レッサーパンダ 2021.02.10 13:08 政治周りの用語で「レッサー・イーヴィル(lesser evil)」という言葉があることは、以前にも書いた。lesserとは不可算名詞(定量じゃなく定性の)に対するlittleの比較級で、evilはbadよりずっと酷い「邪悪」。つまり「最悪よりはマシな悪」を選ぶということになる。 つまり、 「政治とはレッサー・イーヴィルを選ぶことだ。政治において完璧な善はない以上、いずれの政治家であれ、政策であれ、より悪の程度が小さい方を選ぶしかない」という一種の諦観というか現実論だ。 ブロガーの「やまもといちろう」氏が2014年衆院選挙を、 「匂う糞と匂う糞のどっちがより匂わないかというのを選ぶ戦いです」と「レッサー・イーヴル」の見事な〝翻訳〟をしている。 また、福沢諭吉も、「政治とは悪さ加減の選択である」と簡明に描写している。 ここで話はとんでもなく飛んで。「レッサー・パンダ」に行く。この「レッサー」もlesserだということに気がついた。 もともと「レッサーパンダ」は単に「パンダ」と呼ばれていたが、後に「ジャイアントパンダ」が「パンダ」として定着するようになったので、従来の「パンダ」に “lesser” をつけて “lesser panda” と呼ばれるようになったというのです。 「レッサーパンダ」はネパール、ブータン、ミャンマーなどに棲息していて、50〜60センチくらい、「ジャイアントパンダ」は中国南西部に生息していて、体長1.5メートル。共に笹を食べ、それぞれ「小熊猫」、「大熊猫」と呼ばれるので何かと似ているのだ。 だから、この仕打ちはいくらなんでも、「レッサーパンダ」には気の毒じゃないのか。おまけにジャイアント・パンダは個体数を増やし、一方の「レッサーパンダ」は絶滅危惧種になってもいるという。 かつての「ネアンデルタール人」を凌駕してわれわれ「ホモ・サピーエンス」が跋扈して現在に至っている。これが次代の「ネオ・ホモ・サピーエンス」が天下をとるとか、ユヴァル・ノア・ハラリがいう「ホモ・デウス」に進化したときに、それに乗り遅れてしまった人類は「レッサー・ヒューマン」とか言われてしまうのかな?