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yoyo

何でも手にはいる季節

2021.02.10 14:55

風は冷たいけれど、陽射しは暖かかった。古いマンションの白く塗り替えられた外壁が眩しくて、これからなんでもできそうな気がして、春だと思った。これからなんでも手に入るから、何も持たない自分でもいいと言ってくれる。このままでいいと思える。だから私は春が好きなのかもしれない。川べりの公園で子どもと何本もの電車に手を振り帰路に着く。

はじめてホームページにおでかけ記事を書いてみる。昔のことを思い出す。いいことを書こうと思わず、事実だけを述べたらわりとすぐに書けた。といっても1時間はかかったので手順化しようと思った。そして昔もそうすれば良かったと思った。ホームページも少し整理してみる。

クローズアップ現代。「広がる出生前検査 その課題は?」。出生前診断で子の身体に異常があると分かり中絶した夫婦が、中絶した日を子どもの誕生日としてお祝いをする様子が映し出されていた。その日は3歳の誕生日で、夫婦は誕生日ケーキを食べて生まれるはずだった子どもに絵本をプレゼントしていた。妻が絵本を読み聞かせるように音読する。それは親が実際に子を目の前にして読み聞かせるのと同じように見えた。人は子を産まなくても、子を宿した、それだけでもう親になるのだと思った。たとえそれが子でなくても、物理的に存在しなくても、大切な何かがあるだけで親心(のような何かを守るような心)を持つようになるのだとも思った。私はこの夫婦が周囲から「自己都合で中絶した心の無い人」と見られてしまう可能性があることを悲しく思った。