仕方を変える事を示唆する。
<求められる柔軟性>
また現在の若者・若手に関し、「仕事を通じて社会に貢献する事で自分の存在意義を確かめ様とする方向に変化している。」と働くモチベーションを七十代が認識。「ジョブ型雇用は、各人が自らの存在意義やキャリア形成を考えつつ、担っている仕事や役割を明確にし、それを企業が適切に評価し、処遇するといったシステムである。」と若者・若手にジョブ型雇用が適している点を強調。
「やる気があり、明確な意思を持っている社員に機会を与え、活躍の場をつくる事は、企業として非常に重要である。」を語気を強めた。
だが、「メンバシップ型を全て否定する訳ではなく、それが労使合意で上手くいっているケースもあろう。各企業が自社に適した雇用システムを検討していく必要があり、その時機に来ている。」とも述べた。
テレワークに関しては「むしろFace2Faceでコミュニケーションする必要性があると気づいた業務もある。各企業では、テレワークを推進する上での課題が明確になってきており、各種手当の在り方やコミュニケーションの取り方等、実務面で検討が進んでいる。経団連は今後、アンケート結果等を踏まえ、テレワークをより推進する為の具体策を提案していく。」とした。
尚、日経平均が三十年振りに二万九千円を突破した点につき、「(日銀の)金融緩和で市中に溢れたマネーが流入している状況と理解している。今後の推移を見通すのは難しいが、当面は暴落する動きにはならないものと見ている。」と金融市場の安定性を否定しなかった。
写真:㈳日本経済団体連合会